ICUレジデントへのシミュレーションを用いた中心静脈カテーテル挿入教育は有用で、CRBSIを減少させる

集中治療現場における、中心静脈カテーテル挿入手技に関する論文。
本日たまたま中心静脈カテーテルを挿入したばかりので、ちょうどよかった。

とにかく観点が非常にユニークで、さすがだと思う。ただ、CRBSIは減ったかどうか
という結果については、外科ICUとの比較であるため、議論の分かれる比較法だと思う。
この論文で提示されているレベルのシミュレーション訓練(下写真)を
やっている施設が果たして日本にいくつあるのだろうか。教育に相当気合を入れて
いる研修病院でないと、ここまでの環境を整えるのは厳しいような気もする。
e0156318_11582816.jpg
Performance of Medical Residents in Sterile Techniques During Central Vein Catheterization.Randomized Trial of Effi cacy of Simulation-Based Training
CHEST 2011; 139(1):80–87


背景:
 カテーテル関連血流感染症(CRBSI)は、予防できるものではあるが
 致死的なICU感染症になりうる。
 ただしい無菌操作をCVCカテーテル挿入中におこなうことをどのように
 教育することが適正であるかどうかはまだよくわかっていない。

方法:
 われわれは、2年目あるいは3年目の内科レジデントのCVC挿入手技教育において
 従来の見習い式の教育法だけでなく
 シミュレーションによるトレーニングとビデオトレーニングを組み合わせたもの 
 あるいはビデオトレーニング単独のいずれかにランダムに割り付けをおこなった。
 2007年12月から2008年1月までこれをおこない、フォローアップとして
 2009年7月までのCRBSIを検証した。
 フォローアップ中、シミュレーションによるトレーニングプログラムは
 内科ICUを模した形の無菌操作で行われた。
 外科ICUにおいては、参加者の関係で当該試験は行えなかった。
 プライマリアウトカムは、無菌操作における内科レジデントのスコア、
 CRBSIの1000カテーテル日毎の頻度とした。

結果:
 47のレジデントが登録され、24人がシミュレーションとビデオ両方を受け、
 23人がビデオ単独訓練となった。ベースのスコアは両方とも低く、
 24点満点のうち12.5 から 13 (52%-54%) であった
 ( P=.95; median difference, 0;95% CI, 0.2-2.0)。トレーニング後、
 平均スコアは有意にシミュレーション訓練+ビデオ訓練群で上昇した
 (22 (92%) vs 18 (75%) 、P=.001;median difference, 4; 95% CI, 3-6)。
 フォローアップ中、有意にCRBSI発症率は内科ICUが外科ICUより
 低かった(1.0 per 1,000 catheter-days vs 3.4 per 1,000 catheter-days、
  P=.03)。ポアソン回帰による罹患率比(incidence rate ratio)は、
 CRBSIに関しては70%の減少となった。

結論:
 シミュレーションによるCVC挿入無菌操作トレーニングは、
 従来のビデオ教育よりも有効であり、CRBSIの減少につながる。
 医原性リスクを減少させるためにも、このトレーニングはルーチンに
 行われるべきである。

by otowelt | 2011-01-07 12:01 | 集中治療

<< 2011年IDSAによるMRS... アレルギー性喘息患者にオマリズ... >>