小児CPAにバイスタンダーによるhands only CPRはNG

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AHAガイドライン2010で、バイスタンダーCPRで
人工呼吸が省略されることはほぼ確実で、
hands only CPRが主流となると思います。
  Circulation 2008:117;2162-7



ただ、AHAと仲の悪いERCは、
1.心停止が目撃されていない心停止
2.小児の心停止
3.ほとんどの病院内の心停止
4.溺水や気道閉塞などの心臓が原因ではない心停止
5.4分以上続いているCPR
では人工呼吸が大事なので、hands only CPRをガイドラインが出る前に
ステートメントとして出すなとAHAを牽制していました。

日本から素晴らしい論文が出ました。Lancetに掲載されたのがすごいところです。
小児バイスタンダーCPRに対してHands only CPRではなく、
人工呼吸が大事だと言う事を示した初めての論文です。
PALSは受講していないが、覚えておいた方がよさそう。

Conventional and chest-compression-only cardiopulmonary resuscitation by bystanders for children who have out-of-hospital cardiac arrests: a prospective, nationwide, population-based cohort study
The Lancet, Volume 375, Issue 9723, Pages 1347 - 1354, 17 April 2010


背景:
 アメリカ心臓協会(AHA)は、成人の院外心停止例にはその場に居合わせた
 目撃者による(バイスタンダー)胸部圧迫のみのCPRを推奨しているが、
 小児はその限りでない。理由として、成人の心停止は心原性の場合が多く
 従来型CPRと胸部圧迫のみのCPRに生存率の差はないことによる。
 小児の心停止は心原性よりも呼吸器疾患(窒息、溺水など)によるものが多い。

方法:
 小児の院外心停止例に対するその場に居合わせた目撃者(バイスタンダー)に
 よる処置として、胸部圧迫に人工呼吸を併用する従来型CPRと胸部圧迫のみの
 CPRの効果を比較する地域住民ベースのプロスペクティブなコホート試験を行った。
 プライマリエンドポイントは、院外心停止後1ヵ月の時点における神経学的予後
 (Glasgow-Pittsburgh脳機能カテゴリーが1あるいは2)とした。

結果:
 院外で心停止をきたした17歳以下の小児5170例が登録。
 年齢、心停止の原因、目撃者の有無、CPRの種別などが記録された。
 全心停止例のうち、3,675例(71%)が非心原性、1,495例(29%)は心原性。
 バイスタンダーによって、1551例(30%)に人工呼吸を併用する
 従来型CPRが施行され、888例(17%)は胸部圧迫のみのCPRを受けた。
 CPRの有無別の解析では、良好な神経学的予後の割合は、バイスタンダー
 によるCPRを受けた小児が4.5%(110/2,439例)と、CPRを受けなかった
 小児の1.9%(53/2,719例)に比べ有意に高かった
 (補正OR:2.59、95%CI:1.81~3.71)。
 1~17歳の非心原性心停止例の良好な神経学的予後率は、バイスタンダーによる
 CPR施行例が5.1%(51/1004例)と、CPR非施行例の1.5%
 (20/1293例)に比べ有意に優れた(補正OR:4.17、95%CI:2.37~7.32)。
 CPRの種別では、従来型CPRの良好な予後率は7.2%(45/624例)と、
 胸部圧迫単独CPRの1.6%(6/380例)に比べ有意に優れた

 (補正OR:5.54、95%CI:2.52~16.99)。
 1~17歳の小児と比較して、1歳未満の幼児の院外心停止例の神経学的予後は、
 きわめて不良であった。

結論:
 院外における非心原性CPAの小児に対しては、
 バイスタンダーが胸部圧迫に人工呼吸を併用したCPRを行うべきである。

by otowelt | 2010-05-12 16:04 | 救急

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