集中治療室における、電子デバイスを用いた非内視鏡的空腸チューブ留置は迅速かつ安全
2010年 12月 27日
ICUなどで胃ではなく空腸にチューブを留置することがあるが、これについては
「胃管に耐えうることができない症例においては推奨」とガイドラインに記載されている。
・ESPEN Guidelines on Enteral Nutrition: Intensive care. Clin Nutr 2006; 25:210–223
・Guidelines for the Provision and Assessment of Nutrition Support Therapy in the Adult Critically Ill Patient: Society of Critical Care Medicine (SCCM) and American Society for Parenteral and Enteral Nutrition (ASPEN).J Parenter Enteral Nutr 2009; 33:277–316
・Canadian clinical practice guidelines for nutrition support in mechanically ventilated, critically ill adult patients. J Parenter Enteral Nutr 2003; 27:355–373
全例ではないが、集中治療の現場では空腸チューブが選択されることにメリットが
あると考えられている流れがある。しかしながら、費用対効果の点からカメラを
つっこんでまで空腸にチューブを留置するメリットも多くないのではという意見もある。
Endoscopic placement of enteral feeding catheters. Curr Opin Gastroenterol 2006; 22:546–550
CORTRAK®という、空腸チューブ留置を容易にするデバイスがある。 これは、
デジタル画面でリアリタイムにチューブが挿入されているのを見ながら用手的に
入れることのできるものであり、侵襲的な内視鏡処置が不要である。
夢のような機械だが、空腸に限らず胃管もこれで挿入できそうだ。 CORPAK MedSystems
URL: http://www.corpakmedsystems.com/Product_Main/cortrak.html
Crit Care Medから、CORTRAK®と通常内視鏡による栄養チューブの
空腸留置におけるガチンコ対決の論文が出た。どうでもいいが、
「head-to-head comparison」は「ガチンコ対決」という訳が個人的にしっくりくる。
選択基準は、ガイドライン通り”胃内チューブ栄養に耐えられない者”となっている。
Jejunal tube placement in critically ill patients: A prospective, randomized trial comparing the endoscopic technique with the electromagnetically visualized method
Crit Care Med 2011; 39:73–77
目的、デザイン、セッティング:
新しい電子ビジュアル空腸チューブ留置(CORTRAK®)と、通常の
内視鏡的空腸チューブ留置を直接比較(head-to-head comparison)した。
これはプロスペクティブランダム化試験であり、大学病院ICU2施設でおこなわれた。
患者およびインターベンション:
合計66人の重症患者で、胃内栄養に耐えられないものを対象とした。
電子デバイス群と通常内視鏡群に2:1に割り付けた。
正しく空腸に24時間後に留置されているかどうかで判断した。
結果:
通常内視鏡方法22人の患者のうち、21人の患者が正しく空腸留置できた。
電子デバイス群44人の患者のうち、40人の患者が正しく空腸留置できた。
(95% vs. 91%; relative risk 0.9524, CI 0.804–1.127, p = .571)
残りの4人はその後内視鏡で正しく留置できた。
正しく留置するまでに要した時間は両群ともに差がみられず、鼻出血も同等であった。
電子デバイスの場合、最初のトライで成功する傾向にあった。
この成功の原因として、BMIが高値であること、嘔気がないことが挙げられる。
※BMIが高値の場合内視鏡も容易になることはすでに知られている。
Significance of colonoscope length in cecal insertion time. Gastrointest Endosc 2009; 69:503–508
結論:
直接比較により、電子デバイスを用いた非内視鏡的空腸チューブ留置は
通常の内視鏡処置と同様に、迅速かつ安全にICU患者において処置が可能である。
「胃管に耐えうることができない症例においては推奨」とガイドラインに記載されている。
・ESPEN Guidelines on Enteral Nutrition: Intensive care. Clin Nutr 2006; 25:210–223
・Guidelines for the Provision and Assessment of Nutrition Support Therapy in the Adult Critically Ill Patient: Society of Critical Care Medicine (SCCM) and American Society for Parenteral and Enteral Nutrition (ASPEN).J Parenter Enteral Nutr 2009; 33:277–316
・Canadian clinical practice guidelines for nutrition support in mechanically ventilated, critically ill adult patients. J Parenter Enteral Nutr 2003; 27:355–373
全例ではないが、集中治療の現場では空腸チューブが選択されることにメリットが
あると考えられている流れがある。しかしながら、費用対効果の点からカメラを
つっこんでまで空腸にチューブを留置するメリットも多くないのではという意見もある。
Endoscopic placement of enteral feeding catheters. Curr Opin Gastroenterol 2006; 22:546–550
CORTRAK®という、空腸チューブ留置を容易にするデバイスがある。 これは、
デジタル画面でリアリタイムにチューブが挿入されているのを見ながら用手的に
入れることのできるものであり、侵襲的な内視鏡処置が不要である。
夢のような機械だが、空腸に限らず胃管もこれで挿入できそうだ。
URL: http://www.corpakmedsystems.com/Product_Main/cortrak.html
Crit Care Medから、CORTRAK®と通常内視鏡による栄養チューブの
空腸留置におけるガチンコ対決の論文が出た。どうでもいいが、
「head-to-head comparison」は「ガチンコ対決」という訳が個人的にしっくりくる。
選択基準は、ガイドライン通り”胃内チューブ栄養に耐えられない者”となっている。
Jejunal tube placement in critically ill patients: A prospective, randomized trial comparing the endoscopic technique with the electromagnetically visualized method
Crit Care Med 2011; 39:73–77
目的、デザイン、セッティング:
新しい電子ビジュアル空腸チューブ留置(CORTRAK®)と、通常の
内視鏡的空腸チューブ留置を直接比較(head-to-head comparison)した。
これはプロスペクティブランダム化試験であり、大学病院ICU2施設でおこなわれた。
患者およびインターベンション:
合計66人の重症患者で、胃内栄養に耐えられないものを対象とした。
電子デバイス群と通常内視鏡群に2:1に割り付けた。
正しく空腸に24時間後に留置されているかどうかで判断した。
結果:
通常内視鏡方法22人の患者のうち、21人の患者が正しく空腸留置できた。
電子デバイス群44人の患者のうち、40人の患者が正しく空腸留置できた。
(95% vs. 91%; relative risk 0.9524, CI 0.804–1.127, p = .571)
残りの4人はその後内視鏡で正しく留置できた。
正しく留置するまでに要した時間は両群ともに差がみられず、鼻出血も同等であった。
電子デバイスの場合、最初のトライで成功する傾向にあった。
この成功の原因として、BMIが高値であること、嘔気がないことが挙げられる。
※BMIが高値の場合内視鏡も容易になることはすでに知られている。
Significance of colonoscope length in cecal insertion time. Gastrointest Endosc 2009; 69:503–508
結論:
直接比較により、電子デバイスを用いた非内視鏡的空腸チューブ留置は
通常の内視鏡処置と同様に、迅速かつ安全にICU患者において処置が可能である。
by otowelt
| 2010-12-27 06:48
| 集中治療