早期肺癌と診断された時点で禁煙しても、全死因死亡や再発リスクは低下する

「肺癌になってしまったから、もういまさら禁煙してもダメだわ」
なんておっしゃる患者さんも多い。
このBMJの論文によって、自信を持って
「禁煙すれば、死亡率が下がる」と伝えることができる。

Influence of smoking cessation after diagnosis of early stage lung cancer on prognosis: systematic review of observational studies with meta-analysis
BMJ 2010;340:b5569
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背景:
 喫煙者の肺癌リスクは非喫煙者に比べて高いが、禁煙によって
 ほとんどの組織型の肺癌リスクは低下する。リスク低下が最も大きいのは
 小細胞肺癌と扁平上皮癌であるが、癌と診断された後で禁煙した場合に
 はたして利益が得られるかどうかについては、明らかではなかった。

方法:
 系統的レビューとメタ分析を実施。
 CINAHL、Embase、Medline、Web of Science、CENTRALに、
 2008年12月までに登録された研究の中から、無作為化比較試験または
 観察研究で、肺癌診断後の禁煙が全死因死亡、癌死亡、
 二次性原発腫瘍の発生、再発に及ぼす影響を調べた研究を検索。
 予後に関連する交絡因子(年齢、性別、組織型、腫瘍の大きさ、病期、
 術式、術後放射線治療、化学療法、癌の既往、累積喫煙量など)で調整したのち、
 禁煙者と比較した喫煙継続患者のハザード比(HR)を算出。

結果:
・非小細胞癌
 喫煙の継続は、全死因死亡リスクの有意な増加と関係していた。
 HRは2.94(95%CI1.15-7.54)。
 二次性原発腫瘍のリスクには有意差はなし(HR2.29、0.50-10.58)。
 再発リスクは喫煙者で有意に高かった(HR1.86、1.01-3.41)。

・小細胞癌
 喫煙継続者では、全死因死亡リスク(HR1.86、1.33-2.59)、
 二次性原発腫瘍の発生(HR4.31、1.09-16.98)、
 再発(HR1.26、1.06-1.50)のリスクがすべて有意に高かった。
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早期非小細胞肺癌の5年生存率は、喫煙を続けている場合には33%だった
のに対し、禁煙すれば70%となった。限局型小細胞癌では、
喫煙者の5年生存率が29%、禁煙者は63%となった。
心血管イベントをサブ解析で除外しているので、純粋に喫煙によるものと
考えてよい結果であった。

結論:
 肺癌患者においては、禁煙は、心血管・呼吸器疾患のリスク低減よりも、
 癌の進行抑制を通じて患者に生存利益を与えると考えられた。

by otowelt | 2010-02-14 09:00 | 肺癌・その他腫瘍

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