終末期の呼吸困難において、鼻カニューレによる酸素投与は利益なし

肺癌を診療している身としてはかなり興味のある臨床試験である。
肺癌の終末期にリザーバーマスク15L/分を投与することに、
意味があるのかどうか、ずっと疑問に感じていた。
今回は鼻カニューレの検討ではあるが、かなりセンセーショナルな結果が出ている。

Effect of palliative oxygen versus room air in relief of breathlessness in patients with refractory dyspnoea: a double-blind, randomised controlled trial
The Lancet, Volume 376, Issue 9743, Pages 784 - 793, 4 September 2010


背景:
 緩和ケアにおける酸素療法は、死前期における呼吸困難の治療としても
 広く行われている。われわれは、終末期の患者に酸素と室内気を鼻カニューレで
 投与することで、呼吸困難感からの解放感が得られるかどうか検証した。

方法:
 オーストラリア、アメリカ、イギリスの9施設における成人の
 二重盲検ランダム化試験。余命いくばくもなく、死前期呼吸困難がみられ、
 PaO2が7.3kPa(54mmHgくらい)以上の患者を登録。
 コンピュータにより、1:1になるよう酸素療法群、室内空気群に割り付けた。
 プライマリエンドポイントは、numerical rating scale [NRS]を用いた
 呼吸困難感の解放。これは1日2回測定された(朝と夕)。
 
結果:
 239の患者が登録され、酸素群120人、室内気群119人に割りつけられた。
 酸素群の112(93%)人および室内気群の99(83%)人が7日間の評価を完遂した。
 ベースラインから6日目まで、酸素療法群においては朝の呼吸困難感は
 −0.9ポイント(95% CI −1·3 to −0·5)、室内気群においては朝の呼吸困難感は
 −0.7ポイント(95%CI−1·2 to −0·2) 変化した(p=0·504)。
 同様に夕方においては、それぞれ−0.3ポイント(−0·7 to 0·1)、
 −0.5ポイント (−0·9 to −0·1) 変化がみられた(p=0·554)。
 副反応については両群とも差がみられなかった。
 過眠は酸素療法群で10%、室内気群で13%みられた。

結論:
 終末期の呼吸困難患者において、鼻カニューレによる酸素投与は
 何ら患者に症状緩和の利益をもたらさない。

by otowelt | 2010-09-07 18:06 | 肺癌・その他腫瘍

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