肺腺癌におけるALK増幅の役割

神経芽細胞腫の約10%の症例で、ALK遺伝子に増幅もしくはミスセンス変異がある。
神経芽細胞腫ではALKの酵素の機能が過剰に働くことが、細胞のがん化に
つながっていると考えられる。

Increased ALK Gene Copy Number and Amplification are Frequent in Non-small Cell Lung Cancer
Journal of Thoracic Oncology: January 2011 - Volume 6 - Issue 1 - pp 21-27


背景:
 anaplastic lymphoma kinase(ALK)遺伝子が染色体転座により融合した
 遺伝子を有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者においてALK阻害薬が有用であることが
 わかっている。ALKコピー数変化と増幅は、神経芽細胞腫などにおいてその役割が
 明らかであるが、非小細胞肺癌における役割はよくわかっていない。
 われわれは、ALKコピー数変化有病率とALK蛋白発現との関連性、EGFR遺伝子との
 関連性、臨床病理的なデータとの関連性を調べた。

方法:
 ALKステータスは、fluorescence in situ hybridization (FISH)によって同定した。
 ALKの転座に起因する遺伝子として、
 echinoderm microtubule-associated protein-like 4 (EML4), KIF5B, TFGの
 ステータスを調べた。ALK発現は免疫組織化学的に調べた。EGFR遺伝子と蛋白の
 ステータスは、腺癌のものにおいて調べた。また、生存の解析もおこなった。

結果:
 107のNSCLC症例が評価された。2症例がEML4-ALK転座があり、1例が
 ALKのatypicalな転座を認めた。EML4-ALKの2例ともALK蛋白発現があり
 残りの症例ではALKは同定されなかった。11例(10%)にALK増幅がみられ、
 68例 (63%)にコピー数の過剰がみられた。ALk増幅とEGFR-FISH陽性とに
 関連性がみられた(p < 0.0001)が、予後とは関連していなかった。
 
結論:
 肺腺癌においてALK増幅頻度は有意に多く、EGFR-FISH陽性と関連していた。
 これらのことから、ALK増幅がALK阻害薬単独あるいはEGFR阻害薬との併用において
 将来的に重要な役割と関連している可能性が示唆される。

by otowelt | 2010-12-26 08:02 | 肺癌・その他腫瘍

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