鋳型気管支炎(plastic bronchitis)

●鋳型気管支炎(plastic bronchitis)
 鋳型気管支炎は、気道内の鋳型粘液栓により呼吸症状をきたす疾患。
 既存に喘息や先天性心疾患があったり、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
 が関与することがあるため全体的に小児科領域の報告が多いが、
 新型インフルエンザに罹患したとき同疾患群を呈することがあるため、
 呼吸器内科医としては知っておきたい疾患の1つである。
 また呼吸器内科医であれば、ABPAのときのmucoid impactionを思い出せば、
 この疾患の理解がしやすいと思う。
 鋳型気管支炎は、しばしば致死的な転帰をたどるとされている。
Plastic bronchitis in children: a case series and review of the medical literature. Pediatr Pulmonol. 2002;34:482-487.
 気道異物による症状との鑑別および治療のため、気管支鏡を必要とする。

●鋳型気管支炎の病態
 粘液栓の組織学的所見から二つに分類されている。
Bronchial casts in children:a proposed classification based on nine cases and a
review of the literature. Am J Respir Crit Care Med. 1997;155:364-370.

 ・I型鋳型気管支炎(cellular)
  気管支病変に由来する好酸球などの炎症細胞浸潤を主体とした粘液栓による
  鋳型気管支炎。
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 ・II型鋳型気管支炎(acellular)
  心臓手術後(Fontanなど)にリンパ流のうっ滞を起こしすために
  粘液産生が増加し、粘液栓が形成されるタイプの鋳型気管支炎。
Bronchial casts in children with cardiopathies: the role of pulmonary lymphatic abnormalities Pediatr Pulmonol 1999;28:329-336
 気管支吸引痰があたかもラーメンのようにみえるので
 食物を誤飲したことによる疾患であると当初考えられていた。
Plastic bronchitis: large branching mucoid bronchial casts in children. AJR Am J Roentgenol 1985;144:371-5.
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●鋳型気管支炎の治療
 自己排痰が可能なケースもあるが、全身麻酔下での気管支鏡による
 粘液栓の吸引が必要なことが多いとされている。
 そもそもが診断が気管支鏡に基づいてなされることが多いため、
 いずれにせよ現段階では気管支鏡がないと診断も治療もできないと
 考えたほうがよい。
Plastic bronchitis:a management challenge. Am J Med Sci 2008;335:163-9.

●鋳型気管支炎の予後
 死亡率は、炎症性疾患に伴う粘液栓は6-50%、非炎症性の場合は
 28-60%であるとされている(後者は心疾患合併例が多いため)。
文責"倉原優"

by otowelt | 2011-01-31 06:07 | レクチャー

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