SWOG9900試験:早期NSCLCの術前化学療法はOSとPFSが良好であった(ただ術後化学療法の方がすぐれる?)
2010年 04月 20日
肺癌の世界における術後化学療法の有効性が示されたのは、結構最近である。
これは、2003年のASCO以降の報告が相次いだことによる。
きっかけになったのは、The IALT Collaborative Groupの報告である。
I期~III期の非小細胞肺癌に対するcisplatin併用化学療法によって5年生存率が
4.1%改善したというものだ。そのIALTのあとも、NCI-C JBR.10、CALGB-9633、
ANITA・・・など統計学的に有意な生存率改善がみられる術後化学療法の報告が相次いだ。
じゃあ術前化学療法はダメなのか、と問われると議論の余地がある。
結論的には、EBMは術後化学療法を推奨している。理由は術前化学療法における
手術の合併症と術後死亡率の高さと考えられる。
術前化学療法では、NATCH試験とLU22試験が有名である。 今回JCOに掲載されているSWOG9900試験は、術前化学療法にカルボプラチン+
パクリタキセルを使用した過去の論文データを正式に公表したものである。
Surgery With or Without Preoperative Paclitaxel and Carboplatin in Early-Stage Non–Small-Cell Lung Cancer:Southwest Oncology Group Trial S9900, an Intergroup, Randomized, Phase III Trial
J Clin Oncol 2010 Mar 15(Epub ahead of print)
背景:
早期非小細胞肺癌(NSCLC)患者の予後は完全切除ができた場合でも不良である。
これまでに行なわれた試験で切除可能NSCLCに対する術前(導入)化学療法は
実施可能であり、有望な生存データも示されている。本無作為第III相試験では、
早期NSCLC患者において術前パクリタキセル+カルボプラチン療法後の手術施行
と手術単独の場合のOSの比較を試みた。
方法:
Stage IB~IIIA NSCLC(肺尖部胸壁浸潤がんおよびN2症例を除く)の適格患者
を手術単独群またはパクリタキセル(225mg/m(2))+
カルボプラチン(AUC 6)3サイクル後の手術施行群に無作為に割りつけた。
プライマリエンドポイントはOS、セカンダリエンドポイントはPFS、
腫瘍縮小効果および毒性である。
結果:
試験は患者354例を登録した時点で、他の試験により術後化学療法の生存に
対する有用性が報告されたため早期に終了となった。OS中央値は
手術単独群41ヵ月、術前化学療法群62ヵ月
(HR 0.79;95%CI 0.60-1.06;p=0.11)、PFS中央値はそれぞれ
20ヵ月と33ヵ月(HR 0.80;95%CI 0.61-1.04;p=0.10)であった。
化学療法の奏効率は41%であった。予期しない毒性は認められなかった。 結論:
今回の試験は術後化学療法を支持する明確なエビデンスが示されたため早期に
終了となった。OSとPFSは術前化学療法群で良好であったが統計的有意差には
達しなかった。現状においては、早期NSCLCに対しては術後化学療法のほうが
より強固なエビデンスが存在するというべきである。
これは、2003年のASCO以降の報告が相次いだことによる。
きっかけになったのは、The IALT Collaborative Groupの報告である。
I期~III期の非小細胞肺癌に対するcisplatin併用化学療法によって5年生存率が
4.1%改善したというものだ。そのIALTのあとも、NCI-C JBR.10、CALGB-9633、
ANITA・・・など統計学的に有意な生存率改善がみられる術後化学療法の報告が相次いだ。
じゃあ術前化学療法はダメなのか、と問われると議論の余地がある。
結論的には、EBMは術後化学療法を推奨している。理由は術前化学療法における
手術の合併症と術後死亡率の高さと考えられる。
術前化学療法では、NATCH試験とLU22試験が有名である。
パクリタキセルを使用した過去の論文データを正式に公表したものである。
Surgery With or Without Preoperative Paclitaxel and Carboplatin in Early-Stage Non–Small-Cell Lung Cancer:Southwest Oncology Group Trial S9900, an Intergroup, Randomized, Phase III Trial
J Clin Oncol 2010 Mar 15(Epub ahead of print)
背景:
早期非小細胞肺癌(NSCLC)患者の予後は完全切除ができた場合でも不良である。
これまでに行なわれた試験で切除可能NSCLCに対する術前(導入)化学療法は
実施可能であり、有望な生存データも示されている。本無作為第III相試験では、
早期NSCLC患者において術前パクリタキセル+カルボプラチン療法後の手術施行
と手術単独の場合のOSの比較を試みた。
方法:
Stage IB~IIIA NSCLC(肺尖部胸壁浸潤がんおよびN2症例を除く)の適格患者
を手術単独群またはパクリタキセル(225mg/m(2))+
カルボプラチン(AUC 6)3サイクル後の手術施行群に無作為に割りつけた。
プライマリエンドポイントはOS、セカンダリエンドポイントはPFS、
腫瘍縮小効果および毒性である。
結果:
試験は患者354例を登録した時点で、他の試験により術後化学療法の生存に
対する有用性が報告されたため早期に終了となった。OS中央値は
手術単独群41ヵ月、術前化学療法群62ヵ月
(HR 0.79;95%CI 0.60-1.06;p=0.11)、PFS中央値はそれぞれ
20ヵ月と33ヵ月(HR 0.80;95%CI 0.61-1.04;p=0.10)であった。
化学療法の奏効率は41%であった。予期しない毒性は認められなかった。
今回の試験は術後化学療法を支持する明確なエビデンスが示されたため早期に
終了となった。OSとPFSは術前化学療法群で良好であったが統計的有意差には
達しなかった。現状においては、早期NSCLCに対しては術後化学療法のほうが
より強固なエビデンスが存在するというべきである。
by otowelt
| 2010-04-20 11:58
| 肺癌・その他腫瘍