ICUにおける癌患者のBALは安全である

結論としては、ICUにおける癌患者のBALは安全だ、ということだが、
今後の集中治療現場におけるBALの安全性を考える上で
参考になる文献の1つになると思われる。

この論文でいう非侵襲性テストとは以下の項目を指す。
1.画像所見
2.超音波検査
3.喀痰検査
4.PCP誘発喀痰検査
5.鼻咽頭吸引
6.血液培養
7.ヘルペス、CMVのPCR
8.Aspergillusガラクトマンナン測定
9.異型肺炎の血清学的検査
10.肺炎球菌・Legionella尿中抗原

Diagnostic Strategy for Hematology and Oncology Patients with Acute Respiratory Failure. Randomized Controlled Trial.
Am J Respir Crit Care Med Vol 182. pp 1038–1046, 2010


背景:
 呼吸器イベントは血液疾患・悪性疾患の患者においてよくみられ、
 低酸素性の急性呼吸不全(ARF)をきたすものは半数にのぼる。
 ARFの原因を同定することはきわめて重要である。
 気管支鏡によるBALは侵襲性のある手技であり、呼吸不全を悪化させるかもしれない。

目的:
 BALをARFのある癌患者に行うことが挿管の必要性を上昇させるかどうかを
 検証すること。非侵襲性のテスト単独が、BAL併用に比べて劣らないかどうかを
 検証。

方法:
 多施設ランダム化試験。
 癌患者でARFを起こしたが、ICUに入室時に人工呼吸管理を受けていない
 患者を登録した。これらの患者を早期BALと非侵襲性テスト群(n=113)、
 非侵襲性テスト単独群(n=106)にランダムに割りつけた。
 プライマリエンドポイントは、挿管人工呼吸管理を要した患者の数とした。
 主要なセカンダリエンドポイントはARFの原因が同定できなかった患者の数。

結果:
 挿管人工呼吸管理を要した患者は、BAL併用群で高かったが、有意ではなかった。
  (35.4 vs. 38.7%; P=0.62)
 ARFの原因が診断できなかった患者は両群とも同等であった。
  (21.7 vs.20.4%; difference, 21.3% [210.4 to 7.7])
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結論: 
 癌患者におけるARFの診断において、非侵襲性テスト+BALをICUで
 行なったとしても、挿管人工呼吸管理を要することに関しては、
 非侵襲性テスト単独群に比べて有意差がみられなかった。

by otowelt | 2010-10-18 18:23 | 集中治療

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