黄色爪症候群(Yellow nail syndrome)

そこまで奥が深くないので、メモ書き程度。
呼吸器内科医にとって胸水貯留の鑑別疾患に挙げることができるかどうか。

e0156318_1122420.jpg●黄色爪症候群(Yellow nail syndrome)とは
 黄色爪症候群はSammanらによって提唱された疾患概念で、
 成長遅延黄色爪、リンパ管浮腫を特徴とするものである。
 その後成長遅延した黄色爪、リンパ管浮腫、呼吸器病変が
 本疾患の3主徴で、少なくとも2 つの症状が
 存在することが必要とされている。
 3徴候すべてが揃っている症例は40~63%にとどまる。

                Br J Dermatol 1964 ; 76 : 153―157.
                日皮会誌2002 ;112 : 261―265.
 平均年齢は61歳、男女比はほぼ同等だが、1:2という報告もある。
 女性に多いかもしれない、程度に覚えておくとよい。
                Cleve Clin J Med 1990;57:472-476
 関節リウマチ患者において、ブシラミンや金製剤の使用でも起こりうるが、
 原発性黄色爪のうち、肺病変やリンパ浮腫を伴うものをYNSと呼び、
 黄色爪のみのものや、続発性黄色爪のものはYNS に含めない。
 
●黄色爪症候群の病態
 先天性のリンパ還流異常がベースにあり、後天的に感染などを契機として
 リンパ液の還流量が増加、還流障害が助長されることによって
 リンパ管浮腫や胸水が顕在化すると考えられている。
 正常人は爪の成長が0.5~1.2mm/週であるが、本疾患では0.2mm/週以下と
 遅くなることが特徴である。YNSでは後爪郭部の炎症が起こることで
 同部のリンパ管閉塞が増悪、後爪郭部が後退する。これにより爪甲が
 肥厚し成長遅延が起こる。また、YNS では一般にリンパ球優位の滲出性胸水である。
 胸水貯留は全体の36%にみられるが、腹水や心嚢液などを貯留することもある。
                Acta Med Scand 1986;219:221-227
 胸水貯留のうち、半数が両側性であるとされている。
                Chest 1972;61:452-458

●黄色爪症候群の治療
 治療としてビタミンE の内服、ステロイド局注、クラリスロマイシン内服などが
 あるが、確立されたものはない。
                Arch Dermatol 1973 ; 108 :267―268.
                Cutis 1986 ; 37 : 371―374.
                日皮会誌2002 ;112 : 261―265.

文責"倉原優"

by otowelt | 2010-07-08 16:36 | レクチャー

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