ゼフィックス予防投与は乳癌患者のde novo B型肝炎を抑制

乳癌における、de novo B型肝炎についての論文。
de novo hepatitisとは、臨床的には治癒状態と考えられるHBs抗原(-)で
HBc抗体またはHBs抗体(+)のいわゆる既感染者において、
強力な免疫抑制・化学療法後にB型肝炎が発症することを指す。
肺癌を診療していて出会ったことはないが、
抗癌剤を扱う以上は覚えておきたいことである。

再活性化リスクについては、HBs抗原陽性が最も高く、次いで
HBc抗体陽性・HBs抗体陽性である。HBs抗原陽性例の中でも
特にHBV-DNA量が多い場合にはさらにリスクが高いとされている。

手が回らないせいもあるため、あまりB型肝炎に興味がないが、ガイドラインの
バラクルードと、今回のゼフィックスだけ知っておけばいいだろうか。

Prophylactic use of lamivudine for hepatitis B exacerbation in post-operative breast cancer patients receiving anthracycline-based adjuvant chemotherapy.
Br J Cancer 2011 Feb 1(Epub ahead of print)


背景:
 乳癌罹患率が世界的に、特に東南アジアで増加している。術後療法や転移後の
 治療にアントラサイクリンが使用されるにつれて、こういった患者で
 B型肝炎ウイルス(HBV)再活性化が生じる可能性が高い。
 抗ウイルス薬の予防的投与によりHBV再増殖が抑制される可能性がある。

方法:
 この試験では、ドキソルビシンを含む術後化学療法施行中の乳癌患者に
 おけるHBV再活性化の頻度・重症度にラミブシン予防的投与が効果を
 もたらすかどうか検証した。2001年1月~2008年9月にサムスン病院で
 アントラサイクリンベース術後化学療法を受けた患者のカルテを調査。
 
結果:
 アントラサイクリンベース化学療法を受けた乳癌患者は1912人であった。
 HBV表面抗原陽性の131人のうち55人にラミブジンの予防的投与が行なわれた。
 76人は投与されなかった。全体で30人(23%)がドキソルビシンを含む
 術後化学療法中に肝炎を発症。30人中5人(9%)がラミブシン予防投与群、
 25人(33%)がコントロール群だった(p=0.001)。
 予防的投与群ではHBV再活性化(1人:2% vs 20人:16%;p=0.002)、
 化学療法中断(7% vs 14%;p=0.04)、重症肝炎(0% vs 17%;p=0.002)
 が有意に少なかった。

結論:
 アントラサイクリンベース術後化学療法施行中の乳癌患者に対して
 ラミブシン予防的投与はHBV再活性化の頻度と重症度を有意に抑制する。

by otowelt | 2011-03-01 04:45 | 肺癌・その他腫瘍

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