成人パルボウイルスB19感染症

●概要
 ヒトパルボウイルスB19は、ウイルス性関節炎で最も多い疾患である。
 小児におけるヒトパルボウイルスB19感染症は皮疹が特異的であり、
 地域に集団発生するため診断しやすい。
 しかしながら、成人のヒトパルボウイルスB19感染症は、小児とは違い
 典型的皮疹を伴わないことが多く、風疹様の丘疹・紅斑、浸出性紅斑、紫斑、
 点状出血など多彩な症状があらわれる。
               臨床皮膚科2006;60(5):27―30.
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●症状
 成人におけるヒトパルボウイルスB19感染症は、多彩な臨床症状を呈し、
 合併症として赤芽球癆や血小板減少症、妊娠初期胎児水腫が知られている。
               Internal Medicine 2002;41(4):247―8.
               総合臨床2004;53(4):1611―5.

 ウイルスの直接的な赤血球系前駆細胞障害作用による症状と
 ウイルス感染に対する免疫学的反応に基づく症状とに分けられる。
 前者に溶血性貧血患者における一過性無形成発作、免疫不全における赤芽球癆、
 胎児水腫があてはまり、後者に伝染性紅斑、多関節炎、脳炎、
 ウイルス関連血球貪食症候群などが含まれる。

 発熱・倦怠感・頭痛などの感冒様症状のほか、関節痛、筋肉痛、蛋白尿など
 さまざまな症状、データ異常を示す。
 成人の散発例ではどの症状・所見が優位であるかによって誤診が多くなる。

 浮腫、関節痛、紅斑のうち少なくとも二つを示す成人患者において、
 かつ感染のリスクとして
 1)同居の小児が伝染性紅斑の診断を1 カ月以内にうけている
 2)伝染性紅斑が1 カ月以内に流行した学校保育園に勤務している
 3)同居の小児が1 カ月以内に伝染性紅斑が流行した学校か保育園に通っている
 のうち1つを満足する状態を条件として20 症例を選択して抗体価を測定した
 論文があるが、14 例(70%)でヒトパルボウイルスB19IgM 抗体陽性であった。
               Internal Medicine 2007;1975―8.

 四肢遠位部に浮腫性紅斑と紫斑を認めた場合、gloves and socks 症候群と呼ぶ。
               J Am Acad Dermatol 1990;23:850―4.
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●診断
 15歳~成人のヒトパルボウイルスB19 IgG抗体保有率は50%で、年齢とともに
 抗体保有率が高くなり60 歳以上では80%以上とされている。
               MMWR Morb Mortal Wkly Rep 1989;38:81-8, 93-7.
 診断としては、急性期7~10日でIgM抗体が陽性になるのでこれを利用する。
 IgM抗体は一度陽性になると2~6ヵ月持続する。
 一過性にリウマトイド因子陽性になることがあるが、リウマチではない。

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●治療
基本的にパルボウイルスB19に対しての治療の必要性はない。
重症例や遷延例では0.4g/kgの免疫グロブリンを5~10日使用することもある。

●予後
 成人ヒトパルボウイルスB19 感染症はおおむね予後は良好な疾患である。
文責"倉原優"

by otowelt | 2010-05-19 11:34 | レクチャー

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