禁煙成功の予測因子

e0156318_14441648.jpg 禁煙の予測因子を調べたものです。

Mathias Holm, et al.
Predictors of smoking cessation: A longitudinal study in a large cohort of smokers
Respiratory Medicine, https://doi.org/10.1016/j.rmed.2017.10.013


背景:
 一般集団での禁煙に関する予測因子の研究はほとんどない。複数の潜在的予測因子、とりわけ呼吸器疾患と心血管疾患に焦点をあて、我々は禁煙率を調べた。

方法:
 1945年から1973年に出生した北ヨーロッパ7施設の喫煙者4536人をRHINE研究(1999-2001年)に登録し、2010~2012年に新たな質問票を用いて追跡調査した。2564年が質問票に回答し、喫煙に関するデータが提供された。Cox回帰分析を用いて、ハザード比を算出した。

結果:
 合計999人(39%)が研究期間中に禁煙した。禁煙率は1000人年あた44.9人だった。禁煙率は高齢者ほど、また教育水準が高いほど、喫煙年数が少ないほど高かった。喘息、喘鳴、花粉症、慢性気管支炎、糖尿病、高血圧は禁煙を有意には予測しなかったものの、研究期間中に虚血性心疾患で入院となった喫煙者は喫煙をやめやすかった(ハザード比3.75、95%信頼区間2.62-5.37)。

結論:
 禁煙成功は中年の喫煙者によくみられ、喫煙年数が少ないほど、教育水準が高いほど関連している。呼吸器疾患の診断は、喫煙をやめる明らかな動機にはならないが、虚血性心疾患の急性エピソードは当該研究集団では禁煙を促した。


# by otowelt | 2017-11-22 00:37 | 呼吸器その他

LAMA/LABA合剤直接比較試験:アノーロ® vs スピオルト®

e0156318_1633480.jpg LAMA/LABA合剤の直接比較試験です。FundingはGSKなのでその点は加味すべきと思います。

Gregory J. Feldman, et al.
Comparative Efficacy of Once-Daily Umeclidinium/Vilanterol and Tiotropium/Olodaterol Therapy in Symptomatic Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Randomized Study
Adv Ther. 2017 Nov 1. doi: 10.1007/s12325-017-0626-4.


背景:
 われわれは、COPD患者において1日1回吸入の固定用量LAMA/LABA合剤の直接比較の結果を報告する(ウメクリジニウム/ビランテロール[UMEC/VI:U] vs チオトロピウム/オロダテロール[TIO/OLO:T])。

方法:
 これはICS治療を受けていない有症状COPD患者(40歳以上、mMRC2以上)におけるランダム化2期間クロスオーバーオープンラベル試験である。患者はランダムにU(エリプタ:62.5/25μg1日1回)あるいはT(レスピマット:5/5μg)に3週間のウォッシュアウト後に8週間割り付けられた(クロスオーバーデザイン)。プライマリエンドポイントは8週時点でのトラフ1秒量とした(per-protocol集団の非劣性マージン-50mL)。副作用についてもデータを収集した。
e0156318_22455510.jpg
(文献より引用)

結果:
 合計236人(平均年齢64.4歳、60%が男性)がITT集団に組み入れられ、227人がper-protocol集団に該当。8週時点でのトラフ1秒量について、U群はT群に対してper-protocol集団において非劣性で、ITT集団において優越性であった(ベースラインからの1秒量変化180mL vs 128mL, 差52mL[95%信頼区間28-77mL]、p<0.001)。U治療を受けている患者は、臨床的に意義のある(100mL以上)ベースラインからのトラフ1秒量増加オッズ比がT治療の2倍だった(オッズ比2.05; 95%信頼区間1.34-3.14)。副作用イベントは、U群の25%、T群の31%に発生した。
e0156318_22465172.jpg
(文献より引用)

結論:
 1日1回吸入のLAMA/LABA合剤を直接比較した初の臨床試験において、有症状COPD患者におけるU治療はT治療よりも8週時点でのトラフ1秒量のプライマリエンドポイントに対して優越性を示した。両剤とも安全性プロファイルは同等だった。


# by otowelt | 2017-11-21 00:18 | 気管支喘息・COPD

HIV合併結核は治療成績が悪い

e0156318_9552565.jpg HIV合併結核は年に数えるくらいしか診療しないため、非常に勉強になります。 

松本 健二ら.
大阪市におけるHIV合併肺結核の結核治療成績に関連する要因
Kekkaku Vol. 92, No. 1 : 21_26, 2017


目的:
 HIV 合併肺結核の結核治療成績に関連する要因を分析評価することにより今後の対策
に寄与する。

方法:
 対象は2008~2014 年,大阪市の新登録肺結核のうちHIV 合併が判明した例とした。対照として,性と年代をマッチングさせた2012~2014 年の大阪市の新登録肺結核を用いた。分析はχ2検定およびFisher の直接法を用い,危険率5 % 未満を有意差ありとした。

