妊娠喘息患者における吸入ステロイドは、胎児副腎機能に影響なし

「妊婦への吸入ステロイドはパルミコートが一番安全」と
研修医時代に教えられた記憶があるが、あまり気にしなくてよいのだろうか。
妊娠喘息において極めて重要なスタディであり、呼吸器内科医・産婦人科医ともに
読んでおきたい論文である。

Fetal Glucocorticoid-regulated Pathways Are Not Affected by Inhaled
Corticosteroid Use for Asthma during Pregnancy
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 716–722, 2011


背景:
 現在のところ、吸入ステロイド (ICS) は母親、胎盤、胎児への全身的な影響に
 おけるエビデンスがないにもかかわらず、妊娠中の喘息コントロールとしての
 使用が推奨されている。

目的:
 喘息の妊婦 (n = 156) と喘息のない妊婦(n = 51)において血清
 コルチゾル、エストリオール、コルチコトロピン遊離ホルモンを測定。

方法:
 妊娠のそれぞれのトリメスターにおいて、ICSの使用と投与量を記録し、
 血液検査をおこなった。母体の超音波を18週・30週に施行し
 出生時体重と胎児の性別を記録した。

結果:
 上記母体ホルモンの血清濃度は、喘息の有無により影響を受けなかった。
 ただしICS使用時に用量依存的に、上記は抑制された。
 この結果は胎児性別に依存し、女児を妊娠した際、
 第1トリメスターではICSは母体コルチゾルと逆相関し、
 第2~3トリメスターでは母体のオステオカルシンと逆相関した。
 男児を妊娠したときは、母体のコルチゾル、エストリオール、オステオカルシン
 血清濃度に影響はみられなかったものの、コルチコトロピン遊離ホルモンは
 ICS使用時に第1トリメスターでのみ増加がみられた。
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結論:
 妊娠喘息患者におけるICS使用により、女児を妊娠した時にのみ
 母体の糖質コルチコイド系に影響を生じる。
 ただし、男児および女児の両方の妊娠において、胎児副腎機能は
 影響を受けなかった。ICSは胎児期において糖質コルチコイド系に
 影響を与えないという結果となったが、これはすなわち
 胎児の成長・発達に悪影響を与えないものと考えられる。

by otowelt | 2011-03-22 04:25 | 気管支喘息・COPD

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