IPFの気腫合併例はIPF単独よりも予後不良

e0156318_7331272.jpg 当院に勤務されていた先生の論文です。ちゃんと形にされているので私も見習わねば。

Kohashi Y, et al.
Clinical Impact of Emphysema Evaluated by High-Resolution Computed Tomography on Idiopathic Pulmonary Fibrosis Diagnosed by Surgical Lung Biopsy.
Respiration. 2016 Aug 31. [Epub ahead of print]


背景:
 肺線維症と気腫の合併例の予後については解決されておらず、これは気腫例においてUIPパターンとNSIPパターンの放射線学的鑑別が困難だからである。

目的:
 この研究の目的は、IPF患者における気腫の存在が生存に与える臨床的影響を調べることである。

方法:
 2006年~2012年の間に、107人が肺生検によって間質性肺疾患と診断された。47人がIPFと診断された。HRCTにおける気腫は半定量的に評価された。

結果:
 47人のIPF患者のうち8人が高い気腫スコア(3点超)を呈しており、IPF-気腫と診断された。このIPF-気腫患者の生存期間中央値は初期診断から1734日であり、これはIPF単独の2229日と比べて有意に短かった(p = 0.007, log-rank test)。単変量Coxハザード回帰分析では高い気腫スコア(3点超)は、KL-6、SP-D、PaO2、%肺活量、%DLCOに加えて有意な予後不良因子であった。多変量Cox比例ハザード回帰分析では、高い気腫スコア(3点超)および%DLCOは有意な予後不良因子であった。

結論:
 IPF-気腫合併例の予後は、IPF単独よりも有意に不良である。


# by otowelt | 2016-09-27 00:50 | びまん性肺疾患

サルコイドーシスとIPFにおける疲労

e0156318_11333269.jpg サルコイドーシスの方が疲労感が大きいのかどうか、実臨床では正直わかりません。

Atkins CP, et al.
Fatigue in sarcoidosis and idiopathic pulmonary fibrosis: differences in character and severity between diseases.
Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2016 Aug 1;33(2):130-8.


背景:
 サルコイドーシスとIPFはいずれも間質性肺疾患という共通事項がある。疲労はサルコイドーシスの特徴であるとされているが、IPFの疲労との関連性については調べられていない。

目的:
 これらの疾患における疲労の頻度と重症度、および疲労スコアに影響する因子を調べること。

方法:
 サルコイドーシスおよびIPF患者において、単施設で横断的に質問票を用いた研究を実施した。質問票データには、疲労、不安、抑うつ、睡眠、呼吸困難の評価に加え、スパイロメトリーを含む疾患重症度をはかる検査も含めた。

結果:
 質問票は232人の患者で実施された(82人が健常ボランティア、73人がサルコイドーシス患者、77人がIPF患者)。サルコイドーシス患者は有意に睡眠スコアが高かったが、疲労、不安、抑うつに関しては有意差はなかった。重症度によって層別化すると、統計学的に有意ではないが、サルコイドーシス患者で疲労が強い傾向にあった。回帰分析では、サルコイドーシスコホートにおいて疲労を予測する因子は同定できなかったが、IPFコホートでは呼吸困難と睡眠スコアが有意に疲労を予測した(R2=0.74).

結論: 
 サルコイドーシスおよびIPF患者は疲労に苦しんでいるが、サルコイドーシス患者はIPF患者よりも重度の疲労スコアを呈する群と考えられた。


# by otowelt | 2016-09-26 00:38 | サルコイドーシス

AZALEA試験:成人喘息発作にアジスロマイシンは無効

e0156318_1637713.jpg 喘息発作に対してすでに抗菌薬を投与されている人が多いのが驚きでした。本研究では除外されていますが。

Sebastian L. Johnston, et al.
Azithromycin for Acute Exacerbations of Asthma:The AZALEA Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. Published online September 19, 2016.


背景:
 ガイドラインでは喘息発作に対する抗菌薬の使用を推奨していない。テリスロマイシンの研究では利益が示されているが、副反応のため使用は限定的である。

目的:
 成人の喘息発作時の標準治療にアジスロマイシンを加えるべきかどうか検証すること。

方法:
 これは、2011年9月から2014年8月まで実施された、成人喘息発作救急を扱っているイギリスの多施設で実施された、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験である(AZALEA試験)。6ヶ月を超える喘息既往のある成人で、経口ないし全身性ステロイドを要する喘息発作を呈したものを登録した。

介入:
 3日間のアジスロマイシン500mgあるいはプラセボに割り付けた。

アウトカム:
 プライマリアウトカムはランダム化から10日間の症状スコア記録、治療効果量は-0.3と想定した。セカンダリアウトカムは症状スコア、QOL質問票、肺機能の10日間の変化、症状スコアの50%の減少とした。

結果:
 4582人の患者が31施設からスクリーニングされ、380人のうち199人がランダム化された。非登録の主たる原因は、抗菌薬を投与されていたことであった。症状発現から薬剤投与までの時間は中央値で22時間だった(IQR 14-28時間)。発作背景は治療群間および施設間で差はみられなかった。プライマリアウトカムである症状スコアは、アジスロマイシン群で発作時4.14±1.38、10日後2.09±1.71点、プラセボ群で4.18±1.48点、2.20±1.51点だった。マルチレベル分析を用いると、10日時点の症状スコアの差には両群で有意差は観察されなかった(差−0.166点; 95%信頼区間−0.670 to 0.337)。これは症状発現から10日目のどの時点でも同様の結果だった。QOLや肺機能についても差はみられなかった。

