多剤耐性結核におけるベダキリン延長投与の忍容性

e0156318_13203583.jpg MDRTBの治療薬として期待されているベダキリンの長期的安全性に関する報告です。

Lorenzo Guglielmetti, et al.
Long-term outcome and safety of prolonged bedaquiline treatment for multidrug-resistant tuberculosis
European Respiratory Journal 2016; DOI: 10.1183/13993003.01799-2016


背景:
 ベダキリンは最近承認された多剤耐性結核(MDRTB)の治療薬であり、24週間の投与が推奨されている。臨床試験外においてこの薬剤で治療された患者データは不足している。

方法:
 2011年1月から2013年12月31日までの間、MRTBの治療を受けた全患者を登録し、ベダキリンを30日以上投与された患者を多施設観察コホートに組み入れた。

結果:
 45人のMDRTB患者のうち、53%がフルオロキノロンとセカンドライン抗結核注射剤に耐性を示していた。また38%がこれらのいずれかに耐性を示していた。ベダキリン治療期間の中央値は361日で、33人(73%)が190日を超えてベダキリン延長投与を受けていた。総じて、36人(80%)の患者が良好なアウトカムであり、5人は追跡不能、3人は死亡、1人は治療失敗でベダキリン耐性を獲得した。再発は報告されなかった。重度および重篤な有害事象はそれぞれ患者の60%および18%で観察された。補正QT間隔(Fridericia法:QTcF)>500msecが11%の患者に観察されたが、不整脈や有症状の心副作用は観察されなかった。QTcFの延長により3人の患者でベダキリンの中止があった。標準治療とベダキリン延長治療を受けた患者の間に、アウトカムも有害事象の頻度も差は有意差は観察されなかった。

結論:
 ベダキリン含有レジメンは大多数の患者において良好なアウトカムであった。ベダキリンの延長投与はこのコホートにおいて忍容性が良好だった。



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# by otowelt | 2017-01-24 00:35 | 抗酸菌感染症

二次性胸水の中でも、両側胸水と漏出性胸水は死亡リスクが高い

e0156318_10101326.jpg 非悪性胸水を集めた大規模な研究です。

Steven P. Walker, et al.
Non-Malignant Pleural Effusions (NMPE): a prospective study of 356 consecutive unselected patients
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.12.014


背景:
 非悪性の二次性胸水は有意に罹患と死亡に影響を与える疾患である。これらの非悪性胸水(NMPE)はよくみられ、うっ血性心不全(CHF)が最多原因とされている。これにもかかわらず、死亡リスクに関するデータや死亡に影響を与える因子についてはほとんどデータが存在しない。

方法:
 われわれは未診断胸水を呈した782人の連続患者を登録した(2008年3月~2015年3月)。NMPEであった356人をさらに解析した。胸水生化学所見、胸水細胞診、胸壁エコー、胸部レントゲン写真など。臨床的適応があれば、心電図、CT検査、放射線ガイド下生検、内科的胸腔鏡が実施された。患者は最低でも12ヶ月追跡され、2人の独立した呼吸器科医によって最終診断が決定された。

結果:
 上述したように、782人のうち356人(46%)がNMPEだった。これらの患者は平均年齢68±17歳で、69%が男性だった。心、腎、肝不全のある患者の1年死亡率はそれぞれ50%、46%、25%だった。両側胸水(ハザード比3.55、95%信頼区間2.22-5.68)、漏出性胸水(ハザード比2.78、95%信頼区間1.81-4.28)はNMPE患者における予後不良と関連していた。両側胸水のある患者の1年死亡率は57%、漏出性胸水のある患者の1年死亡率は43%だった。

結論:
 これはNMPE患者を収集した最も大規模なデータであり、臓器不全に続発した胸水は1年死亡率が著明に高いことを示している。加えて、両側胸水、漏出性胸水の存在は死亡のリスクであった。



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# by otowelt | 2017-01-23 00:03 | 呼吸器その他

経皮的肺生検後の気胸を抑制するデバイス:BioSentry™

 CTガイド下生検などの経皮的肺生検の後の気胸を予防するために開発されたBioSentry™の論文です。この製品についてはYouTubeに分かりやすい動画があります。
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写真. 動画より引用
https://www.youtube.com/watch?v=iR8xCk68IZo

 マッチした後の方で、コントロール群の気胸発生率と胸腔ドレーン挿入率の頻度が明らかに上昇しているのですが・・・。

Ahrar JU, et al.
Efficacy of a Self-expanding Tract Sealant Device in the Reduction of Pneumothorax and Chest Tube Placement Rates After Percutaneous Lung Biopsy: A Matched Controlled Study Using Propensity Score Analysis.
Cardiovasc Intervent Radiol. 2017 Feb;40(2):270-276.


