人工股関節あるいは膝関節置換術において硬膜外・脊髄麻酔は手術部位感染を減少させる

Anesthetic Management and Surgical Site Infections in Total Hip or Knee Replacement: A Population-based Study:A Population-based Study
Anesthesiology 2010; 113:279 – 84


背景:
 硬膜外あるいは脊髄麻酔はさまざまなメカニズムにおいて 
 手術部位感染症(SSI)を減少させるのではないかという仮説を検証する。
 このスタディの目的は、術後30日以内のSSIのリスクを
 人工股関節置換あるいは膝関節置換を全身麻酔あるいは硬膜外・脊髄麻酔で
 おこなった場合を比較するものである。

方法:
 台湾におけるthe Longitudinal Health Insurance Databaseを使用し、
 上記手術を受けた3081人の患者を登録。
 多変量ロジスティック回帰解析および傾向スコアで検証した。

結果:
 2081人の患者のうち、56人(1.8%)が30日の時点でSSIを有していた。
 33人が全身麻酔、23人が硬膜外あるいは脊髄麻酔であった(P = 0.002)。
 全身麻酔による人工股関節・膝関節置換術のSSIのオッズ比は
 硬膜外あるいは脊髄麻酔と比較して2.21 (95% CI = 1.25–3.90, P = 0.007)。
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結論:
 人工股関節あるいは膝関節置換術を全身麻酔で受けた場合、
 SSIのリスクは硬膜外・脊髄麻酔よりも高い。


なぜ全身麻酔より硬膜外・脊髄麻酔の方がSSIが低いのかということは、
筆者も「よくわからない」という結論になっている。
ただ、可能性としては以下のようなプロセスが考えられている。

硬膜外あるいは脊髄麻酔は、交感神経ブロックをされるため
血管拡張が全身的に起こりやすい。そのため、組織酸素濃度が全身麻酔に比べて
高い傾向にある。
・The effects of epidural and general anesthesia on tissue oxygenation. Anesth Analg 2003; 96:1553–7
・Thoracic epidural anesthesia increases tissue oxygenation during major abdominal surgery. Anesth Analg 2003; 97:1812–7

結果的に、多核白血球が手術部位において上昇する。
これがSSIの減少につながるのではないかと考えられている。
The anesthesiologist’s role in the prevention of surgical site infections. Anesthesiology 2006; 105:413–21

by otowelt | 2010-08-22 07:19 | 感染症全般

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