2011年IDSAによるMRSAガイドライン

もう話題になっているが、IDSAのMRSAガイドラインがリリースされた。
IDSAのサイトでもニュースとして掲示されているが、
”first-ever guidelines”であると銘打っている。

主な変更は、心内膜炎、中枢神経感染症、骨髄炎、関節炎などのときに
1回15 mg/kg を12時間ごとの基準から1回15-20 mg/kg を8-12時間ごと
まで増量されている点である。
バンコマイシンにおけるloading Doseは、よくわからんという立場だったが、
少し緩和された記述に変更されている。
バンコマイシンのMICが2を超えるとき、ダプトマイシンがないような日本でも
ある程度のオプションを提示してくれているので、
今回のガイドラインに限っては、しっかり読んでおいた方がよいと思われる。

興味のあるところだけ抜粋。

Clinical Practice Guidelines by the Infectious Diseases Society of America for the Treatment of Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus Infections in Adults and Children

●MRSA肺炎
32. 入院患者における重症CAPは以下の基準に該当するものとする
 (1)ICU入室が必要であること、(2)壊死性あるいは空洞性の肺炎
 (3) 膿胸、MRSAへの経験的治療が推奨される状況  (A-III)

33. 院内MRSA肺炎(HA-MRSA)あるいは市中MRSA肺炎に対しては
 vancomycin 静注(A-II)あるいはlinezolid 600 mg 経口/静注 1日2回(A-II)
 あるいはクリンダマイシン 600 mg 経口/静注 1日3回(B-III)が推奨される。
 7~21日の治療が望ましい。

34. MRSA肺炎に膿胸を合併したケースでは、抗菌薬に加えて
 ドレナージもおこなうべきである。(A-III)


●バンコマイシン投与設計、モニタリング
60. 腎機能が正常な場合、15-20mg/kg/回(実際体重)の投与を推奨する。
 ちなみに、1回投与量が2gを超えないように配慮するべきである。(B-III)

61. 重症感染(敗血症、髄膜炎、肺炎、心内膜炎)では25-30mg/kg(実際体重)
 のLoading doseも考慮してよい。Redman症候群やアナフィラキシーなどの
 リスクがあるため、高用量のバンコマイシンを投与するときは、1回あたりの投与時間を
 2時間以上をかける、あるいは抗ヒスタミン薬の予防的投与を考慮してもよい。(C-III).

62. trough値は、一番正確なバンコマイシンの投与量設計の指標。
 4回目ないしは5回目の投与の直前に測定する。(B-II)

63. 重症感染症(菌血症、心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎、肺炎、重症皮膚軟部組織感染)
 の場合はバンコマイシンのtroughは15-20μg/mLを目標とする。(B-II)

64. 腎機能正常で肥満がなければ、ほとんどの軟部組織感染に対して
 1g12時間ごとでも十分でtrough濃度測定は不要である。(B-II)

65. 重症感染と肥満、腎機能障害、分布容積の変動が大きい場合、
 trough値のモニタリングを推奨する。(A-II)

66. バンコマイシンの持続点滴はすすめられない。


●持続する菌血症、VCMで治療失敗したとき
71.  治療可能なほかの感染フォーカスを探すべきである。 (A-III)

72. 感受性がある場合は、高用量Daptomycin(10 mg/kg/day)を
 用いるが、ただし他の薬剤(ゲンタマイシン、リファンピシン、リネゾリド、ST、βラクタム)
 との併用を考慮すべきである。 (B-III)

73. VCMとDaptomycinへの感受性が低い場合は、以下の薬剤も有用である。 (C-III)
 Quinupristin-dalfopristin 7.5mg/kg 8時間毎
 ST合剤 5mg/kg 1日2回 静注
 linezolid 600mg PO/IV 1日2回
 Telavancin 10 mg/kg/回 1日1回

by otowelt | 2011-01-09 11:27 | 感染症全般

<< ムピロシン耐性MRSAの独立危険因子 ICUレジデントへのシミュレー... >>