IPFにおいてイマチニブは生存率と肺機能を改善しない
2010年 03月 06日
イマチニブは、bcr-abl、c-kit、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体の
チロシンキナーゼ阻害活性を有する癌分子標的治療薬であり、
慢性骨髄性白血病、消化管間質性腫瘍に対して承認されている。
その一方で、特発性肺線維症(IPF)における線維化病態にはPDGFが
関与しており、イマチニブの有用性が期待されてきた。
肺線維症モデルにおけるイマチニブの肺線維化抑制効果が報告されていたが、
このランダム化試験によりイマチニブの有用性は否定的となった。
Imatinib Treatment for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Randomized Placebo-controlled Trial Results
Am J Respir Crit Care Med Vol 181. pp 604–610, 2010
方法:
119人の患者で検討。
多施設共同二重盲検臨床試験で、96週間にわたりイマチニブとプラセボを服用。
結果:
96週間のフォローアップによって、イマチニブはプラセボに比べて
プライマリエンドポイントであるdisease progression(%FVCの10%減少)
および死亡までの期間に影響を与えなかった(log rank P = 0.89)。
イマチニブによって、FVCは48,72,96週におけるどの時点でも
変化がみられなかった。(P > 0.39 at all time points)
DLCOも変化なし(P>0.26 at all time points)
安静時PaO2はイマチニブ群で48週時点ではよかった(P = 0.005) が、
96週目では変化なし(P = 0.074)。
96週で、イマチニブ群で8人の死亡、プラセボ群で10人の死亡がみられた。
29%の患者がプライマリエンドポイントに到達することなくトライアルオフした。
(イマチニブ, 32%; placebo, 27%; P = 0.51)
イマチニブ群において有意な有害事象は観察されなかった。
結論:
ランダム化プラセボ対照比較試験において、
mild to moderateのIPF患者では、イマチニブは
生存率および肺機能に影響しない。
チロシンキナーゼ阻害活性を有する癌分子標的治療薬であり、
慢性骨髄性白血病、消化管間質性腫瘍に対して承認されている。
その一方で、特発性肺線維症(IPF)における線維化病態にはPDGFが
関与しており、イマチニブの有用性が期待されてきた。
肺線維症モデルにおけるイマチニブの肺線維化抑制効果が報告されていたが、
このランダム化試験によりイマチニブの有用性は否定的となった。
Imatinib Treatment for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Randomized Placebo-controlled Trial Results
Am J Respir Crit Care Med Vol 181. pp 604–610, 2010
方法:
119人の患者で検討。
多施設共同二重盲検臨床試験で、96週間にわたりイマチニブとプラセボを服用。
結果:
96週間のフォローアップによって、イマチニブはプラセボに比べて
プライマリエンドポイントであるdisease progression(%FVCの10%減少)
および死亡までの期間に影響を与えなかった(log rank P = 0.89)。
イマチニブによって、FVCは48,72,96週におけるどの時点でも
変化がみられなかった。(P > 0.39 at all time points)
DLCOも変化なし(P>0.26 at all time points)
安静時PaO2はイマチニブ群で48週時点ではよかった(P = 0.005) が、
96週目では変化なし(P = 0.074)。
96週で、イマチニブ群で8人の死亡、プラセボ群で10人の死亡がみられた。
29%の患者がプライマリエンドポイントに到達することなくトライアルオフした。
(イマチニブ, 32%; placebo, 27%; P = 0.51)
イマチニブ群において有意な有害事象は観察されなかった。
結論:
ランダム化プラセボ対照比較試験において、
mild to moderateのIPF患者では、イマチニブは
生存率および肺機能に影響しない。
by otowelt
| 2010-03-06 14:59
| びまん性肺疾患