Del-19+L858RのEGFR complex mutationは、ゲフィチニブの利益が大きい

肺癌を診療しているドクターにとっては、興味のそそられる論文が
JTO最新号に掲載されていた。

EGFRにおけるcomplex mutationの頻度は、3.4%から6.9%程度と
言われており、本記事における論文でも6.6%であった。
だいたいNSCLCの5%程度と覚えておけばよい
            Cancer Sci 2006; 97: 753-759.
            Oncologist 2008; 13:1276-1284.
            Clin Oncol 2007; 19: 499-506.


また、T790MについてもEGFR-TKI投与前からの存在が3例(0.9%)に
みられており、Discussionではこれについても触れられている。

以下、今回のJTO(published ahead of print)からの論文。

Complex Mutations in the Epidermal Growth Factor Receptor Gene in Non-small Cell Lung Cancer
J Thoracic Oncol. 2010; 5


背景:
 EGFR遺伝子変異はEGFR-TKIの効果予測因子である。異なる遺伝子変異が
 共存することがあるが、いわゆる"complex mutations"と
 EGFR-TKIとの関連についてはまだよくわかっていない。

方法:
 われわれは、complex mutationの頻度を783人のNSCLCにおいて
 2006年4月から2009年5月まで調べた。
 遺伝子変異解析はpeptide nucleic acid(PNA)および
 locked nucleic acid(LNA)を使用したPCR clamp法でおこなった。
 ゲフィチニブの効果は、complex mutationのある患者において検証した。

結果:
 EGFR遺伝子変異は318人(41%)の患者でみられた。
 そのうち21人(6.6%)がcomplex mutationを持っていた。
 21人中16人がゲフィチニブ投与を受けた。RRは67%(95%CI 35-90%)で、
 PFS中央値は12.2ヵ月(95%CI 1.3-undeterminable)。
 RRの解析によれば、Del-19+L858RはよいRRであり(86%)、
 G719S(exon18)+L858Rのcomplex mutation(40%)に比べると
 良好な傾向のRRであった(p=0.2222)。
 PFS中央値は、Del-19+L858Rの方が他のcomplex mutationよりも
 長かった(16.5ヵ月 VS 3.8ヵ月, p=0.0459)

結論:
 EGFRのcomplex mutationは、珍しくはない。
 ゲフィチニブの効果は、この変異の組み合わせによって異なると考えられる。
 Del-19+L858Rの組み合わせの変異は、他のcomplex mutationの
 組み合わせよりもゲフィチニブの利益が大きい。

by otowelt | 2010-09-16 16:53 | 肺癌・その他腫瘍

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