COPD急性増悪におけるステロイドのエビデンス

●COPD急性増悪におけるステロイド使用について
 COPD急性増悪におけるステロイド全身投与は、呼吸機能の改善、
 増悪治療の成功率を上昇させるだけでなく在院日数も軽減することができる。
・Controlled clinical trial of methylprednisolone in patients with chronic bronchitis and acute respiratory insufficiency. Ann Intern Med 1980; 92:753.
・Contemporary management of acute exacerbations of COPD: a systematic review and metaanalysis. Chest 2008; 133:756.


 271人のCOPD急性増悪患者でステロイド使用群と非使用群に割り付けされた
 NEJMの臨床試験(SCCOPE試験)の結果では、
 30日治療失敗率は、ステロイド使用23% VS ステロイド非使用33%
 90日治療失敗率は、ステロイド使用37% VS ステロイド非使用48%
 (いずれもP値=0.04であった)
 在院日数は、ステロイド使用8日 VS ステロイド非使用10日
Effect of systemic glucocorticoids on exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease. Department of Veterans Affairs Cooperative Study Group. N Engl J Med 1999; 340:1941.

 ステロイドは経口でも静脈注射でも違いがない。(消化管が問題なければ)
Oral or IV prednisolone in the treatment of COPD exacerbations. Chest 2007; 132:1741.
 
 吸入ステロイドについては、ランダム化試験がおこなわれていないので
 急性増悪時に使用することについては意義は不明である。

 ステロイドの適切な量はいまだにわかっていないが、
 一般的には以下のように使われることが多い。
 ・静脈注射— メチルプレドニゾロン(60~125mgを2~4回/日)
 ・経口 — プレドニゾロン(40~60mgを1日1回)
Global strategy for the diagnosis, management, and prevention of chronic obstructive pulmonary disease.

 ステロイドの投与期間はこれもエビデンスがないが、
 7~10日くらいのステロイドを投与する。
 3日間と7日間のステロイドでは後者の方が成績(1秒量とPaO2)がよかった。
Systemic glucocorticoids in severe exacerbations of COPD. Chest 2001; 119:726.
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●COPD急性増悪時の短期間のステロイドによって感染リスクは上昇するか?
 SCCOPE試験では、8週間という長期のステロイド患者において
 肺炎の発症がみられたが、短期間の使用では感染リスクは認められなかった。
Effect of systemic glucocorticoids on exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease. Department of Veterans Affairs Cooperative Study Group. N Engl J Med 1999; 340:1941.
 
 ただ、septic shockの患者における高用量ステロイドを短期間使用するケースでは
 感染リスクの増加(細菌感染およびそれによる死亡率上昇)がみられる報告があるので
 ステロイドはあくまでlow-moderateにとどめておくべきかもしれない。
A controlled clinical trial of high-dose methylprednisolone in the treatment of severe sepsis and septic shock. N Engl J Med 1987; 317:653.

 CORTICUS試験では、新たな敗血症が相対リスク2.78 (1.02–7.58)であった。
Hydrocortisone therapy for patients with septic shock (CORTICUS). N Engl J Med, 358: 111-124, 2008.

 現段階では、low-moderateの用量のステロイドを短期に使用することにおいて
 感染リスクを増加させるというエビデンスはない。

"文責"倉原優

by otowelt | 2010-08-22 08:03 | 気管支喘息・COPD

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