神経内分泌マーカー

小細胞癌や神経内分泌大細胞癌、カルチノイドを理解する上で、
免疫組織化学的神経内分泌マーカーを知っておくことは必要である。

<神経内分泌マーカー>
・Chromogranin A(CgA)
 CgAは439のアミノ酸から形成される内分泌顆粒の成分である。
 そのため、腫瘍細胞に神経内分泌化があった場合でも
 内分泌顆粒が少ないと偽陰性になることを覚えておく必要がある。
 小細胞肺癌では20%程度の陽性率とされている。
 ちなみに、Chromogranin BはCgAと同じくgraninファミリーで
 神経内分泌腫瘍でCgAよりも高い頻度で陽性を示すとされているが
 コマーシャルベースではない。
          Semin Diagn Pathol 2000, 17: 194-203
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・Synaptophisin
 神経内分泌細胞のシナプス小胞様空胞に局在しているとされている。
 このマーカーは内分泌顆粒が少なくとも陽性を示すことが多い。
 低分化の内分泌細胞癌を診る場合には、CgAよりもこちらのほうが適している。
 すなわち、CgAを補完するマーカーとして有用であるとされている。
 しかしながら、CgAにくらべて特異度が低い。
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・Synaptic cesicle protein 2(SV2)
 シナプス小胞膜の糖タンパクとして見出され、神経内分泌マーカーとして
 有用性が報告されている。内分泌顆粒が多い神経内分泌腫瘍では
 CgA、Synaptophysinと同様の反応がみられるが、特に
 後腸系カルチノイドでも強陽性がみられる。
          Am J Pathol 2000, 157: 1299-1309
・Protein gene product (PGP9.5)
 ユビキチン関連可溶性タンパクの1つで、cytosolに局在する。
 特異度はさほどでもなく、NSCLCでも比較的高率に陽性を示す。

・Neural cell adhesion molecule(NCAM;CD56)
 NCAMは免疫グロブリンファミリーの接着タンパクの1つである。
 肺の神経内分泌腫瘍において、感度がかなり高いとされている。
 しかし、腎尿細管上皮、甲状腺濾胞細胞上皮、横紋筋肉腫なども陽性
 になることがある。PSA-NCAMの有用性が最近報告されており、
 これは低分化型の神経内分泌腫瘍にかなりの感度を誇る。
          Am J Surg Pathol 1998,22:1267-1276
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・Thyroid transcription factor-1(TTF-1)
 TTF-1は甲状腺と肺の発生に関与する転写分子である。肺腺癌のほか、
 カルチノイド、小細胞癌、大細胞神経内分泌癌で陽性になる。
 ただし、肺扁平上皮癌、basaloid typeの大細胞癌では陰性である。
 また消化管の神経内分泌癌でも陰性である。
 肺以外の小細胞癌の発生でも陽性になるため、発生部位の鑑別にはならない。
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・Leu 7 (CD57)
 抗Leu7抗体はある種の内分泌顆粒構成タンパクとも反応し、小細胞肺癌、
 褐色細胞腫などの神経内分泌腫瘍にも陽性となる。
 しかし、感度・特異度ともにさほどでもない。

・Neuron-specific enolase(NSE)
 NSEは感度の高いマーカーとして知られている。
 特異度は低いが、感度の点から、漏れをなくすという意味では
 かなり有用とされている。 
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by otowelt | 2010-08-30 18:55 | 肺癌・その他腫瘍

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