小児の急性喘息エピソードに、短期経口ステロイド治療は症状軽減に有用
2010年 03月 16日
小児を対象としている論文なので、
成長阻害という問題が立ちはだかるのはやむを得ないか。
Parent initiated prednisolone for acute asthma in children of school age: randomised controlled crossover trial
BMJ 2010;340:c843
背景:
学齢期の小児の急性喘息エピソードには、受診後の経口ステロイド治療が
有効だが、投与開始が遅れると効果は低下する。そのため
症状発現時に家庭内で治療を開始する方法は有益と考えられ、
オーストラリアでは、親による経口ステロイド治療が行われている。
ただ、喘息の小児に対するステロイド適用が増えると、身長の伸びが
抑制される可能性がある。
方法:
オーストラリアのビクトリア州で、過去1年間に
気管支拡張薬を24時間以上必要とする急性喘息エピソードを4回以上
経験していた5~12歳の小児を登録。
割り付けは、喘息のエピソードを対象とした。エピソードごとに個々の患児が
ステロイド(プレドニゾロン1mg/kg/日)またはプラセボを交互に
用いることになるよう割り付けた。
親には以下のように指示した。これまでの経験から、今回の発作がより
重症であると思ったら、または発作治療薬(レリーバー)を6~8時間適用
しても症状の改善が見られなかったら、迅速に試験薬の使用を開始し、
症状を観察しながら3~5日間投与を継続する。
プライマリエンドポイントは、7日間の昼間の症状スコアの平均。
これは「今日の昼間、どの程度の息苦しさを感じましたか」という問いにして
「全くなし」(スコア0)、「少し」(スコア1)、「時々」(スコア2)、
「かなりの時間」(スコア3)、「ほとんどの時間」(スコア4)、
「常に」(スコア5)のいずれかから患者が選択し記録したものを基に評価。
結果:
230人の小児を登録。試験薬が1回以上用いられたエピソードが分析対象。
2005年3月14日から2008年5月24日までの2年間に、親の手による
短期ステロイド治療を必要とした喘息エピソードは、131人(57%)に
トータル308回発生していた(55人が1回、29人が2回、23人が3回、
9人が4回、8人が5回、1人が6回、4人が7回、2人が8回)。308回中、
155エピソードがステロイドに、153エピソードがプラセボに割り付けられた。
7日間のスコアの平均は、ステロイド使用エピソードが1.19。プラセボ
使用エピソードが1.35で、幾何平均比は0.85(95%CI0.74-0.98、p=0.023)
となり、プラセボに比べステロイド使用エピソードでは日中の症状スコアが
15%低いことが明らかになった。
ステロイド治療は、夜間の症状スコアも16%低下させた。
幾何平均比は0.84(0.70-1.00、p=0.050)だった。
結論:
小児の急性喘息エピソードに対する、親の手による短期経口ステロイド治療は
喘息の症状を軽減させる。
成長阻害という問題が立ちはだかるのはやむを得ないか。
Parent initiated prednisolone for acute asthma in children of school age: randomised controlled crossover trial
BMJ 2010;340:c843
背景:
学齢期の小児の急性喘息エピソードには、受診後の経口ステロイド治療が
有効だが、投与開始が遅れると効果は低下する。そのため
症状発現時に家庭内で治療を開始する方法は有益と考えられ、
オーストラリアでは、親による経口ステロイド治療が行われている。
ただ、喘息の小児に対するステロイド適用が増えると、身長の伸びが
抑制される可能性がある。
方法:
オーストラリアのビクトリア州で、過去1年間に
気管支拡張薬を24時間以上必要とする急性喘息エピソードを4回以上
経験していた5~12歳の小児を登録。
割り付けは、喘息のエピソードを対象とした。エピソードごとに個々の患児が
ステロイド(プレドニゾロン1mg/kg/日)またはプラセボを交互に
用いることになるよう割り付けた。
親には以下のように指示した。これまでの経験から、今回の発作がより
重症であると思ったら、または発作治療薬(レリーバー)を6~8時間適用
しても症状の改善が見られなかったら、迅速に試験薬の使用を開始し、
症状を観察しながら3~5日間投与を継続する。
プライマリエンドポイントは、7日間の昼間の症状スコアの平均。
これは「今日の昼間、どの程度の息苦しさを感じましたか」という問いにして
「全くなし」(スコア0)、「少し」(スコア1)、「時々」(スコア2)、
「かなりの時間」(スコア3)、「ほとんどの時間」(スコア4)、
「常に」(スコア5)のいずれかから患者が選択し記録したものを基に評価。
結果:
230人の小児を登録。試験薬が1回以上用いられたエピソードが分析対象。
2005年3月14日から2008年5月24日までの2年間に、親の手による
短期ステロイド治療を必要とした喘息エピソードは、131人(57%)に
トータル308回発生していた(55人が1回、29人が2回、23人が3回、
9人が4回、8人が5回、1人が6回、4人が7回、2人が8回)。308回中、
155エピソードがステロイドに、153エピソードがプラセボに割り付けられた。
7日間のスコアの平均は、ステロイド使用エピソードが1.19。プラセボ
使用エピソードが1.35で、幾何平均比は0.85(95%CI0.74-0.98、p=0.023)
となり、プラセボに比べステロイド使用エピソードでは日中の症状スコアが
15%低いことが明らかになった。
ステロイド治療は、夜間の症状スコアも16%低下させた。
幾何平均比は0.84(0.70-1.00、p=0.050)だった。
結論:
小児の急性喘息エピソードに対する、親の手による短期経口ステロイド治療は
喘息の症状を軽減させる。
by otowelt
| 2010-03-16 11:59
| 気管支喘息・COPD