外傷患者におけるAcinetobacter baumanniiのリスク

Acinetobacter baumanniiのスタディは2010年には数多く発表されると
思われるが、このスタディでは、結果的には一番大事なOSには差が出なかった。
まぁ、大事な耐性菌であることは知っておかねばならない。

The impact of Acinetobacter baumannii infections on outcome in trauma patients: A matched cohort study
Crit Care Med 2010, 11; DOI: 10.1097/CCM.0b013e3181f17af4


目的:Acinetobacter baumannii感染の外傷患者おける関与を検証。

デザイン:レトロスペクティブ1:2マッチコホート試験。

患者:
 レベルI外傷でICUに入った患者において、A.baumannii感染がみられたものを登録。
 31人のA. baumannii患者に加えて、62人の他の細菌感染がみられた患者を
 コントロールとした。

方法および結果:
 12の基準をもうけた。すなわち、感染巣の有無や、重症度、外傷の性状などである。
 院内死亡率とICU在室日数、A.baumanniiを含む耐性菌による合併症を
 コントロールと比較した。両群とも81%がHAP、13%がBSI、6%がUTIを有していた。
 A.baumanniiは、多剤耐性が42% (13/31) であった。
 初期段階での経験的抗菌薬使用は71%で適切であった。
 院内死亡率はA. baumannii群で高かった
 (16% vs 13%;OR 1.23;95%CI 0.38–4.36; p=.67)。
 しかしながら、統計学的有意差はみられなかった。
 オーバーオールのICU在室日数はA.baumanniiが有意に長かった
 (median, [range], 28 [7–181] days vs. 17 [2–130] days, p=.05)。
 また、ARDSや肝不全もA.baumannii群で多かった
 (ARDS:35%vs 15%;OR 3.24; 95%CI 1.17–5.48; p=.02
 肝不全26% vs 10%; OR 3.25; 95%CI 3.25–10.40; p=.04)。
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結論:
 単施設のレトロスペクティブスタディでは、Acinetobacter baumannii感染は
 外傷患者において死亡率には寄与していないが、ICU在室日数や臓器障害を 
 起こすリスクがあると考えられる。しかしながら、より大きな臨床試験で
 これらについて検証する必要があるだろう。

by otowelt | 2010-08-29 22:22 | 感染症全般

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