Cope針を用いた胸膜生検

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・手順

①局所麻酔後、シャフト(外筒)+インナーシャフト(内筒)+トロッカーを組み合わせた状態で胸腔を穿刺する。胸腔に到達したかどうかは、トロッカーを抜いて胸水の流出を確認することで行う。ただし、シャフト(外筒)だけでシリンジにつないでも通常の胸腔穿刺と同様に胸水が返ってくるので、トロッカー自体にはあまり存在意義はない。

②胸水の流出を確認したら、シャフト(外筒)からインナーシャフト(内筒)も抜き、外気胸にならないよう手で穴を抑えながら、スネア外筒+スネア内筒を挿入する。生検は、スネア外筒を用いて行う。

スネア外筒からスネア内筒を1~2cm程度抜いた状態でないと、スネア外筒の生検鉤が露出しないので(写真1)、生検はスネア内筒をわずかに引いた状態でおこなうことを覚えておく(写真2)。
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シャフト(外筒)の先端が壁側胸膜ギリギリの胸腔にあるのが望ましいが、盲目的にこの位置を探すのは難しいため、スネア外筒の生検鉤が胸膜に引っかかるかどうか何度もスネア外筒を抜き差しする作業が必要である(写真3)。このとき、角度をつけて胸膜をスネア外筒に噛ませることを意識しなければならない(胸壁と垂直だとスネア外筒が胸膜を噛まないため)。シャフト(外筒)をゆっくり体外側へ移動させながら、角度をつけてスネア外筒を引く作業を繰り返す。このとき、あらかじめ1~2cm引いておいたスネア(内筒)が術野外に落ちてしまわないよう注意する(極めて滑らかに落ちる)。
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スネア外筒の生検鉤が胸膜に引っかかると、患者は胸膜痛を訴えることが多い。疼痛が強ければ、局所麻酔を追加してもよい。このままシャフトを胸腔に進める形でスネア外筒に胸膜を収納するのが一般的だが、スネア外筒を回転させたりそのまま手前に引っ張たりすることで組織を採取してもよい。

⑥皮下に胸水が漏出することが多いので、処置後は深めに垂直マットレス縫合をおこない創を閉鎖する。


・注意すべき合併症:外気胸

デバイスの出し入れが多い処置であるため、外気胸のリスクが多い。可能であれば、外気と交通する瞬間にはすべて息を止めてもらうのが望ましい。とはいえ、少量の外気胸であっても、経過観察のみで軽快することが多い。


(参考文献)
・籠手田恒敏, 他. 胸膜炎に対する体壁胸膜針生検. 日胸疾会誌1981;19(8):567-74.


# by otowelt | 2017-09-22 00:50 | レクチャー

INJOURNEY試験:IPFに対するニンテダニブとピルフェニドンの併用療法

e0156318_21341355.jpg 副作用が問題なく、肺活量減少を明らかに抑制できるのであれば治療選択肢となるでしょう。マネジメント可能であると結論に書かれていますが、ちょっと忍容性については根拠が乏しいように思います。

Carlo Vancheri, et al.
Nintedanib with Add-on Pirfenidone in Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Results of the INJOURNEY Trial
AJRCCM, https://doi.org/10.1164/rccm.201706-1301OC


背景:
 ニンテダニブとピルフェニドンはIPFの進行を遅らせるが、疾患は進行し続けることは間違いない。これら2剤の併用に関してさらなる安全性と有効性のデータが求められている。

目的:
 安全性、忍容性、薬学動態および探索的効果エンドポイントを調べるために、ピルフェニドンとニンテダニブを併用群とそれぞれの単独治療を受ける群を比較する。

方法:
 IPF患者で、4~5週のニンテダニブ150mg1日2回を受けるrun-in periodの後のスクリーニング検査で%努力性肺活量が50%以上あるものを対象に、ピルフェニドン(801mg1日3回)あるいはニンテダニブをそのまま継続する群に割り付けられた。治療は12週間継続。プライマリエンドポイントはベースラインから12週目までのの消化器系副作用の治療必要性とした。解析は記述的および探索的に行われた。

結果:
 消化器系副作用はニンテダニブ+ピルフェニドン群53人中37人(69.8%)にみられ、ニンテダニブ単独群の51人中27人(52.9%)にみられた。
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(文献より引用: Figure E2 消化器系副作用)

 トラフ値はニンテダニブ単独とピルフェニドン併用群では同等だった。ベースラインから12週時点までの努力性肺活量変化はニンテダニブ+ピルフェニドン群で-13.3±17.4mL、ニンテダニブ単独群で-40.9±31.5mLだった。トランスアミナーゼ、γGTPの上昇は併用群で多く観察された。

結論:
 IPF患者におけるニンテダニブ+ピルフェニドンの併用は、安全性、忍容性ともにマネジメント可能である。さらなるアウトカム調査を今後に期待したい。


# by otowelt | 2017-09-21 00:28 | びまん性肺疾患

喫煙ステータスとIPF

e0156318_21341355.jpg Miia Kärkkäinen, et al.
Effect of smoking and comorbidities on survival in idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Research201718:160

背景:
 喫煙はIPFのリスクを増加させると言われている。合併症が生存期間を短縮させるが、喫煙者は非喫煙者よりも生存期間が長いことがいくつかの研究で示されている。これらの関連についてはいまだ報告はない。

