HPV-16ウイルス腫瘍性蛋白E6・E7に対する合成長鎖ペプチドワクチンの有用性


10月16日に婦人科腫瘍学会から、パピローマウイルスワクチンの
ステートメントが発表されたのが記憶にあたらしい。

http://www.jsog.or.jp/statement/pdf/HPV_20091016.pdf

(1) HPV ワクチン接種が広範に行われることにより、将来、わが国における子宮頸がんの発生を約70%減少させることが期待できる。このことはわが国の女性とその家庭に幸福をもたらすだけでなく、子宮頸がん治療に要する医療費を大幅に抑制することにつながる。

(2) 11~14 歳の女子に対して優先的にHPV ワクチンを接種することを強く推奨する。なお、接種の費用については公的負担とすべきである。

(3) 11~14 歳でワクチン接種を受けることができなかった15 歳~45 歳の女性に対してもHPV ワクチンの接種を推奨する。本接種についても何らかの公的支援が望まれる。

(4) 現行のHPV ワクチン接種を行っても、子宮頸がんの発生をすべて予防できるわけではない。したがって、子宮頸がん検診は今後もきわめて重要であり、検診受診率の向上を目指した啓発が必要である。また、ワクチン接種者のフォローアップ体制が構築されることが望ましい。


NEJMより、HPVワクチンについての発表があった。

Vaccination against HPV-16 Oncoproteins for Vulvar Intraepithelial Neoplasia
N Engl J Med 2009; 361 : 1838 - 47.


背景:
 外陰上皮内腫瘍は、ハイリスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)、
 16 型(HPV-16)により引き起こされる慢性の疾患である。
 自然軽快するのは患者の1.5%未満で、術後の再発が高いことが問題である。

方法:
 合成長鎖ペプチドワクチンの免疫原性と有効性を、HPV-16 陽性かつ
 高グレード外陰上皮内腫瘍患者を対象に検討。HPV-16 陽性・グレード3の
 外陰上皮内腫瘍患者20 例にHPV-16 ウイルス腫瘍性蛋白E6・E7 由来の
 長鎖ペプチドを混合し、不完全フロイントアジュバントを加えたワクチンを
 3 ないし4 回接種。エンドポイントは、臨床反応とHPV-16特異的T細胞応答。

結果:
 主な有害事象として、局所腫脹が患者全員100%にみられた。発熱が64%。
 ただし、Common Terminology Criteria for Adverse Eventsの
 グレード2を超えるものはなかった。最後の接種から3 ヵ月後の追跡調査で、
 20例中12例(60%,95%CI 36~81)に臨床反応が認められ、症状が軽減。
 5 例では病変が完全に退縮し、うち 4 例では HPV-16 が検出されなかった。
 12ヵ月後の追跡調査では、19例中15 例に臨床反応が認められた(79%,
 95% CI 54~94)。そのうち9例では完全寛解(47%,95% CI 24~71)。
 24 ヵ月後の追跡調査時にもこの完全寛解率は維持されていた。
 ワクチンによる T 細胞応答は全例で認められ、3 ヵ月後に完全寛解が得られた
 患者では、完全寛解が得られなかった患者に比べてインターフェロンγ 関連
 増殖性 CD4+T 細胞応答が有意に強かった。

結論:
 HPV-16 陽性かつグレード3外陰上皮内腫瘍患者に対する
 HPV-16 ウイルス腫瘍性蛋白 E6・E7 に対する合成長鎖ペプチドワクチンは
 臨床反応が得られる可能性があり、完全寛解はHPV-16 特異的免疫の誘導と相関。

by otowelt | 2009-11-09 09:18 | 感染症全般

<< ARDSにおいて腹臥位療法は生... small airway di... >>