結果:
 ① HIV 合併肺結核は25 例であり,すべて男性で平均年齢は43.2 歳であった。②喀痰塗抹陽性率は,HIV 合併肺結核では76.0%,一方,対照の肺結核250 例では50.8% と前者で有意に高かった。③結核治療の服薬中断リスク項目:服薬中断リスク項目の検討では,HIV 合併肺結核は多い順に「服薬協力者なし」68.0%,「副作用」48.0%,「経済的な問題」32.0%,「肝障害」28.0% と続き,一方,対照の肺結核ではそれぞれ33.2%,22.8%,16.0%,11.6% であり,各項目に有意差を認めた。④ DOTS 実施率は,HIV 合併肺結核では68.0%,対照の肺結核では94.8% と,HIV 合併肺結核で有意に低かった。死亡,転出,治療中を除く治療成績の比較では,治療成功がHIV 合併肺結核は72.7%,対照の肺結核では92.9% と,HIV 合併肺結核で有意に低かった。HIV 合併肺結核の治療成功16 例と失敗中断6 例それぞれの中断リスクの平均個数は3.8 個,2.8 個と治療成功例で多かったが,DOTS 実施率は75.0%,33.3% と,治療成功例でDOTS 実施率が高かった。

結論:
 HIV 合併肺結核は対照の肺結核より結核の治療成績が有意に悪かった。HIV 合併肺結核では服薬中断リスク項目を多く認め,かつDOTS 実施率が低かったため,服薬中断のリスクアセスメントを適切に行い,服薬支援を強化するべきであると考えられた。


# by otowelt | 2017-11-20 00:58 | 抗酸菌感染症

結核の診断に3連痰は必要か?

e0156318_9552565.jpg 実臨床にマッチした内容と思います。

小林賀奈子ら.
結核診断に必要な喀痰塗抹検査回数
Kekkaku Vol. 92, No. 1 : 1_3, 2017


目的:
 結核の診断に集菌塗抹の蛍光染色による3 連続喀痰検査が必要か検討した。

対象:
 2005 年4 月1 日から2012 年12 月31 日の間に肺結核にて入院し,抗結核薬治療を受けた394 人のうち,喀痰培養検査が陽性であり検体の選択基準を満たした379 人を対象とした。

方法:
 3 連続喀痰検査における1 回目喀痰塗抹陽性率と,2 回目・3 回目の累積喀痰塗抹陽性率を後ろ向きに調査した。検体の性状をMiller and Jones 分類を用いて評価し,1 回目の喀痰を粘性痰と膿性痰に分けて検討した。また喀痰採取方法や空洞病変の有無で塗抹陽性率の差を検討した。

結果:
 対象の379 人中,300 人が1回目の喀痰塗抹検査で陽性であった(陽性率79.2%)。粘性痰と膿性痰において1 回目の塗抹陽性率に差があった(72.3% 対91.2%)。一方,喀痰採取法や空洞病変の有無は1 回目の塗抹陽性率に影響しなかった。

考察:
 粘性痰では2 回目は有意に塗抹陽性率が上がったが3 回目は有意ではなく,膿性痰では1 回目で高い塗抹陽性率が得られ,膿性痰を採取することが重要であると考えた。


# by otowelt | 2017-11-17 00:33 | 抗酸菌感染症

日本における女性看護師・男性医師の結核感染・発病のリスクの検討

e0156318_9552565.jpg 私もかからないように気をつけねば・・・。

山内 祐子ら.
近年の日本における女性看護師・男性医師の結核感染・発病のリスクの検討
Kekkaku Vol. 92, No. 1 : 5_10, 2017


目的・対象:
 結核登録者情報システムのデータベースを用いて,女性看護師,男性医師の結核罹患および潜在性結核感染症のリスクを一般人口と比較した。

結果:
 2010 年の女性看護師の結核罹患率の相対危険度は20~69 歳で4.86(95% 信頼区間4.31 -5.45)であり,1987~97 年の2.30 よりも上昇していた。相対危険度は20~29 歳で8.84 と最も高く,年齢とともに下がり50 ~ 59 歳で3.60 となるが,それでもなお有意に1 よりは高い。男性医師では39歳以下の年齢でのみ有意に1 より高かった。潜在性結核感染症(LTBI)で治療を指示される者の人口割合は明らかにこれら医療従事者で高く,相対危険度は女性看護師で20~69 歳32.7(同30.5 - 35.0)で,20~29 歳の62.8 から60~69 歳の11.6 までの幅があった。男性医師では20~69 歳で9.7(同7.9-11.7)で,20~29 歳の14.5 から60~69 歳の5.3までの幅があった。

考察:
 看護師や医師の結核患者は一般人口に比して積極的患者発見方法(定期健診や接触者健診)で発見されることが多く,これは現在医療職場における感染曝露対策への努力を示すものといえる。しかしながら,これらの医療従事者における発病やLTBI が多く,また看護師においてみられたようになお上昇している可能性があることから,その問題の動向のさらなる監視と職場における全般的な対策の強化がなおも必要である


# by otowelt | 2017-11-16 00:53 | 抗酸菌感染症