SSc患者の半数で早期肺高血圧症がみられる
2009年 11月 18日
SScの肺高血圧症といえば、あとあと問題になるケースが多かった
ように思うが、実はそうではないという論文がCHESTから出た。
つまり、早期から肺高血圧症を起こしうる上に
それら早期例は重症化しやすいという結論である。
Is Pulmonary Arterial Hypertension Really a Late Complication of Systemic Sclerosis?
CHEST November 2009 vol. 136 no. 5 1211-1219
背景:
肺高血圧症(PAH)は、全身性強皮症(SSc)でよくみられる致死的な合併症である。
PAHは、基本的にはSScの晩期に起こるものと考えられている。
このスタディは、早期にPAHが起こっていないかどうかを調べたものである。
方法:
78人のSSc+PAH患者のデータを採取。
PAHは非レイノー症状が最初に出てから5年以内に診断されたものを
early-onsetと定義した。それ以外の、5年より長い経過のあとの診断を
lateと定義した。
結果:
PAHは平均してSSc診断後6.3 ± 6.6年後に診断された。
early-onset PAHは43人(55.1%)、late-onset PAHじゃ35人(44.9%)。
early-onset PAH患者は、late-onset PAH患者よりも年齢が高かった
(平均年齢, 58.0 ± 12.5 vs 46.6 ± 12.9 years, p = 0.0002)。
SScサブタイプに差はなかった(limited vs diffuse、
anticentromere vs anti-Scl70 antibodies)。
診断時ではearly-onset PAHはlate-onset PAHよりも重症であり、
低cardiac indexであった(2.4 ± 0.6 vs 2.8 ± 0.6 L/min/m2, p = 0.005)。
結論:
当初考えられていた結論とは異なり、
early-onset PAHはおおよそ半分のSSc患者に認められ
diffuse SScでもlimited SScでも観察された。
そのため、SScの診断後はすみやかにPAHを検索すべきである。
by otowelt
| 2009-11-18 13:24
| びまん性肺疾患