genotypeによっては結核患者における喀痰培養陰性化の促進にビタミンDは有用

結核患者さんの治療では、
塗沫が陰性してすぐに退院できる人と、培養陰性化をじっくり待って退院する人と
大きく2つのコースがある。後者は平均的に2ヶ月くらいかかってしまうので
治療者としてもできるだけ早く家に帰してあげたいところである。
ただ、禁煙できない、コンプライアンス不良、培養陰性化が遅い、という
3種の神器が揃うと非常にやっかいだ。

High-dose vitamin D3 during intensive-phase antimicrobial treatment of pulmonary tuberculosis: a double-blind randomised controlled trial
The Lancet, Volume 377, Issue 9761, Pages 242 - 250, 15 January 2011


背景
 ビタミンDは、抗菌薬が発達する前に結核治療として使用されていた。
 この代謝物はin vitroにおいて抗菌作用があるとされている。
 喀痰培養の陰性化に対してこのビタミンDの効果を検証した臨床試験はない。

方法:
 われわれはビタミンDの多施設共同ランダム化比較試験を
 成人の喀痰塗沫陽性結核患者においてロンドン、イギリスで施行した。
 146人が登録され、2.5mgのビタミンD3あるいはプラセボを
 結核治療開始から14日、28日、42日に投与した。
 プライマリエンドポイントは、治療開始してから喀痰培養陰性化までの時間とした。
 患者は、ビタミンD受容体のTaqIとFokIポリモルフィズムによる
 ジェノタイプ分けがなされた。

結果:
 126人がデータ解析に妥当な患者であった。
 喀痰培養陰性化までの期間は、ビタミンD群において36.0日、プラセボ群に
 おいて43.5日であった。(調整HR 1.39, 95% CI 0.90—2.16; p=0.14)
 またTaqI genotypeはビタミンD投与により喀痰培養陰性化までの期間の
 変化をもたらすことがわかった (P(interaction)=0.03)。
 また、tt genotypeの患者にのみ、促進的な反応が観察された
 (調整HR8.09, 95% CI 1.36—48.01; p=0.02)
 FokI genotypeはビタミンDによる効果に影響はなかった(P(interaction)=0.85)
 56日目の平均血中ビタミンD濃度は、介入群101.4 nmol/L、プラセボ群
 22.8 nmol/Lであった(95% CI for difference 68.6—88.2; p<0.0001)

結論:
 4回にわたるビタミンD3(2.5mg)の投与によって
 抗結核治療を受けている患者の同血中濃度が上昇する。
 ビタミンDは有意に喀痰培養陰性化までの時間には影響しなかったものの
 TaqIのうちのtt genotypeの患者においては有意にその期間を短縮した。

by otowelt | 2011-03-29 06:12 | 抗酸菌感染症

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