COPD患者へのβブロッカーは、COPD急性増悪リスクが減り、生命予後も改善する

e0156318_125953.jpgきれいな大学病院だなぁ。
さすがオランダ。

β-blockers may reduce mortality and risk of exacerbations in patients with chronic obstructive pulmonary disease. Arch Intern Med. 2010;170:880-7
背景:
 COPDは動脈硬化を促進し、心血管疾患が合併することが多い。心血管疾患の
 診断もしっかり行われていない症例が多いが、心血管疾患を明らかに
 合併しないCOPD症例に対して、βブロッカーの使用が予後を改善するかは不明。

方法:
 Utrecht General Practitioners(GPs)Networkデータベースを使用。
 診断および処方はすべてコード化されている。
 2005年12月の時点で、データベース症例約60000例で、
 そのうち20362例が45歳以上であった。これを対象として、
 1995年1月1日から2005年12月31日までの間にCOPDと診断された症例を解析。
 プライマリエンドポイントは総死亡、観察期間中初回のCOPD急性増悪とした。
 COPD急性増悪の定義は、ステロイドパルスおよび7~10日間のステロイド使用、
 または同増悪条件下による入院と定義した。

結果:
 2230例のうち、当初より診断されていたCOPDが560例(25%)、
 観察期間中に診断されたCOPDは1670例(75%)。平均年齢64.8歳(SD:11.2)。
 53%が男性であった。平均観察期間7.2年の期間において、全体で686例(30.8%)
 が死亡。βブロッカー使用群の27.2%が、非使用群の30.8%が死亡(P=0.02)。
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 最低1度のCOPD急性増悪を経験したのは1055例(47.3%)。
 βブロッカー使用群の42.7%が、非使用群では49.3%がCOPD急性増悪を
 経験していた(P=0.005)。
 心血管系の合併症を有する症例は、ほかのグループより有意に死亡率が高かった。
 (35.5% VS 21.4%、P<0.001)。
 βブロッカー投与を受けた症例は665例(29.8%)で、多くが心選択性。
 βブロッカー使用群の、非使用群に対する総死亡の非調整HRは0.70
 (95%CI:0.59-0.84)、調整HRはCP modelで算出した場合0.68
 (95%CI:0.56-0.83)。傾向スコアで調整した場合のHRは0.64
 (95%CI:0.52-0.77)。心選択性βブロッカーでは調整した場合のHRは
 0.67(95%CI:0.55-0.83)、0.63(95%CI:0.51-0.77)。非選択性
 βブロッカーで0.82(95%CI:0.61-1.10)、0.80(95%CI:0.60-1.05)。
 1670例の観察期間中新規診断COPDのうち530例がβブロッカーを使用。
 191例は診断前後もβブロッカーを使用し、84例は中止。
 255例がCOPDの新規診断後に使用を開始。
 サブグループ解析では、βブロッカー中止群において死亡HRが最も高かった
 非調整HR0.71(95%CI:0.46-1.11)、調整HR(CP、PS)は、
 それぞれ0.89(95%CI:0.56-1.42)と0.75(95%CI:0.47-1.19)。

結論:
 COPD患者にβ遮断薬を投与すると、COPD増悪のリスクが減り、
 生命予後が改善する可能性がある。

当然ながら、RCTではないので課題が残る。これはこういったスタディの
宿命でもある。ただ、心血管疾患合併の有無にかかわらずこういった結果が
出ているのは非常に大きいし、呼吸器内科医としては大規模RCT並に
話題性のある臨床試験だと考えなければならない報告である。

by otowelt | 2010-06-10 12:50 | 気管支喘息・COPD

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