ヨーロッパでは、C.difficile PCRリボタイプ027以外の株が多かった;サーベイランス事業の重要性

C.difficilePCRリボタイプ027の
予後不良という情報や意外に多いんじゃないかという
先行した誤解に歯止めをかける論文である。
大規模なサーベイランス事業が重要であることを強調している。

027株は、トキシンAおよびBの産生量が多いとされている。
Binary toxin(actin-specific ADP-ribosyltransferase)を産生するため
感染症を発症すると従来型のC. difficile による感染症と比べ、
重症な経過をたどり、死亡率が極端に高くなるといわれている。

Clostridium difficile infection in Europe: a hospital-based survey.
Lancet. 2011;377:63-73.


目的:
 ヨーロッパにおけるC. Difficile感染状況を把握し、
 診断能向上・サーベイランス確立を目的とした調査をおこなう。

方法:
 ヨーロッパの34ヵ国106施設においてネットワークを創設。
 2008年11月1~6施設において、C. Difficile感染が疑われる患者
 や入院後下痢を発症した患者の便検査を施行。
 便中にトキシンが検出された場合、C. Difficile感染と定義した。
 分離株は、各施設の初期10例から収集した。3ヵ月後にデータをフォローアップ。

結果:
 C. Difficile感染の発生率は、1施設10000人年あたりの
 加重平均値が4.1、範囲は0.0~36.3であり、施設間にばらつきがあった。
 509例のうち389例に分離株に65のPCRリボタイプが確認された。
 最も多かったのはPCRリボタイプ014/020の61例(16%)、
 001が37例(9%)、078が31例(8%)と続いた
 予後不良リボタイプである027は19例(5%)と少なかった
 3ヵ月後フォローアップで、22%(101/455例)が死亡。死亡例の
 40%(40例)においてC. Difficile感染が関与したと考えられる。
 交絡因子補正後、重篤なアウトカムと関連のあったリスクファクターとして
 ・65歳以上(OR3.26、95%CI1.08~9.78、p=0.026)、
 ・PCRリボタイプ018(OR6.19、95%CI1.28~29.81、p=0.023)、
 ・PCRリボタイプ056(OR13.01、95%CI1.14~148.26、p=0.039)
 が挙げられた。

結論:
 ヨーロッパにおいて、PCRリボタイプ027以外のリボタイプの
 C. Difficileの院内感染の頻度が多かった。
 C. Difficile感染の検出とコントロールにおいて、複数国による
 サーベイランス事業が重要である。

by otowelt | 2011-01-23 20:56 | 感染症全般

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