緩和的鎮静(PST)はMSTを縮めない
2009年 07月 07日
ターミナルの患者さんにミダゾラム(ドルミカム)を用いる場合、
私たちの病院では非常に慎重におこなっている。
ガイドラインでも結構重めに設定されているので、
ホイホイとセデーションをかけてしまうのは憚られる実情がある。
このセデーションをかけるタイミングは、うちの病院の緩和ケアチームでは
家族(本人含)および主治医、医療スタッフの
一致して緩和的鎮静の必要性があると判断したときに限っている。
このセデーションは、生存期間をどう左右するのかという論文が
Annals of oncologyから出ていた。
結果としては、むしろ少し生存期間を延長するくらいの印象すら受ける。
Palliative sedation therapy does not hasten death: results from a prospective multicenter study
Annals of Oncology 2009 20(7):1163-1169;
背景および背景:
緩和的鎮静(PST) は、癌に対する緩和ケアが抵抗性であり耐えられない場合に
用いられる。このPSTがターミナルの患者において有害かどうかを検討した。
PSTを用いる群(A)と、一般的な緩和ケアプラクティスを用いる群(B)にわけた。
結果:
518人が登録され、267人がA、251人がB。
25.1%の患者がPSTに承諾。
平均および中央鎮静期間はそれぞれ
4日(standard deviation 6.0) 、2日(range 0–43)。
MSTはA群で12日[90%CI 10–14]、B群で9日(90% CI 8–10)(P = 0.330)
結論:
PSTは、緩和ケア抵抗性の場合に用いたとしてもMSTを縮めない。
by otowelt
| 2009-07-07 16:49
| 肺癌・その他腫瘍