血液培養時の消毒のエビデンス イソジンVSアルコール綿

血液培養を採取する場合、アルコール綿だけでよいのか、
イソジンをした方がよいのかという現在のエビデンス


まず、IDSAガイドラインでは以下のような記載がある。

・皮膚から採血する場合の皮膚消毒は注意深く行うべきで、
 アルコールまたはヨードチンキ、アルコール性クロルヘキシジン
 (0.5%以上)を使って(ポピドンヨードはあまりよくない)消毒して、
 血液培養のコンタミネーションを防ぐため、十分な皮膚への接触時間
 および乾燥時間をとるべきである(A-I)。
このIDSAの記載の元になった論文は、2000年よりも前の2論文である。
・A randomized trial of povidone-iodine compared with iodine tincture for venipuncture site disinfection: effects on rates of blood culture contamination.
Am J Med 1999; 107:119–25.
(ヨードチンキをすすめる論文)
・Chlorhexidine compared with povidone-iodine as skin preparation before blood culture: a randomized, controlled trial.
Ann Intern Med 1999; 131:834–7.
(クロルヘキシジンをすすめる論文)
上記2つの論文では、イソジン(ポピドンヨード)の乾燥時間が十分に
とれていなかったため、いずれもイソジンが必ずしも劣るわけではないかも
しれないと考察されている。

Calfee医師が、以下の論文を2002年に出した。
・Comparison of Four Antiseptic Preparations for Skin in the Prevention of Contamination of Percutaneously Drawn Blood Cultures: a Randomized Trial
Clin. Microbiol. 2002;40:1660-1665.

これは、イソジン、アルコール、ヨードチンキ、イソジンアルコールの4種類とも
同等の効果であることを示す論文である。
IDSA2009年ガイドラインでこれが採択されなかった理由がわからないが、
こちらはイソジンの乾燥時間をしっかりと保ったクロスオーバーRCTである。

IDSAガイドラインでは採択されなかった論文は、
Cumitechガイドラインには採用されており、同血液培養ガイドラインでは
イソジンの使用はクロルヘキシジンとともにファーストチョイスになっている。
Principles and Procedures for Blood Cultures: Approved Guideline.
CLSI 2007 Cumitech Blood Cultures IV.


やや、IDSAとCumitechで差がある。


現在の血液培養時の消毒のエビデンスとしては、
アルコールでも構わないし、イソジンでも構わないと考えていいのではないか。
「絶対にこちらを使うべきだ」という積極的なデータはないと思われる。

ただ、イソジンは即効性は(―)です(30秒以上乾かすあるいはふき取る)が、
持続性があるのが利点。逆にアルコールは即効性はあるが、全く持続性はない。

「臨床に直結する感染症のエビデンス」では、
以下のようなまとめがなされている。

1.イソジン:
  利点:持続性+、穿刺に手間取っても雑菌混入のリスク上昇しない
  欠点:即効性―、穿刺までの時間を十分取らなければならない
  推奨される臨床場面:穿刺まで十分時間をとれる
               術者の習熟度問わない
2.アルコール:
  利点:即効性+、すぐ穿刺可能、コスト安い
  欠点:持続性―、穿刺に手間取ると雑菌混入のリスク上昇
  推奨される臨床場面:穿刺に時間がかけられない緊迫した状況
               術者がベテラン
3.クロルヘキシジン:
  利点:即効性と持続性をあわせもつ、すぐ穿刺可能
      穿刺に手間取っても雑菌混入のリスク上昇しない
  欠点:コストが高い
  推奨される臨床場面:コストが許せばさまざまな場面で使用可能


そのため、自信があればアルコールでも構わないと考えられる。
文責 "倉原優"

by otowelt | 2010-04-27 17:36 | 感染症全般

<< 血清YKL-40レベルは、喘息... 肺癌の予後(第50回日本呼吸器... >>