方法:
 後ろ向き研究で、IPF患者から性別、喫煙歴などの情報を収集した。合併症や治療内容についてもデータを集めた。死亡を予測する因子は、Cox比例ハザード解析によって同定した。

結果:
 登録されたIPF患者のうち、45人が非喫煙者(53.3%が女性)、66人が既喫煙者(9.1%が女性)、17人が現喫煙者(17.6%が女性)だった。現喫煙者は、ベースラインの年齢が非喫煙者(58.1±8.74歳 vs 71.4±8.74歳、p<0.001)や既喫煙者(58.1±8.74歳 vs 72.5.4±7.95歳、p<0.001)よりも若かった。非喫煙者や現喫煙者の生存期間中央値は、既喫煙者よりも長かった(55.0ヶ月、52.0ヶ月 vs 36.0ヶ月)(p=0.028、0.034)。年齢および重症度を補正すると、喫煙は生存とは関連していなかった。心血管系疾患はもっともよくみられた合併症だった。現喫煙者は、既喫煙者よりもCOPDや肺癌を有している頻度が高かった。心血管系疾患、COPD、インスリンの使用は補正解析において生存期間の短縮と関連していた。

結論:
 現喫煙者の発症が若年であることから、喫煙はIPFの経過に影響を与えるだろう。しかし、喫煙そのものは生存には寄与していなかった。


# by otowelt | 2017-09-20 00:33 | びまん性肺疾患

結核性胸膜炎の診断に胸水中IL-27が有用

e0156318_9552565.jpg 結核性胸膜炎には悩まされていますから、非常に有用な報告ですね。

Wen Wang, et al.
Diagnostic accuracy of interleukin 27 for tuberculous pleural effusion: two prospective studies and one meta-analysis
Thorax 2017;0:1–8. doi:10.1136/thoraxjnl-2016-209718


背景:
 滲出性胸水の治療選択には正確な鑑別診断が肝要である。

目的:
 結核性胸膜炎に対する胸水中インターロイキン27の診断精度を調べること。

方法:
 インターロイキン27濃度、インターフェロンγ、ADAが51人の結核性胸膜炎患者および103人の非結核性胸膜炎患者の胸水で測定した(北京コホート)。北京コホートとは別に、その後120人の武漢コホートでも同様の検査を実施した。

結果:
 北京コホートでは、結核性胸膜炎の診断における胸水中インターロイキン27はカットオフ値を591.4 ng/Lに設定すると、AUC0.983 (95%信頼区間0.947 to 0.997)、感度96.1% (95%信頼区間86.5% to 99.5%)、特異度99.0% (95%信頼区間94.7% to 100%)、陽性適中率98.0 (95%信頼区間89.4 to 99.9)、陰性適中率98.1 (95%信頼区間93.3 to 99.8)だった。この診断精度の良さは、武漢コホートでも示された。インターロイキン27は、インターフェロンγと同等の精度を有し、ADAよりも精度が良かった。陰性の場合の検査後確率は0.1%未満であり、あらゆる結核蔓延地域で結核性胸膜炎を除外するのに役立つ。
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(文献より引用:Figure1A,1B)
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(文献より引用:Table3)

結論:
 高蔓延国における結核性胸膜炎の診断にインターロイキン27が有用かもしれない。この検査が陰性であれば、あらゆる結核蔓延地域で結核性胸膜炎を除外できるかもしれない。


# by otowelt | 2017-09-19 00:34 | 抗酸菌感染症

グレイスケール反転胸部レントゲン写真は、気胸の診断に有用か?

e0156318_14441648.jpg これは日本でも一時期流行りましたが、あまり気胸の除外に有用とは言えないようですね。

Musalar E, et al.
Conventional vs invert-grayscale X-ray for diagnosis of pneumothorax in the emergency setting.
Am J Emerg Med. 2017 Sep;35(9):1217-1221.


背景:
 気胸は臓側胸膜と壁側胸膜の間に空気が貯留する病態である。臨床的に疑った場合には、診断や重症度評価のために、画像検査が必須である。PCASを用いて、通常の胸部レントゲン写真をグレイスケール反転させた画像は、多くの医師が好む気胸診断法の1つである。

方法:
 クロスオーバーデザインによる症例対照研究である。胸部レントゲン写真PA像を用いて、10人の医師(少なくとも3年の経験がある医師)に気胸の評価をしてもらった。診断は、通常の読影とグレイスケール反転画像の読影の両方をこころみた。

結果:
 268人の患者が登録された。そのうち、106人が気胸患者で、162人がコントロール群に割り当てられた。通常のデジタル胸部レントゲン写真は、グレイスケール反転胸部レントゲン写真よりも感度が高かった(p<0,01)。標準的気胸診断法に比べると、グレイスケール反転画像では診断の感度が低かった(p<0,01)。

結論:
 気胸の診断において、グレイスケール反転胸部レントゲン写真は通常デジタル胸部レントゲン写真読影より優れているわけではなかった。前向き研究によって、グレイスケール反転胸部レントゲン写真の評価を行うべきであろう。


# by otowelt | 2017-09-16 00:16 | 呼吸器その他