背景:
 経皮的肺生検後の気胸の発生率および胸腔ドレーン挿入率を減らすために自己拡張型穿刺孔被覆デバイス:BioSentry™を用いた研究を実施した。

方法:
 この後ろ向き研究では、318人のBioSentry™を受けた患者と1956人の受けていない患者を比較した。患者因子、病巣因子、手技特異的因子および気胸発生率、胸腔ドレーン挿入率が記録された。潜在的な選択バイアスを補正するため、患者は傾向スコアを用いて1:1にマッチされた。傾向スコアが0.02以下の絶対差であればマッチ妥当と考えた。

結果:
 マッチする前の時点で、気胸発生率および胸腔ドレーン挿入率はそれぞれコントロール群24.5%、13.1%、BioSentry™群21.1%、8.5%だった。傾向スコアを用いて、BioSentry™群の317人をマッチさせた。結果、気胸発生率(20.8 vs. 32.8%; p = 0.001)、胸腔ドレーン挿入率(8.2 vs. 20.8%; p < 0.0001)と有意にBioSentry™群で抑制できた。両治療ともに30例を超えて経験している術者に限っても同様の結果だった(気胸発生率:17.6 vs. 30.2%; p = 0.002、胸腔ドレーン挿入率:7.2 vs. 18%; p = 0.001)。

結論:
 自己拡張型穿刺孔被覆デバイス:BioSentry™は経皮的肺生検後の気胸発生率および胸腔ドレーン挿入率を有意に減少させる。特に後者の抑制に有効と考えられる。



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# by otowelt | 2017-01-20 00:11 | 呼吸器その他

喘息診断例の33.1%は、現在喘息がない

e0156318_13444039.jpg 呼吸器科医必読であります。
 私は「気道可逆性検査」が日本全国どの病院でも信頼性がある検査と言えるのかどうか、疑問に感じています。検査をオーダーして満足しているドクターも多いはず。
 気道可逆性検査時のSABA吸入は誰がイニシアチブをとっていますか?検査技師?患者さん自身?そのSABA吸入は、本当にしっかりとできていますか?
 以前あるセミナーで「とりあえず、シュッシュっと噴霧すればいいんでしょうか?」と聞いてこられた検査技師さんがおられ、SABA吸入の手技なんて誰も教えてくれないとぼやいていました。

Shawn D. Aaron, et al.
Reevaluation of Diagnosis in Adults With Physician-Diagnosed Asthma
JAMA. 2017;317(3):269-279.


背景:
 喘息は慢性疾患だが、成人喘息の自然寛解率や診断の安定性はよくわかっていない。

方法:
 前向き多施設共同コホート研究がカナダの主要10地域で実施された。ランダムに電話し、過去5年以内に喘息と診断された成人患者を抽出した。長期経口ステロイドを用いている患者、スパイロメトリーを試験できない患者は除外された。どのように喘息診断にいたったのか調べるために診断医から情報を得た。
 1026人の被験者がスクリーニング基準を満たし、701人(68.3%)がこの研究への登録を受容した。全被験者は自宅ピークフロー値・症状モニタリング、スパイロメトリー、気道過敏性検査を受け、これらの被験者は喘息治療薬を4回の受診をかけて漸減されていった()。 フローチャートの如く、現在喘息がないと判断された患者の割合をプライマリアウトカムとした。
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(文献より引用)

結果:
 701人の被験者(平均年齢51±16歳、467人[67%]が女性)のうち、613人が試験を完遂した。喘息の存在が否定されたのは、613人の被験者のうち203人(33.1%、95%信頼区間29.4%-36.8%)だった。12人(2.0%)の被験者は重篤な循環呼吸器系障害があると報告された。
 追加12ヶ月の追跡により、最終的に181人(29.5%、95%信頼区間25.9-33.1%)が喘息のエビデンスなしと判断された。
 現在喘息がないと判断された被験者は、喘息があると判断された被験者と比較すると、初期診断で気流制限を評価されているケースが少なかった(43.8% vs 55.6%, 絶対差11.8%; 95%信頼区間2.1%-21.5%)。

※呼吸器科医として気になるのは次の表。もう少し診断率が高いと思っていたのだが・・・。
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(文献より引用改変)

※現在の喘息の存在を示唆する因子の補正オッズ比
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(文献より引用改変)

結論:
 喘息と診断された成人のうち、現在喘息があると認定されなかった者は33.1%にのぼった。



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# by otowelt | 2017-01-19 00:39 | 気管支喘息・COPD

COPD患者に対する気管支鏡の安全性

e0156318_9511053.jpg 特に変わった結果はなさそうです。

Peter Grendelmeier, et al.
Flexible bronchoscopy with moderate sedation in COPD: a case–control study
International Journal of COPD 2017:12 177–187


背景:
 軟性気管支鏡は診断および治療目的での使用が増えている。われわれは、COPD患者において中等度の鎮静を併用した軟性気管支鏡の安全性を調べた。

方法:
 この研究は前向き縦断的症例対照単施設研究であり、1400人の連続患者を登録した。臨床的アセスメントおよび肺機能アセスメントののち、患者はCOPDあるいは非COPDに分類された。プライマリエンドポイントは合併症発生の複合アウトカムとした。

結果:
 合併症の頻度は両群同等であった。COPD患者は鼻あるいは経口エアウェイ挿入の頻度が高かったが、年齢、性別、手技時間で補正すると有意差は消失した。低血圧がもっともよくみられたCOPD患者の合併症だった。Sp2 90%以下の低酸素血症の発生も両群同等であった。しかしながら、COPD患者は平均および最低Sp2が非COPD群よりも低かった。PtcCO2の変化は両群ともに同等であったが、ピークPtcCO2とPtcCO2>45mmHgの時間はCOPD群の方が高かった。患者報告アウトカムは両群同等だった。
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(文献より引用)

結論:
 COPDの有無を問わず、軟性気管支鏡は同等の安全性を有する。



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# by otowelt | 2017-01-18 00:35 | 気管支喘息・COPD