ARDSにおいて腹臥位療法は生存率を改善させない

ARDSの腹臥位療法のランダム化試験の結果が
JAMAから出ている。

ALI/ARDS の患者を安静臥床させて呼吸管理すると、
肺の背側に無気肺が生じるため、腹側には過剰な陽圧が
かかって過膨張になることが知られている。
その状態で肺血流は重力の影響で背側に多くなり、
換気と血流の不均衡が生じる。この状態から体位を
腹臥位に変換すると、無気肺のない腹側肺への肺血流が増多し、
換気/血流のマッチングが改善すると考えられている。

――――これが理論である。

今まで、どちらかといえばARDSにおける腹臥位の
メリットの方が多いという趨勢であり、そのような論文も
多かった。
Prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome.
Respr Care Clin N Am 8: 237-245, 2002.
Prone position in acute respiratory distress syndrome.
Eur Respir J 20: 1017-1028, 2002.


Crit Care Medの有名なメタアナリシスでは、
死亡率は有意差はないものの、酸素化の改善を認めている。
Effect of prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome: A meta-analysis. Critical Care Medicine.2008; 36 (2): 603-609


このJAMAの論文は、生存率におけるベネフィットを否定するものである。
傾向としては、やや効果があるかと思うカーブだが
統計学的には残念ながらP valueは有意差ナシ、である。

Prone Positioning in Patients With Moderate and Severe Acute Respiratory Distress Syndrome  A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2009;302(18):1977-1984.


背景:
 腹臥位療法は、ARDSにおける重症低酸素血症患者の生存率を
 改善する可能性があると考えられている。

目的・方法:
 多施設トライアルにより、ランダムにARDS 342人、重症低酸素血症を
 対象に、仰臥位と20時間/日の腹臥位療法に割り付けた。
 28日、6ヶ月死亡率をエンドポイントとした。

結果:
 28日死亡率・6か月死亡率はともに統計学的に同等であった
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結論:
 この試験により、ARDSにおける中等症~重症低酸素血症に対して
 腹臥位療法は生存率改善をもたらさないことがわかった。

by otowelt | 2009-11-11 14:51 | 集中治療

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