がん性悪臭に対するメトロニダゾール軟膏

ホスピスに転院したばかりの肺癌の皮膚転移の患者さんがおり、潰瘍から悪臭が
出ているとの報告を受けた。そこでホスピス先と相談し、メトロニダゾール軟膏
を作成してもらった。悪臭が消えて、よりよい終末期を迎えられれば、心から願う。

個人的興味としては、クリンダマイシン外用剤(ダラシンゲル等)と
メトロニダゾール外用剤の比較試験がどうなのか知りたいところである。


●メトロニダゾール軟膏
 以下のサイトが極めて有用である。聖路加病院が日本では一番精力的である。
 聖路加国際病院ブレストセンター長中村清吾先生、薬剤部渡部一宏先生のコラムである。
 http://www.gsic.jp/cancer/cc_25/mts02/02.html
 また同病院からの論文があり、PDFが公開されている。
 進行再発乳がん患者のがん性悪臭に対するメトロニダゾール外用剤の有用性に関する検討. Palliat Care Res 2007; 2: 218-222.

 上記サイトおよび論文において、聖路加病院では、メトロニダゾール(フラジール)を
 ワセリンや親水性軟膏などの基材と混合して、病院内の薬局で製剤化している。
 メトロニダゾールの錠剤を服用することも可能だが、消化器症状副作用を
 考慮して、またなおかつ長期に使用するために、軟膏塗布を考案した。

 癌の皮膚転移による悪臭の原因は、Bacteroides fragilis
 Peptostreptococcus sp. などの嫌気性菌や壊死過程代謝産物に
 よると考えられ、嫌気性菌に抗菌スペクトルを持つメトロニダゾールを
 外用製剤が非常に効果的であると考えられた。
 世界保健機関(WHO) の癌疼痛治療と積極的支援ケアに関する専門委員会に
 おいても、このメトロニダゾール外用剤は推奨されている。
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 悪臭抑制の効果が出るのは、使用開始後2~7日頃であるとされている。
・The effect of topical 0.75% metronidazole gel on malodorous cutaneous ulcers. J Pain Symptom Manage 1996; 11: 158-162.
・Use of metronidazole gel tocontrol malodor in advanced and recurrent breast cancer. Jpn JClin Oncol 1996; 26: 207-210.


 メトロニダゾール外用剤による副作用について、重大なものは報告されていないが
 刺激性や掻痒、ガーゼ交換時出血などが報告されている。
 また、患部の洗浄のしやすさとしては、メトロニダゾール軟膏に比べ、
 メトロニダゾールゲルの方が洗浄しやすいとの評価が多かった。

by otowelt | 2011-03-18 08:18 | 肺癌・その他腫瘍

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