内科的胸腔鏡の前にセファゾリンを投与しても感染症は減らず

e0156318_16292292.jpg 一般的な胸腔ドレーンと処置自体は大きく変わらないですが、参考になるデータですね。各々の医師のテクニカルな部分が影響している可能性も否定できませんが。

Dhooria S, et al.
A Randomized Trial of Antimicrobial Prophylaxis in Patients Undergoing Medical Thoracoscopy (APT).
Respiration. 2017 Jun 17. doi: 10.1159/000477259. [Epub ahead of print]


背景:
 内科的胸腔鏡を受ける患者に対する予防的抗菌薬の役割についてはデータがない。

目的:
 この研究では、われわれは内科的胸腔鏡を受ける患者に対して点滴セファゾリン治療を単回投与する効果と安全性を評価した。

方法:
 内科的胸腔鏡を受ける患者が1:1にランダムにセファゾリン2g点滴(抗菌薬群)あるいは生食点滴(コントロール群)に割り付けられた。プライマリアウトカムは、感染症(SSIおよび膿胸)の発生とし、セカンダリアウトカムは抗菌薬に関連した合併症とした。

結果:
 121人がスクリーニングされ、100人(平均年齢52.2±15.2歳、38人[38%]が女性)がランダム化された。処置後感染症は抗菌薬群およびコントロール群で差はみられなかった(4人[8%] vs 6人[12%]、p=0.28)。SSIは抗菌薬群の1人(2%)および3人(6%)にみられた(p=0.62)。また、膿胸はそれぞれ3人ずつ(6%)にみられた(p=1.00)。年齢、基礎疾患(糖尿病あるいはCKD)、研究群割り付け、使用した胸腔鏡のタイプ、処置時間、組織診断(良性あるいは悪性)、処置後の感染症発生のあいだに関連性はみられなかった。

結論:
 内科的胸腔鏡の前にセファゾリンを単回投与しても、処置後の感染症の発生の減少とは関連しなかった。


# by otowelt | 2017-06-29 00:26 | 呼吸器その他

血清Dダイマーの上昇は間質性肺疾患の急性増悪のリスク増加と関連

e0156318_1543237.jpg ルーチンで測定してもよいという流れになるかもしれませんね。

Ishikawa G, et al.
Elevated serum D-dimer level is associated with an increased risk of acute exacerbation in interstitial lung disease.
Respir Med. 2017 Jul;128:78-84.


背景:
 早期に間質性肺疾患(ILD)の急性増悪やその前段階のリスク増加を認識することは、臨床的に有用である。本研究は、血清Dダイマーの上昇とILD急性増悪・前(preclinical)急性増悪の関連性を調べることである。

方法:
 単施設後ろ向き研究。2009年10月から20145年9月まで18歳以上のILD患者を登録した(IPF、他のIIPs、CHP、膠原病関連ILD、CPFE)。プライマリアウトカムはDダイマー測定から3ヶ月以内のILD急性増悪とし、セカンダリアウトカムは同3ヶ月以内の呼吸器系の入院、全ての原因による入院、静脈血栓塞栓症(VTE)、総死亡率とした。

結果:
 合計263人(平均年齢64.1歳)が登録され、Dダイマーが374回測定された(中央値0.44μg/mL)。急性増悪のリスクは血清Dダイマーが上昇している患者で有意に高かった(補正オッズ比10.46; 95%信頼区間1.24-88.11; p = 0.03)。血清Dダイマーが上昇している患者は、呼吸器系の入院、全ての原因による入院、VTE、総死亡率のリスク増加がみられた。他の急性増悪を予測する因子として、在宅酸素療法、血清LDH上昇、努力性肺活量減少、1秒量減少が挙げられた。

結論:
 血清Dダイマーの上昇はILD急性増悪のリスクと関連していた。急性増悪ないしは前急性増悪の状態を予測する上で血清Dダイマーは有用かもしれない。


# by otowelt | 2017-06-28 00:31 | びまん性肺疾患

びまん性肺疾患の診断におけるクライオ生検(cryobiopsy)は同一葉内別部位から検体を採取した方がよい

e0156318_9551539.jpg 夏に発売されます。
 一式そろえるのに700~800万円必要とのことですが、いつかこれが主流になる日を心待ちにしています。

Ravaglia C, et al.
Transbronchial Lung Cryobiopsy in Diffuse Parenchymal Lung Disease: Comparison between Biopsy from 1 Segment and Biopsy from 2 Segments - Diagnostic Yield and Complications.
Respiration. 2017;93(4):285-292.


