DLSTは薬剤アレルギーに有用なのか?

呼吸器内科医はMTX肺炎(のような症例)に遭遇することが多いが、
MTX肺炎疑いに、MTXのDLSTを提出することは無意味である。
これはMTX-DLSTの陽性所見に意味がないという、
積み重ねてきたデータがあるためである
MTX服用RA患者のうち、何の有害事象もない患者の58%がDLST陽性)。
基本的に呼吸器学会も、DLST陽性は重要視していない。
あまりに偽陽性が多いため、誤診を招く可能性があるためだ。
薬剤性肺障害の評価,治療についてのガイドライン.第1 版.メディカルレビュー社,東京,2006.

そもそも、どの論文もガイドラインも、”DLST自体の解釈には注意を要する
というなんとも曖昧な指針を出しているのみで、
偽陽性という問題を孕んでいるような不完全な検査であれば
最初から”使うべきではない”とすべきである。
MTXのよう症例が集まればそれはそれでよいが、
1つ1つの薬剤にDLSTのエビデンスを作ることは不可能なので
DLSTそのものの有用性を中途半端な位置づけにしないでほしいものだ。

●薬剤性肺炎診断基準
①原因となる薬剤の摂取歴がある
②薬剤に起因する臨床病型の報告がある
③他の原因疾患が否定される
④薬剤の中止により病態が改善する
⑤再投与により増悪する
以上を満たすものとする。
薬剤性肺障害の評価,治療についてのガイドライン.第1 版.メディカルレビュー社,東京,2006.

●DLSTの依頼
ある検査会社の公開データでは、
3年間のDLST 依頼順位100位以内の薬物で
DLST 陽性率の高いベスト3は、
1.リウマトレックス®(77%)
2.TS-1®(75%)
3.ウコン(71%)
であった。
日本内科学会雑誌2007;96(9)

このうち、リウマトレックス®(MTX)では
DLSTの偽陽性が高率に起こることが報告されている。
Allergy Clin Immunol Int 2005; 17: 156―161

●関節リウマチとMTX肺炎
MTXを服用したことのない関節リウマチ患者10例
およびMTX を服用中であるが何の有害事象も認めない
関節リウマチ患者16例で、リウマトレックス®のDLSTを施行したところ
26 例中15 例(58%)で陽性であったとのことである。
DLSTは、患者リンパ球に薬物を添加してその芽球化を添加した
3H-チミジンの取り込みから判断する検査であるが、
MTX がチミジンのde novo 合成を阻害して細胞内のチミジンプールを
枯渇させるため、MTX を添加した細胞が外因性の3H-チミジンを
取り込んでしまうために、見かけ上DLST が陽性になるのかもしれない。
フルオロウラシルでも同様の機序でDLST の偽陽性がおこる。

●DLST陽性の解釈
DLST は一律にStimulation Index が180% 未満が陰性、
180~200% が偽陽性、200%以上を陽性としている。
DLST陽性であれば薬剤性肺炎の有用な根拠と”なりうる”(ただしMTXは上述のように
DLST陽性をその薬剤性肺炎の根拠とはしない)。
DLSTが重要視されているが、その解釈についてはなんともいえない。
結論としては、有用かどうかすら定かでないあやふやな検査と個人的に考えている。

by otowelt | 2010-03-02 00:04 | 内科一般

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