C.difficile関連腸炎 2010年IDSAガイドライン

2010年になってから更新されたIDSAガイドラインを読むのをサボっていた。
今回、サンフォードに記載されていた、2回目の再燃例における
バンコマイシン+リファンピシンについては触れられていなかった。

Clinical Practice Guidelines for Clostridium difficile Infection in Adults: 2010 Update by the Society for Healthcare Epidemiology of America (SHEA) and the Infectious Diseases Society of America (IDSA)
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<executive summaryの全訳>
1. 臨床状況での比較をしやすくするためにサーベイランスの定義を
 (1)healthcare(HCF)-onset, HCF-associated CDI:入院48時間後
 (2)Community onset, HCF-associated CDI:退院4週間以内
 (3) Community associated CDI: 退院12週以後(4-12週はIndeterminate)
 に分類する。(B-III)
2. HCF onset, HCF associated CDIは全ての入院患者でモニターする。(B-III )
3. 10000patients-daysあたりの発生数をHealth care associated CDI
 として表現する。(B-III)
4. CDIの発生率が他の施設より高い、あるいはCDIのアウトブレイクがあれば、
 制御方法を絞るために患者の場所ごとに発生率を出す。(B-III)
5. C.difficileまたはそのtoxinの検査は、C.difficileによるイレウスが疑われなければ
 下痢便で行うべきである。(B-II)
6. 症状がない患者での便検査は有用でない。疫学的研究以外で推奨しない。(B-III)
7. 便培養は最も感度が高く、疫学的研究に効果的である。(A-II)
8. 便検査は発育時間が遅いので臨床的に実践的でないが、熟練した検査室が
 施行した場合は、便培養、Toxin産生株の分離は感度・特異度において
 他の検査より優れている。(B-III)
9. EIA法でのToxin A, Bの検査は迅速だがcell cytotoxin assayに比べると
 感度が低いため、代替手段となっている。(B-II)
10. Toxin 検査は臨床的に最も重要だが、感度が問題である。案として
 GDH(Glutamate dehydrogenase)のEIA検出を行い、陽性例に対して
 Cell cytotoxicity assayあるいはtoxigenic cultureを行う。
 GDHキットによってその結果は異なるため、GDHに対する感度のデータが
 そろうまでは暫定的推奨としておく。(B-II)
11. PCRは迅速で感度、特異度がよく最終的に有用な検査手段の可能性がある。
 ルーチンとして推奨されるまではおりデータが必要である。(B-II)
12.下痢の複数回の検査は効果が限定されており、推奨されない。(B-II)
13. 医療従事者・訪問者がCDI患者の部屋に入る時は手袋, ガウンを装着。(A-I、B-III) 
14. 手指衛生の実践のコンプライアンスを強調する。(A-II)
15. CDI率が高い場合あるいはアウトブレイクしている場合、接触あるいはケア後に
 石鹸、水で洗うように訪問者、医療従事者に指導する。(B-III)
16. 接触予防策をおこなった上、個室に入れる。(B-III)
 個室が難しければ各患者にdedicated commodeを提供するため
 患者をコホート隔離する。(C-III)
17. 下痢がある期間、接触予防策を維持する。(C-III)
18. 感染制御目的でルーチンの無症候性キャリアの同定は推奨しない。(A-III)
 また、同定された患者における治療は効果的ではない。(B-I)
19. C.difficileの感染源を同定し除去する。ディスポ直腸体温計は
 CDIの発生率を減らす。(B-II)
20. CDIの発生リスクの高い所に関連する場所ではChlorine含有、または
 sporicidal製剤を使用して清掃する。(C-III)
21. C.difficileの定期的スクリーニングは推奨されない。(C-III)
22. 抗菌薬の使用頻度、期間、処方される抗菌薬を最小化することは
 CDIのリスクを減らす。(A-II)
23. Antimicrobial stewardship programを導入する。(A-II)
 抗菌薬でcephalosporinとclindamycinの使用制限は有用である。(C-III)
24. 現在利用可能なプロバイオティクスの導入はデータが限られている。
 血流感染の可能性よりCDIの一次予防には推奨されない。(C-III)
25. できる限り抗菌薬を中止する。再発のリスクに影響するかもしれない。(A-II )
26. 重症、複雑性CDIが疑われた時はすぐに経験的治療を開始する。(C-III)
27. Toxin が陰性であるならば、開始、中止、継続は個々に判断する。(C-III)
28. 症状をわからなくしてしまうような中毒性巨大結腸症のリスクになるため、
 可能ならば腸管蠕動抑制薬は避ける。(C-III)
29. メトロニダゾールは軽症~中等症の初期治療である。
  量は500mg 1日3回経口10-14日間とする。(A-I)
30. バンコマイシンは重症CDIの初期治療である。量は125mg1日4回を10-14日。
31. 経口バンコマイシン±静注メトロニダゾールは重症かつ複雑性CDIの選択肢。
 バンコマイシン500mg1日4回、注腸で500mgを100mlの生食に溶かして6時間毎、
 メトロニダゾール500mgを静注で8時間ごとに投与する。(C-III)
32. 病状の悪い患者では腸切除を考慮。血中乳酸、末梢白血球が手術の決断を
 促進するために参考になる。(乳酸5mmol/l以上、白血球5万以上は周術期のリスク)
 手術が必要ならば直腸温存のもとsubtotal colectomyを行う。(B-II)
33. CDIの初期再発は最初の治療と同じ(A-II)だが重症度により
 分類されるべきである。(C-III)
34. 初期再発からの長期におよぶ治療で、メトロニダゾールは蓄積性の神経毒性の
 可能性より用いない方がよい。(B-II)
35. 2回目以降の再発におけるバンコマイシン治療は漸減またはパルス療法が
 次の戦略として好まれる。(B-III)
36. 背景の感染症による抗菌薬持続が必要な患者に対して、CDI再発予防に
 関しての推奨はできない。(C-III )

●バンコマイシン漸減療法:
 第1週:125mg1日4回
 第2週:125mg1日2回
 第3週:125mg1日1回
 第4週:125mg隔日
 第5~6週:125mg3日ごと

●バンコマイシンパルス療法:
 Tedescoらのスケジュールでは、
 125 mg/6時間を7日間、
 125 mg/12時間を7日間
 125 mg/dayを7日間
 1日おきに125 mg/dayを7日間
 2日おきに125 mg/dayを14日間
     Am J Gastroenterol 80 (11): 867~868, 1985.

●最終手段:便中細菌叢置換(他人(家族)の便を食べる・胃管から入れる)
 本当に最終手段である。
     CID 36:580, 2003
文責"倉原優"

by otowelt | 2010-05-12 16:32 | 感染症全般

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