多発外傷後敗血症の死亡率は改善していない

多発外傷後敗血症の死亡率が不変であるという疫学的研究が
Crit Care Medから出ていた。

Epidemiology and risk factors of sepsis after multiple trauma: An analysis of 29,829 patients from the Trauma Registry of the German Society for Trauma Surgery
Crit Care Med 2011; 39:621– 628


目的および方法: 
 このスタディの目的は、
 1) 1993年から2008年までの間、ドイツにおける多発外傷後の敗血症の
  アウトカムを調べ、
 2) 外傷後敗血症の独立危険因子を評価することである。
 レトロスペクティブにドイツにおける外傷レジストリーからデータ抽出。
 合計166の外傷センター(levels I–III)。

患者:
 1993年から2008年の間に上記レジストリーへ登録された
 患者で外傷のInjury Severity Scoreが9点を超え、ICUに入室した
 患者を検証した(n=29,829)。

結果:
 16年以上の観察期間において、10.2%(3,042人)が
 院内において敗血症となった。年間のデータは
 1993–1996, 1997–2000, 2001–2004, 2005–2008の
 サブグループにわけられた。敗血症の発症はこの4つのサブピリオド
 において14.8%, 12.5%, 9.4%, 9.7% (p < .0001)であった。
 外傷患者における院内死亡率も同様に16.9%, 16.0%, 13.7%, 11.9%
 であった(p <.0001)。敗血症が原因の死亡に関しては
 16.2%, 21.5%, 22.0%, 18.2% (p=.054)であった。
 多変量ロジスティック解析において外傷後敗血症の独立危険因子を
 解析したところ、以下の如くであった。
 男性、年齢、基礎疾患の存在、GCS8点未満、Injury Severity Score、
 Abbreviated Injury Scale(THORAX)score 3点を超えるもの、
 外傷部位の数、赤血球輸血単位数、手術数、開腹術。
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結論:
 敗血症の頻度は観察期間中減少したものの、
 この10年では変化はみられなかった。多発外傷における全死亡率は
 1993年から減少したが、敗血症における死亡は不変であった。
 すなわち、敗血症はいまだに克服すべき外傷の重要な合併症であると
 考えられる。独立危険因子を把握することは、早期診断と外傷後敗血症を
 減らすことに役立つかもしれない。

by otowelt | 2011-03-28 23:00 | 感染症全般

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