ウェステルマン肺吸虫症

e0156318_22593024.jpg●概要
 ウェステルマン肺吸虫(Paragonimus westermani)は
 アジアに広く分布し、淡水蟹体内に寄生しこれらを不十分
 な加熱のまま経口摂取することでヒトへ感染する。

●疫学
 集団感染は上海ガニを介したものや、韓国などのカニの入った
 食材によるものが報告されている。ウェステルマン肺吸虫症は
 近年増加傾向にあり特に九州での報告が多い。
 ヒトに感染すると最終的に肺内に定住し成虫となる。
 成虫は細気管支領域で直径1~2cm の虫囊内で成熟し産卵する。

●診断
 診断は喀痰、便、胸水から虫卵を証明することで確定する。
 ウェステルマン肺吸虫の虫卵は長径80~90μm、短径46~52μm と大形で
 変異に富み、左右非対称で、無蓋端の卵殻は肥厚するといった特徴をもつ。
 肺内病変の存在する症例では、虫卵は気管支鏡検査による気管支擦過、
 洗浄または気管支鏡後の喀痰により比較的検出されるが
 気管支鏡前の喀痰検査での検出率は低い。
                 Chest 2001 ;120 : 514―520

 一般に胸水からの虫卵検出は稀で、そのような症例では血清や胸水の
 寄生虫抗体検査が診断に有用である。胸水は滲出性であり
 胸水中ADA やACE が高値を示すことがある。
                 小児科臨床1991 ; 44 :1179―1182.

 画像所見では、胸水、胸膜肥厚、気胸などの胸膜病変が約60%に認められる。
                 Am J Roentgenol 1992 ; 159 : 39―43.
 虫囊を形成し寄生するために、結節、腫瘤、囊胞、線状影など多彩な
 肺実質病変が80% 以上に認められる。

●治療
 Praziquantel 75mgKg日を3 日間が有効である。
 胸水貯留例では薬剤が胸水で希釈される可能性があるため、
 可能な限り投薬前に胸水を排液することが望ましい。

文責"倉原優"

by otowelt | 2010-01-11 22:37 | レクチャー

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