ICUレジデントへのシミュレーションを用いた中心静脈カテーテル挿入教育は有用で、CRBSIを減少させる
2011年 01月 07日
集中治療現場における、中心静脈カテーテル挿入手技に関する論文。
本日たまたま中心静脈カテーテルを挿入したばかりので、ちょうどよかった。
とにかく観点が非常にユニークで、さすがだと思う。ただ、CRBSIは減ったかどうか
という結果については、外科ICUとの比較であるため、議論の分かれる比較法だと思う。
この論文で提示されているレベルのシミュレーション訓練(下写真)を
やっている施設が果たして日本にいくつあるのだろうか。教育に相当気合を入れて
いる研修病院でないと、ここまでの環境を整えるのは厳しいような気もする。 Performance of Medical Residents in Sterile Techniques During Central Vein Catheterization.Randomized Trial of Effi cacy of Simulation-Based Training
CHEST 2011; 139(1):80–87
背景:
カテーテル関連血流感染症(CRBSI)は、予防できるものではあるが
致死的なICU感染症になりうる。
ただしい無菌操作をCVCカテーテル挿入中におこなうことをどのように
教育することが適正であるかどうかはまだよくわかっていない。
方法:
われわれは、2年目あるいは3年目の内科レジデントのCVC挿入手技教育において
従来の見習い式の教育法だけでなく
シミュレーションによるトレーニングとビデオトレーニングを組み合わせたもの
あるいはビデオトレーニング単独のいずれかにランダムに割り付けをおこなった。
2007年12月から2008年1月までこれをおこない、フォローアップとして
2009年7月までのCRBSIを検証した。
フォローアップ中、シミュレーションによるトレーニングプログラムは
内科ICUを模した形の無菌操作で行われた。
外科ICUにおいては、参加者の関係で当該試験は行えなかった。
プライマリアウトカムは、無菌操作における内科レジデントのスコア、
CRBSIの1000カテーテル日毎の頻度とした。
結果:
47のレジデントが登録され、24人がシミュレーションとビデオ両方を受け、
23人がビデオ単独訓練となった。ベースのスコアは両方とも低く、
24点満点のうち12.5 から 13 (52%-54%) であった
( P=.95; median difference, 0;95% CI, 0.2-2.0)。トレーニング後、
平均スコアは有意にシミュレーション訓練+ビデオ訓練群で上昇した
(22 (92%) vs 18 (75%) 、P=.001;median difference, 4; 95% CI, 3-6)。
フォローアップ中、有意にCRBSI発症率は内科ICUが外科ICUより
低かった(1.0 per 1,000 catheter-days vs 3.4 per 1,000 catheter-days、
P=.03)。ポアソン回帰による罹患率比(incidence rate ratio)は、
CRBSIに関しては70%の減少となった。
結論:
シミュレーションによるCVC挿入無菌操作トレーニングは、
従来のビデオ教育よりも有効であり、CRBSIの減少につながる。
医原性リスクを減少させるためにも、このトレーニングはルーチンに
行われるべきである。
本日たまたま中心静脈カテーテルを挿入したばかりので、ちょうどよかった。
とにかく観点が非常にユニークで、さすがだと思う。ただ、CRBSIは減ったかどうか
という結果については、外科ICUとの比較であるため、議論の分かれる比較法だと思う。
この論文で提示されているレベルのシミュレーション訓練(下写真)を
やっている施設が果たして日本にいくつあるのだろうか。教育に相当気合を入れて
いる研修病院でないと、ここまでの環境を整えるのは厳しいような気もする。
CHEST 2011; 139(1):80–87
背景:
カテーテル関連血流感染症(CRBSI)は、予防できるものではあるが
致死的なICU感染症になりうる。
ただしい無菌操作をCVCカテーテル挿入中におこなうことをどのように
教育することが適正であるかどうかはまだよくわかっていない。
方法:
われわれは、2年目あるいは3年目の内科レジデントのCVC挿入手技教育において
従来の見習い式の教育法だけでなく
シミュレーションによるトレーニングとビデオトレーニングを組み合わせたもの
あるいはビデオトレーニング単独のいずれかにランダムに割り付けをおこなった。
2007年12月から2008年1月までこれをおこない、フォローアップとして
2009年7月までのCRBSIを検証した。
フォローアップ中、シミュレーションによるトレーニングプログラムは
内科ICUを模した形の無菌操作で行われた。
外科ICUにおいては、参加者の関係で当該試験は行えなかった。
プライマリアウトカムは、無菌操作における内科レジデントのスコア、
CRBSIの1000カテーテル日毎の頻度とした。
結果:
47のレジデントが登録され、24人がシミュレーションとビデオ両方を受け、
23人がビデオ単独訓練となった。ベースのスコアは両方とも低く、
24点満点のうち12.5 から 13 (52%-54%) であった
( P=.95; median difference, 0;95% CI, 0.2-2.0)。トレーニング後、
平均スコアは有意にシミュレーション訓練+ビデオ訓練群で上昇した
(22 (92%) vs 18 (75%) 、P=.001;median difference, 4; 95% CI, 3-6)。
フォローアップ中、有意にCRBSI発症率は内科ICUが外科ICUより
低かった(1.0 per 1,000 catheter-days vs 3.4 per 1,000 catheter-days、
P=.03)。ポアソン回帰による罹患率比(incidence rate ratio)は、
CRBSIに関しては70%の減少となった。
結論:
シミュレーションによるCVC挿入無菌操作トレーニングは、
従来のビデオ教育よりも有効であり、CRBSIの減少につながる。
医原性リスクを減少させるためにも、このトレーニングはルーチンに
行われるべきである。
by otowelt
| 2011-01-07 12:01
| 集中治療