背景:
 経気管支肺クライオ生検(cryobiopsy)は、びまん性肺疾患の患者の肺実質から検体を得る革新的な方法である。しかしながら、その技術はまだ確立されておらず、適切なプロトコル(検体数、検体サイズ、採取部位)は定まっていない。

目的:
 検体数、採取部位、検体サイズといった肺組織検体採取の異なる手法ごとで、診断率や合併症に差がみられるか調べた。

方法:
 われわれはびまん性肺疾患が疑われた46人の患者を前向きに登録した。全患者は経気管支肺クライオ生検(cryobiopsy)を受けた。患者は、グループA(同一部位から4検体採取)とグループB(同一葉内の別の2部位から2検体採取)に分けられた。

結果:
 平均検体サイズは29~30mmだった(初回生検は35mmm程度が多かった)。
 平均診断率は、2群を合わせると1回しか検体しなかった例でも69%であった。2回目以降の生検をおこなうと、平均診断率は改善したが、その効果がみられたのはグループB群のみだった(96%)。
e0156318_12345694.jpg
(文献より引用:Table2)

結論:
 びまん性肺疾患の診断において、同一葉内の別の部位から2検体ずつクライオ生検すると診断率が上昇する可能性が示唆された。


# by otowelt | 2017-06-27 00:18 | びまん性肺疾患

気胸の治療は、胸腔ドレナージよりも針穿刺吸引の方がよい

e0156318_14441648.jpg 持続的エアリークがある場合は胸腔ドレナージの方がよい気がしますが、それを含めても総じて針穿刺吸引の方がよいのならば、気胸のプラクティスは大きく変わります。ただ、セカンダリアウトカムはやや恣意的な気がします。

A. Thelle, et al.
Randomised comparison of needle aspiration and chest tube drainage in spontaneous pneumothorax
European Respiratory Journal 2017 49: 1601296; DOI: 10.1183/13993003.01296-2016


背景:
 自然気胸におけるガイドラインは、針穿刺吸引(NA)と胸腔ドレナージ(CTD)の介入に関して矛盾がある。そのため、ガイドラインに遵守していないという研究も示されている。

方法:
 3つのノルウェーの病院で原発性自然気胸(PSP)および二次自然性気胸(SSP)の患者を登録した。患者はNAあるいはCTDを初期治療として適用された。プライマリアウトカムは入院期間とした。セカンダリアウトカムは、処置直後(CTD群:72時間以内の胸腔ドレーン抜去、NA群:悪化がみられないこと)および1週間後の治療成功率(両群とも退院)と合併症とした。
 NAでは、16GのSecalon-Tが用いられた。空気が引けなくなったところで処置終了としている。その後胸部レントゲン写真で悪化所見があれば、2回目の穿刺をおこなった。

結果:
 127人が登録され、48人がSSPだった。65人がNAを、63人がCTDを実施された。NAは、1回の穿刺で50%が治癒し、2回目の穿刺を受けた24人では46%が治癒し、最終的に胸腔ドレナージに転換したのが20人だった。
 入院期間中央値(IQR)はNA群で有意に短かった(NA:2.4日[1.2-4.7日]、CTD:4.6日[2.3-7.8日])(p<0.001)。
 処置直後の成功率は、NA69%、CTD32%だった(p<0.001)。NAの有効性はSSP・PSP・過去に気胸のエピソードがあったかどうかというサブグループでも同様だった。1週間時での成功率に差はなかった。
 合併症はCTD治療中にのみ観察された。

結論:
 われわれの研究では、CTDと比較してNAの方が短い入院期間で高い成功率をもたらすことがわかった。サブグループ解析では、PSPとSSPのいずれにおいてもNAの方に利益があることがわかった。


# by otowelt | 2017-06-26 00:56 | 呼吸器その他

LAMにおけるCA-125は、胸水・肺機能低下と関連しシロリムス治療によって減少

e0156318_21492533.jpg まれな疾患ですが、キーとなる因子はおさえておきたいですね。

Connie G. Glasgow, et al.
CA-125 in Disease Progression and Treatment of Lymphangioleiomyomatosis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.05.018


背景:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)は、TSC1/2腫瘍抑制遺伝子の変異がある腫瘍様LAM細胞の増殖によって引き起こされる女性の進行性肺疾患である。症例報告に基づき、CA-125がLAM患者で上昇することが示されている。われわれは、幾人かのLAM患者にみられるCA-125の上昇はLAMによるものであり、他の悪性腫瘍とは関連しておらず、またシロリムス治療に反応性がみられるものと仮説を立てた。

方法:
 241人のLAM患者でCA-125が測定された。診療録で併存疾患、疾患進行性、シロリムス治療反応性などが調べられた。LAM細胞のCA-125発現が免疫組織化学的に調べられた。

結果:
 LAM患者の25%に、少なくとも1回の血清CA-125上昇がみられた。多変量モデルでは、高いCA-125は、1秒量低値、パフォーマンスステータス、胸水と関連していた(p<0.001)。血清CA-125はシロリムス治療後に減少していた(p=0.002)。CA-125およびα平滑筋アクチンはLAM肺結節に共発現していた。

結論:
 LAM患者におけるCA-125高値は胸水、肺機能低下と関連し、シロリムス治療に反応して減少した。LAM細胞はCA-125を発現していた。CA-125上昇は、漿膜浸潤を反映しているのかもしれない。


# by otowelt | 2017-06-23 00:47 | びまん性肺疾患