肺移植後COPD患者は、その後の癌発症超過リスクが高い

e0156318_1633480.jpg もともと移植後のがん発症リスクは高いことが分かっています。海外とは異なり、日本ではCOPDに対して肺移植はほとんどおこなわれませんが。

Ekström M, et al.
Risk of cancer after lung transplantation for COPD
IJCOPD Volume 2017:12 Pages 2841—2847


背景:
 肺移植後にがんのリスクは上昇し生存に影響を与えるが、COPD患者においては報告がない。われわれは、COPDに対する肺移植後のがんの発症と予後について調べた。

方法:
 終末期COPDに対して肺移植をおこなわれた患者の前向き人口ベース研究が1990年~2013年にスウェーデンで実施された。がんの発症、死亡についてデータを収集した。超過リスクは、年齢、性別、暦年でマッチした一般集団と標準化罹患比を比較産出した。がんのリスク因子は Fine-Gray回帰を用いて解析し、がん診断後の生存についてはKaplan-Meier法で解析した。

結果:
 合計331人(平均年齢55.4歳、64%が女性、97%が既喫煙者)が登録された。追跡期間中央値は2.8年で、35%の患者ががんを発症した。がん発症リスクは10倍だった(95%信頼区間8.1-11.8)。
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(文献より引用)

 もっとも高い超過リスクを記録したのは非ホジキンリンパ腫の39倍(95%信頼区間20.8-66.7)で、皮膚がん27倍(95%信頼区間20.3-35.2)、肺がん19.8倍(95%信頼区間11.7-31.2)、肝臓がん17.7倍(95%信頼区間3.6-51.6)、結腸直腸がん11.4倍(95%信頼区間6.1-19.5)と続いた。生存期間中央値は、非皮膚がんと比べて皮膚がん(8年、95%信頼区間3-15年)で長かった。

結論:
 COPDに対する肺移植後のがん発症リスクは顕著に高かった。評価した因子で予測される類のものではなかったが、がんの発症は予後に大きく影響する。


# by otowelt | 2017-12-15 00:19 | 気管支喘息・COPD

T-SPOT®.TB強陽性と弱陽性の比較

e0156318_9552565.jpg IGRAは海外とは解釈が異なるので注意が必要です。

小高 倫生ら.
活動性結核の診断におけるT-SPOT®.TBの有用性の検討
Kekkaku Vol.92, No.10 : 575-580, 2017


目的:
 IGRA の検査法の一つであるT-SPOT®.TBが,結核菌培養陽性である活動性結核の診断に有用であることの報告はあるが,T-SPOT®.TB陽性症例をT-SPOT®.TBのスポット数の違いで比較検討することが,結核の日常診療に有効であるかを検討した。

対象と方法:
 2013 年4 月から2015年7 月までに当院呼吸器内科にて,肺結核が否定できない症例でT-SPOT®.TBを施行した中でT-SPOT®.TB陽性であった92例を対象とし,T-SPOT®.TB陽性群をスポット数によりT-SPOT®.TB強陽性群35例と弱陽性群57例に分類した。これらの症例の臨床的な相違をretrospectiveに検討した。スポット数での比較を明瞭化するために,T-SPOT®.TBのパネルA(ESAT-6)もしくはパネルB(CFP-10)の値が50以上のものをT-SPOT®.TB強陽性とし,50未満で8 以上のものをT-SPOT®.TB弱陽性と今回の報告では記載した。スポット数を50で分けた理由としては,スポット数50以上はT-SPOT®.TBが陽性であることが明らかであり,それ以上を測定していないため,50 以上と50 未満とを区別した。

結果:
 T-SPOT®.TB強陽性群35 例のうち結核菌培養陽性は10 例,T-SPOT®.TB弱陽性群57例のうち結核菌培養陽性は7 例であり,T-SPOT®.TB強陽性群はT-SPOT®.TB弱陽性群と比較して,結核菌培養陽性であった症例が有意に多かった(P<0.05)。

結論:
 T-SPOT®.TBのスポット数は活動性結核の補助的診断の一つとして有用な検査であると考えられる。


# by otowelt | 2017-12-14 00:28 | 抗酸菌感染症

ビデオ教育をしても閉塞性睡眠時無呼吸に対するCPAP療法アドヒランスは変わらない

e0156318_23181522.jpg ビデオごときでは変わらないということですね。

Guralnick AS, et al.
Educational video to improve CPAP use in patients with obstructive sleep apnoea at risk for poor adherence: a randomised controlled trial.
Thorax. 2017 Dec;72(12):1132-1139.