結論:
 このランダム化比較試験では、アジスロマイシンによる治療は喘息発作に臨床的な利益をもたらさなかった。


# by otowelt | 2016-09-23 00:14 | 気管支喘息・COPD

TRILOGY試験:COPDに対するトリプル吸入療法は症状を改善しないが肺機能に利益

e0156318_10134879.jpg 言わずと知れたTRILOGY試験について。これはChiesi Farmaceutici SpA社の助成を受けている研究です。

Dave Singh, et al.
Single inhaler triple therapy versus inhaled corticosteroid plus long-acting β2-agonist therapy for chronic obstructive pulmonary disease (TRILOGY): a double-blind, parallel group, randomised controlled trial
Lancet, Volume 388, No. 10048, p963–973, 3 September 2016


背景:
 COPDに対するトリプル吸入療法(2種類の長時間作用性気管支拡張薬[LAMA, LABA]と吸入ステロイド薬[ICS])の効果に関する有用なデータは少ない。われわれは、1つの吸入デバイスで3剤(ベクロメタゾン++グリコピロニウム)(BDP/FF/GB)を吸入する治療と、BDP/FFの2剤を吸入する治療を比較した。

方法:
 このTRILOGY試験は、14ヶ国159施設で実施されたランダム化並行群間二重盲検試験である。これら施設は一次~三次医療機関まで幅広く組み込まれた。登録されたCOPD患者は気管支拡張後1秒量が50%未満で、過去12ヶ月の間に1回以上の中等症~重症COPD増悪を経験しており、CATスコアが10点以上で、BDI focalスコアが10点以下のものとした。また、ICS+LABA、ICS+LAMA、LABA+LAMA、LAMAによる2ヶ月以上の治療歴があることを条件とした。 
 登録患者は、2週間の導入期間(run-in period)においてBDP/FF(100μg/6μg 1日2回)の投与を受けた後、BDP/FF/GB(100μg/6μg/12.5μg 1日2回)のトルプル吸入療法にステップアップする群またはBDP/FF(100μg/6μg 1日2回)の2剤治療を維持する群にランダムに割り付けられ、52週治療が継続された(いずれもpMDIで吸入)。
 吸入前1秒量、吸入2時間後1秒量、TDI focalスコアの3つの複合プライマリエンドポイントによって26週時点で評価された。セカンダリエンドポイントとして、52週時点での中等症~重症のCOPD増悪の割合などを設定した。

結果:
 2015年3月21日から2016年1月14日までの間、1368人の患者がBDP/FF/GB群(687人)、BDP/FF群(681人)のいずれかに割り付けられた。26週時点で、BDP/FF/GB群ではBDP/FF群と比較して吸入前1秒量が0.081L(95%信頼区間0.052-0.109、p<0.001)、吸入2時間後1秒量が0.117L(95%信頼区間0.086-0.147、p<0.001)改善した。26週時点での平均TDI focalスコアはBDP/FF/GB群1.71点、BDP/FF群1.50点で、差は0.21点で有意差はみられなかった(p=0.160)。年間の中等症~重症増悪の頻度はBDP/FF/GB群0.41、BDP/FF群0.53と23%少なかった(率比0.77、95%信頼区間0.65-0.92、p=0.005)。有害事象はBDP/FF/GB群で368人(54%)、BDP/FF群の379人(56%)で観察された。BDP/FF/GB群で重篤な治療関連有害事象(心房細動)がみられた。

結論:
 COPD患者におけるICS/LABA治療からトリプル吸入療法にステップアップすることの臨床的利益を示した。


# by otowelt | 2016-09-22 00:39 | 気管支喘息・COPD

進行IPFに対する腹腔鏡下逆流防止術は有効か

e0156318_943137.jpg 侵襲性の割に、IPFに対するインパクトはなさそうです。

Ganesh Raghu, et al.
Laparoscopic anti-reflux surgery for idiopathic pulmonary fibrosis at a single centre
European Respiratory Journal 2016; DOI: 10.1183/13993003.00488-2016


目的:
 腹腔鏡下逆流防止術(laparoscopic antireflux surgery:LARS)がIPF患者の疾患進行を抑制することと関連するかどうか調べる。

方法:
 この研究は、胃食道逆流の治療に対する制酸剤の投与にもかかわらず、症状と呼吸機能の増悪がみられるIPF患者を対象とした後ろ向き単施設研究である。LARSを2009年9月から2012年12月に受けた患者を登録した。プライマリエンドポイントは、手術前後の%努力性肺活量の変化とした。

結果:
 進行性IPF患者27人がLARSを受けた。外科手術時、平均年齢は65歳で、平均%努力性肺活量は71.7%だった。回帰モデルを用いると、外科手術による%努力性肺活量の年間変化は5.7%(95%信頼区間-0.9~12.2%、p=0.088)、努力性肺活量変化は0.22L(95%信頼区間-0.06~0.49L、p=0.12)だった。平均DeMeesterスコアは42から4へ減少した(p<0.01)。外科手術後90日の死亡はなかった、また81.5%の被験者が手術後2年生存した。

結論:
 IPF患者はLARSに忍容性がある。統計学的に有意な努力性肺活量変化は1年では観察されなかった。現在進行している前向き研究で、IPFにおけるLARSの安全性と効果についてさらなる知見が得られるだろう。


# by otowelt | 2016-09-21 00:17 | びまん性肺疾患