移植後の侵襲性アスペルギローシスの死亡率の検討

Factors Associated with Mortality in Transplant Patients with Invasive Aspergillosis
Clinical Infectious Diseases 2010;50:1559–1567


背景:
 侵襲性アスペルギローシス(IA)は、造血幹細胞移植(HSCT)や固形臓器移植(SOT)
 レシピエントにおいて重要な感染症である。
 このスタディの目的は、移植患者におけるIAの死亡率を評価する。

方法:
 23のイギリスの医療センターにおいて、2001年3月から2005年10月までの
 移植関連感染症サーベイランスネットワーク登録患者で検討。
 IAの症例は2006年3月までプロスペクティブに観察。
 エンドポイントは、12週における全死亡率とした。

結果:
 642例のIAと思われる症例が登録され、317人(49.4%)が死亡した。
 全死亡率は、HSCT患者の方が、SOT患者よりも多かった。
 (239 [57.5%] of 415 VS 78 [34.4%] of 227)(P <.001)
 HSCTにおける予後不良の独立因子は、好中球減少症、腎不全、肝不全、
 早期IA発症、確実なIA診断例、メチルプレドニゾロン使用例であった。
 対して、白人症例では死亡リスクが少なかった。
 SOT患者において、肝不全、栄養不良、中枢神経疾患は予後不良因子であった。
 プレドニゾン使用は死亡リスク減少と関連。
 HSCTあるいはSOTにおいて、抗真菌治療を行われた患者では
 アムホテリシンB使用は死亡リスク上昇と関連していた。
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結論:
 複数の因子が移植患者におけるIA症例の死亡リスク上昇と関連している。


アスペルギルスを相手にする医者としては、
NEJM2002年の論文がボリコナゾールを押し上げた論文であることを
ぜひとも知っておきたい。

Voriconazole versus amphotericin B for primary therapy of invasive aspergillosis.
New Engl J Med 2002; 347(6):408–415.


同時に、アムホテリシンBによる初期治療ではIAにおける死亡リスクが
上昇することも示唆されており、今回の論文も同様の内容である。

今回のCIDの論文では、SOTにおいてカスポファンギン死亡リスクが上昇しているが
これについては筆者は懐疑的な見解を出しているので、結論は控えたいところである。
サルベージではボリコナゾール+カスポファンギンでも個人的にはよいと考えている。

by otowelt | 2010-05-20 02:14 | 感染症全般

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