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者におけるCPAP療法のアドヒアランス不良は臨床的効果に影響を与えるが、アドヒアランス維持を強化するための行動学的介入については適切なプロトコルがない。それだけでなく、CPAP療法のアドヒアランス不良患者における介入法についてはこれまで研究されたことがほとんどない。この研究の目的は、CPAP療法のアドヒアランス不良リスクが高い患者あるいは不良である患者に対する教育ビデオの効果を調べることである。

方法:
 睡眠医学専門家のいない施設においてOSAが疑われ、紹介後ポリソムノグラフィを実施することになった被験者に対して、ポリソムノグラフィ前にOSAやCPAP療法に関するビデオを見てもらった。このプロトコルについて、通常ケアと比較した。プライマリアウトカムは治療開始30日時点でのCPAP療法アドヒアランスとし、セカンダリアウトカムは睡眠外来受診率(予約受診)、同受診から30日時点でのCPAP療法アドヒアランスとした。

結果:
 合計212人の患者が登録され、ビデオ教育群(99人)、通常ケア群(113人)にランダムに割り付けられた。30日時点でのCPAP療法アドヒアランスに有意差はみられなかった(3.3時間/日, 95%信頼区間2.8 to 3.8時間/日 vs 3.5時間/日、95%信頼区間3.1 to 4.0時間/日; p=0.44)。また、睡眠外来受診後30日時点でも差はみられなかった。受診率にも差はなかった。しかしながら、CPAP療法のアドヒアランスは睡眠外来受診がなかった患者では有意に悪かった。

結論:
 CPAP療法アドヒアランス不良のリスクが高い患者では、教育ビデオを見せてもアドヒアランスや受診率が向上しなかった。


# by otowelt | 2017-12-13 00:52 | 呼吸器その他

胸水貯留のあるNTM症の臨床的特徴

e0156318_21415744.jpg 時折胸膜炎合併のNTM症もいらっしゃるので、実臨床的で有用な報告だと思います。

Park S, et al.
Clinical characteristics and treatment outcomes of pleural effusions in patients with nontuberculous mycobacterial disease.
Respir Med. 2017 Dec;133:36-41.


背景:
 非結核性抗酸菌(NTM)の感染症は10年にわたって増加してきた。しかしながら、胸膜炎を呈した患者の臨床的特徴についてはよくわかっていない。

方法:
 胸水貯留がみられるNTM患者を1997年から2013年まで後ろ向きに同定した。患者は、確定例(9人:胸水あるいは胸膜からNTMが検出)、疑い例(5人:抗NTM治療によって胸水が軽減)に分けられた。臨床的特徴と治療アウトカムが解析された。胸膜炎のない肺MAC症の患者と胸膜炎のある患者が比較された。

結果:
 14人のNTM胸膜炎患者の年齢中央値は68歳であり、ほとんどが男性だった(14人中9人:64.3%)。 Mycobacterium intracellulareがもっともよくみられた菌種であり(50.0%)、続いてM. avium(35.7%)、M. abscessus (7.1%) 、M. kansasii (7.1%).だった。リンパ球比率の中央値およびADAの中央値はそれぞれ83%、97IU/Lだった。8人の患者が治療完遂し軽快したが、2人の患者はコントロール不良NTMによって死亡した。肺MAC症の胸膜炎患者は、通常の肺MAC症の患者と比較して結節気管支拡張型が少なく治療成功例率が低かった。

結論:
 NTM症の患者の胸水所見は結核のそれと類似していた。治療アウトカムは、胸膜炎があると不良であった。


# by otowelt | 2017-12-12 00:40 | 抗酸菌感染症

IPF患者は気胸を発症しやすく、それは予後不良につながる

e0156318_14441648.jpg 浜松医科大学からの報告です。

Nishimoto K, et al.
The prognostic significance of pneumothorax in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2017 Nov 12. doi: 10.1111/resp.13219. [Epub ahead of print]


背景:
 気胸はIPF患者に合併しやすいが、その頻度・リスク因子・予後的意義はいまだよく分かっていない。この研究の目的は、IPF患者における気胸の頻度・予後的意義を明らかにし、その発症のリスク因子を調べることである。

方法:
 ガイドラインに基づいてIPFと診断された84人の連続患者が登録された。われわれはその診療録を後ろ向きにレビューし、肺機能検査・胸部HRCT所見・気胸の頻度を調べた。気胸の予後的意義は時間依存性共変量のCox比例ハザードモデルを用いて解析された。気胸の累積発症率についても調べた。

結果:
 84人の患者のうち、17人(20.2%)が気胸を発症していた。累積発症率は1年で8.5%、2年で12.5%、3年で17.7%だった。単変量解析では、気胸は有意に予後不良と関連していた(ハザード比2.99; P = 0.002)。性別・年齢・%努力性肺活量で調整した多変量解析では、気胸はIPFアウトカムを不良にする独立予測因子だった(ハザード比2.85; P = 0.006)。低BMIおよび広範囲の網状影の存在は気胸の発症に有意に関連していた。

結論:
 経過中にIPF患者はしばしば気胸を発症し、それは予後不良につながる。


# by otowelt | 2017-12-11 00:48 | びまん性肺疾患