肺移植後の長期valganciclovirはCMV疾患を減少させる

IDATENでも話題になっているサイトメガロウイルスだが、
Arch Inten Medで、universal prophylaxisについての論文が出ていた。
これは、valganciclovirを12ヵ月長期に投与する方がよいというものである。

CMVの治療には抗ウイルス薬であるガンシクロビル(デノシン)が広く
使用されているが、腎移植時に十分な尿量が必要であることや
骨髄抑制がみられるなどの問題点がある。
ガンシクロビルの経口プロドラッグ製剤であるvalganciclovirは、
これまでの経口ガンシクロビルの約10倍の吸収率に加えて、
一日の投与量を減量しながらも注射剤と同等の血中濃度が維持できるので
非常に長期投与がしやすい。
           Antimicrob Agents Chemother 44:2811―2815, 2000

抗CMV薬のpreemptive therapyとuniversal therapyのどちらがよいか
というのが問題になるのだが、主流はuniversal therapyである。
腎移植後の検討では差がみられなかったとするものと、
移植後4年の長期のグラフト生存率は予防群の方がよかったとするものがある。
           Am J Transplant. 2006;6(9):2134-2143.
           Am J Transplant. 2008;8(5):975-983.

ちなみに、preemptive therapyのメタアナリシスとしては以下が有名。
           Lancet. 2005;365:2105-2115.
           Ann Intern Med. 2005;143:870-880.
           Clin Infect Dis. 2006;43:869-880.


Extended Valganciclovir Prophylaxis to Prevent Cytomegalovirus After Lung Transplantation A Randomized, Controlled Trial
Ann Intern Med June 15, 2010 152:761-769;


背景:
 サイトメガロウイルス(CMV)は、肺移植後の日和見感染症としてよくみられる。
 リスクの高い患者において、CMVを予防は難しいのが現状である。

目的:
 肺移植後3カ月の通常予防から、延長した12ヵ月までの間、
 経口valganciclovirを長期投与することによって、
 CMV感染を予防できるかどうかを検証。

デザイン、セッティング:
 プラセボ対照ランダム化比較試験。
 (ClinicalTrials.gov registration number: NCT00227370)
 11のU.S.肺移植センターを含む多施設共同研究。

患者および方法: 
 136人の肺移植レシピエントに対して3カ月のvalganciclovir予防をおこなった。
 その後、さらに9カ月の延長群(n = 70)とプラセボ群(n = 66)に割りつけた。
 プライマリエンドポイントは、CMV疾患(症候群あるいは組織侵入性)の回避。
 セカンダリエンドポイントは、CMV疾患の重症度、CMV感染症、急性拒絶反応、
 日和見感染症、ガンシクロビル耐性、安全性。
 ※CMV diseaseという語句は1臓器だけのinfectionだけでなく、
  症候群と組織侵入性を加味している

結果:
 CMV疾患は、3ヵ月コースで32%、12ヵ月コースで4%であった(P<.001)。
 CMV感染率(64% vs. 10%; P<.001)、疾患重症度
 (110000 vs. 3200 copies/mL, P = 0.009)も長期間投与群で有意に低かった。
 急性拒絶反応、日和見感染、副作用、ガンシクロビル耐性、ラボデータ異常などは
 有意差なし。スタディ完遂6か月後において、CMV疾患頻度は両群とも低かった。

結論:
 肺移植レシピエントにおいて、valganciclovirは3ヵ月よりも12ヵ月の方が
 有意にその感染、疾患重症度を減らした。

by otowelt | 2010-06-15 14:15 | 感染症全般

<< β-Dグルカン HCC治療のTACE/TAI後... >>