胸部CTの「枝読み」は呼吸器内科医ごとに個人差がある

e0156318_9511053.jpg 枝読みは少し時間がかかるので、てっとり早く描出できるLungPointをよく使用しています。
 東京タワーを目指すとき、私は「だいたいあそこらへんかな」と目標を見つつ目指す感じだったのですが、今の若手医師は「次の角は左、そのあと右」とかなり細かい枝まで読み込める人が多いです。とはいえ、結局カーナビ(バーチャル気管支鏡)があると、それに頼ってしまいます。
 枝読みには、栗本先生の書籍(末梢病変を捉える 気管支鏡“枝読み”術 [DVD-ROM(Windows版)付])がオススメです。おそろしい本です。

水守康之ら.
肺末梢病変への到達ルート同定に仮想気管支鏡は有用か―CT画像読影実験―
気管支学 Vol. 39(2017) No. 2, 121-6.


背景:
 近年,肺末梢病変の診断において仮想気管支鏡による標的気管支への経路同定の有用性が報告されているが,理論的には通常のCT画像から3次元的に標的気管支を把握することが可能であり,仮想気管支鏡の必要性には疑問がある.

目的:
 熟練者においても仮想気管支鏡が通常のCT読影を上回る意義を有するかを検討する目的で,2症例をモデルにCT読影実験を行った.

対象と方法:
 過去に当院で仮想気管支鏡を用いて診断した末梢小型肺癌症例のうち,標的気管支以外の気管支が喀痰で閉塞していた症例1と,ブラのため正常構造が変位している症例2をモデルとし,気管支鏡経験5~31年の呼吸器科医16名に標的気管支への経路を同定させる実験を行った.被験者に時間制限なく胸部CT読影を行わせ,その後に仮想気管支鏡像を提示し,気管から標的気管支まで画像を進めながら,分岐部毎に正しいルートを選択させた.進路を間違えた時点で終了とした.

結果:
 症例1の正答率は3次,4次気管支でそれぞれ88%,50%,症例2では38%,6%であった.また,気管支鏡経験年数と正答率には相関がみられなかった.

結論:
 CT読影による肺末梢病変への経路同定能には経験年数に依存しない個人差がみられた.これにより医療の均てん化の見地から仮想気管支鏡の有用性が示唆された.


# by otowelt | 2017-04-27 00:54 | 気管支鏡

ドコサヘキサエン酸は気管支肺異形成のリスクを減らすどころか上昇させる

e0156318_1895439.jpg なかなか衝撃的な論文です。

Carmel T. Collins, et al.
Docosahexaenoic Acid and Bronchopulmonary Dysplasia in Preterm Infants
N Engl J Med 2017; 376:1245-1255


背景:
 動物・ヒトを対象とした研究では、n–3長鎖多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)が気管支肺異形成のリスクを低下させることが示唆されている。しかし、妥当なデザインの試験は不足している。

方法:
 29週未満の出生児1273人を、初期経腸栄養後3日以内に、60mg/kg/日のDHAを含む乳剤投与群と、DHAを含まないコントロール乳剤群(大豆)にランダムに割り付け、最終月経開始日から計算して36週まで経腸投与した。性別、在胎週数、投与された施設で層別化した。プライマリアウトカムは、最終月経開始日から計算して36週または自宅退院のいずれか早い時点での、生理学的気管支肺異形成とした。

結果:
 合計1205人がプライマリアウトカムの評価時点まで生存していた。生理学的気管支肺異形成があるとされた児は、DHA群では592人中291人(49.1%)だったのに対して、コントロール群では613人中269人(43.9%)だった(補正相対リスク1.13、95%信頼区間1.02~1.25、P=0.02)。セカンダリ複合アウトカムである、最終月経開始日から計算して36週以前にみられた気管支肺異形成あるいは死亡は、DHA群の52.3%、コントロール群の46.4%にみられた(補正相対リスク1.11、95%信頼区間1.00~1.23、P=0.045)。死亡率、その他の新生児疾患の発症に群間差はなかった。臨床的気管支肺異形成は、DHA群の53.2%とコントロール群の49.7%に発症した(P=0.06)。

結論:
 29週未満で出生した早産児において、DHA経腸投与は、大豆コントロール乳剤と比較して生理学的気管支肺異形成のリスクを低下させず、リスクを増大させる可能性がある。


# by otowelt | 2017-04-26 00:31 | 呼吸器その他

第10回PRIMEセミナー開催のお知らせ

 2017年6月10日に当院でPRIMEセミナーを実施します。最先端をひた走る重厚な指導陣があなたを呼吸器内科の深みへいざないます。

 お申込みの連絡先はこちらまで。(PRIMEセミナー担当:倉原 優)

 prime-entry@kch.hosp.go.jp

 下記画像をクリックすれば当院ウェブサイトへつながるので、詳細はそちらをご参照ください。



# by otowelt | 2017-04-24 00:59 | 呼吸器その他

ブイフェンド(ボリコナゾール)の後発品

 よく参照することが多いので、ブログにメモしておきます。ブイフェンド薬価×42%が後発品の薬価です。
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# by otowelt | 2017-04-21 00:26 | 感染症全般

EAHFEレジストリ:急性心不全に対するモルヒネ静注は30日死亡率を上昇させる

e0156318_12501028.jpg 当然ながら、かなり高齢者が多いです。

Òscar Miró, et al.
Morphine use in the emergency department and outcomes of patients with acute heart failure: A propensity score-matching analysis based on the EAHFE Registry
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.03.037


目的:
 救急部で急性心不全と診断された患者において、短期的な死亡率と静注モルヒネ使用の関連性を同定すること。

方法:
 34のスペインの救急部において、2011~2014年に急性心不全と診断された連続患者を登録した。登録患者は静注モルヒネを投与された群とそうでない群に分類された。プライマリアウトカムは30日死亡率とし、セカンダリアウトカムは異なる中間時点での死亡率、院内死亡率、入院期間とした。傾向スコアにより、ベースライン背景、臨床的特性、治療因子などをマッチさせた患者を登録した。モルヒネ投与を受けた患者における30日死亡率の独立リスク因子を調べた。

結果:
 6516人の患者(平均年齢81歳、56%が女性)を登録し、416人(6.4%)がモルヒネ群、6100人(93.6%)が非モルヒネ群に分類された。全体では、635人が30日時点で死亡していた(それぞれ26.7%、6.4%)。傾向スコアマッチで、275人のペア患者がそれぞれの群に登録された。
 モルヒネを投与された患者は、30日死亡率が高かった(死亡:55人[20.0%] vs. 35人[12.7%]; ハザード比1.66; 95%信頼区間1.09-2.54; p=0.017)。これは直接的に高血糖と相関しており(p=0.013)、ベースラインのBarthel Indexおよび収縮期血圧と逆相関していた(p=0.021)。
 死亡率はどの中間時点でも上昇していたが、リスクが最高に達していたのは短期間であった(3日時点:22[8.0%] vs. 7 [2.5%] ; オッズ比3.33; 95%信頼区間1.40-7.93; p=0.014)。院内死亡率は上昇しなかった(39 [14.2%] vs. 26 [9.1%]; オッズ比1.65; 95%信頼区間0.97-2.82; p=0.083) 。また入院期期間にも差はなかった(p=0.79)。

結論:
 傾向スコアマッチすると、急性心不全に対するモルヒネ静注は30日死亡率が上昇した。


# by otowelt | 2017-04-20 00:37 | 救急