7価肺炎球菌ワクチンは23価肺炎球菌ワクチンよりもCOPD患者では有効

現行の23価肺炎球菌ワクチンが、肺炎そのものの発症を予防するわけではなく
菌血症そのものをターゲットにしていることは有名である。
そのため、「肺炎が減りますよ」などという説明は言語道断である。

※2011年2月9日現在、全肺炎を減少させると考えられている論文がある。
Efficacy of 23-valent pneumococcal vaccine in preventing pneumonia and improving survival in nursing home residents: double blind, randomised and placebo controlled trial. BMJ (2010) vol. 340 (mar08 1) pp. c1004
 メタアナリシス・システマティックレビューがこの先組まれるかどうかは不明
 であるが、”肺炎を減らさない”という結論は早計であろう。


全ての肺炎球菌は莢膜という殻を持っている。
莢膜のタイプにより91の血清型に分類される。
肺炎球菌ワクチンは莢膜多糖体ワクチンと結合型ワクチンの2つに分けられ、
莢膜多糖体ワクチンは23の血清型の莢膜多糖体を含み、このワクチンが
現行の日本の肺炎球菌ワクチンである。
免疫は5~10年持続するとされるが、日本では今のところ反復接種は認められていない。
また、莢膜多糖体はT細胞非依存性抗原であるため、B細胞の発達が未熟な
2歳未満の乳幼児では抗体反応は不十分であるため、使用が認められていない。

肺炎球菌7価ワクチンは、4、6B、9V、14、18C、19F、23Fの7つの血清型の
莢膜多糖体を、T細胞依存性抗原であるジフテリア毒素変異蛋白(ジフテリアCRM197)
に結合させた結合型ワクチンで、乳児にも十分な免疫が誘導できる。
肺炎球菌7価ワクチンは、2000年に米国で実用化され、生後2、4、6か月の
3回接種の初回接種と12~15か月の追加1回接種、合計4回接種のスケジュールで実施。
成人に対しても本ワクチンは十分な抗体の上昇が期待できるが、
局所反応の問題などから適応にはなっていない現状がある。

商品名は、
PPSV23=ニューモバックス
PCV7=プレビナー

ブルージャーナル(AJRCCM)から、7価肺炎球菌ワクチンについての
論文が報告されていた。COPD高齢患者にも良好であるとの報告だが、
免疫応答は高齢者でやや低くなるらしい。

Superior Immune Response to Protein-Conjugate versus Free Pneumococcal Polysaccharide Vaccine in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 180. pp. 499-505, (2009)


目的:
 中等度あるいは重症のCOPD患者において、PPSV23よりもPCV7の方が
 特異的IgG抗体の機能的活性がすぐれていると仮説を立てた。
 そのため、高齢者にもよりよい免疫応答を起こすことができるのではないかと
 考えた。

方法:
 120人のCOPD患者をPPSV23 (63 subjects)とPCV7 (57 subjects)にランダム化。
 IgG濃度はELISAで測定し、これはopsonization killing index (OPK)の指標と
 して使用した。特異的IgGおよびOPKをワクチン接種1か月後に測定。

結果:
 どちらのワクチンも認容性は問題なかった。
 どちらの群でも接種後IgGとOPKはベースラインよりも高かった(P< 0.01)。
 接種後のIgGは、7血清型すべてでPCV7の方がPPSV23よりも高かった(P<0.05)。
 摂取後OPKは、7血清型のうち6血清型でPCV7の方がPPSV23よりも高かった。
  (統計学的に有意だったのは、そのうち4つであるが)
 
結論:
 COPD患者において、PCV7は、接種後1か月後の免疫応答をPPSV23よりも高める。
 高齢者やPPSV23既接種者は免疫応答を減らすかもしれないが。

by otowelt | 2009-09-17 09:41 | 感染症全般

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