メモ:合併症を中心としたCTガイド下生検

患者さんに説明する際、手技を直接おこなわない
呼吸器内科医であっても数字をある程度知っておく必要がある。
そのためのメモを書き留めておく。


●CTガイド下生検の概要
気管支鏡的にTBLBができなかった場合、あるいはできないと予想される場合
経皮的肺針生検が検討される。経皮生検は従来X線透視下でおこなわれていたが、
1976年に世界初の報告がなされた。
Precise biopsy localization by computer tomography. Radiology1976;118:603-7.
CTガイド下生検の診断精度は90%近いとされている。
Accuracy of CT guided transthoracic needle biopsy oflung lesions: factors affecting diagnostic yield. Radiol Med2007;112:1142-59.
ただ、これに関しては腫瘍径も関連しており、
径1cm程度未満の病変については有意に正診率が低下するという報告もある
・Diagnostic accuracy and safety of CTguided percutaneous needle aspiration biopsy of the lung. AJR 1996; 167:105-109.
・肺末梢小型陰影に対するCT ガイド下経皮肺針生検の診断に影響する因子の検討. 日呼吸会誌40(2),2002

生検針は、主に18-21Gのsemi-auto 生検針を用いるが、施設によって
多少の差異はある。


●CTガイド下生検の合併症
合併症として、気胸、血胸、空気塞栓、肺胞出血・喀血、胸膜播種、CPA、ショック
などが報告されている。

1.気胸
気胸は最も多い合併症で、報告によって様々である。
2002年のCHESTの論文では、26.6%と報告されている。
そのうち半数がドレナージを要した。針は19Gである。
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The incidence and the risk of pneumothorax and chest tube placement after percutaneous CT-guided lung biopsy: the angle of the needle trajectory is a novel predictor. Chest 2002;121:1521-6.

下記の論文においては、気胸はおよそ15%に起こっている。
この論文における針は20Gである。
CT-Guided Transthoracic Needle Biopsy of Pulmonary Nodules Smaller than 20 mm: Results with an Automated 20-Gauge Coaxial Cutting Needle
Clinical Radiology Volume 55, Issue 4, April 2000, Pages 281-287


日本からの9783例のCTガイド下生検を集めた論文もあるが、
気胸は35%と高率である。124施設から症例を集めたものであり
針の太さはまちまちである。
CT-guided needle biopsy of lung lesions: a survey of severe complication based on 9783 biopsies in Japan. Eur J Radiol 2006;59:60-4.

当然ながらCOPDなどの気腫疾患合併例は、気胸の最たるリスクである。
Transthoracic needle aspiration biopsy: variables that affect risk of pneumothorax. Radiology 1999;212:165-8.
また、病変が胸膜から離れていることもリスクである。
Transthoracic needle biopsy: factors effecting risk of pneumothorax. Eur J Radiol 2003;48:263-7.
標的病変までのリスク距離は報告によって様々であるが、2cmを超える場合には
きわめて注意した方がよいと考えられる。距離が長くなることにより
生検針が病変に到達するプロセスで、末梢細気管支や血管を損傷する
可能性が高くなるため、これが気胸や出血のリスクを高めるのであろう。
Risk of pneumothorax in CT guided transthoracic needle aspiration biopsy of the lung. Radiology 1996;198:371-5.
ちなみに、経験不足は気胸のリスクであるという論文もある。
Risk factors of pneumothorax and bleeding:multivariate analysis of 660 CT guided coaxial cutting needle lung biopsies. Chest 2004;126:748-54.

2.喀血・肺胞出血
喀血の頻度はせいぜい5%くらいであるという報告が多い。
肺胞出血は画像上の所見であるため、それよりも多く20%程度とする
報告が多いように思う。
・CT-Guided Transthoracic Needle Biopsy of Pulmonary Nodules Smaller than 20 mm: Results with an Automated 20-Gauge Coaxial Cutting Needle
Clinical Radiology Volume 55, Issue 4, April 2000, Pages 281-287
・CT-guided needle biopsy of lung lesions: a survey of severe complication based on 9783 biopsies in Japan. Eur J Radiol 2006;59:60-4.


3.播種
悪性病変を生検する場合、播種が問題になるが、予後に関しては
有意差はないと報告されている。
Diagnostic percutaneous Transthoracic needle biopsy does not affect survival in stage I lung cancer. Am J Respir Crit Care Med 2006 ; 174 : 684―688.
頻度は空気塞栓と同じく極めて低いものである。
CT-guided needle biopsy of lung lesions: a survey of severe complication based on 9783 biopsies in Japan. Eur J Radiol 2006;59:60-4.

4.空気塞栓
空気塞栓症の頻度は0.1%未満と極めて低い。ただ、重篤な
合併症であるため、十分な事前説明と速やかな診断治療が重要となる。
・Complications of percutaneous transthoracic needle aspiration biopsy. Acta Radiol Diagn 1976;17:813-28.
・CT-guided needle biopsy of lung lesions: a survey of severe complication based on 9783 biopsies in Japan. Eur J Radiol 2006;59:60-4.

空気塞栓症の発生機序は、胸腔外から肺静脈への空気の流入の経路と
気道系と肺静脈の直接交通の経路の機序が考えられている。
・Air embolism complicating percutaneous needle biopsy of the lung. Chest 1973;63:108-10.
・Fatal systemic arterial air embolism following lung needle aspiration. Radiology 1987;165:351-3.

息止めをおこなった状態での生検は胸腔内圧が上昇するため、
穿刺時に肺血管内に空気が流入して空気塞栓をきたしやすいことが
わかっているため、穿刺時は浅い呼吸で行うべきであるとされている。
また、空気塞栓予防体位については頭低位の報告が多いが、現時点では
確実に予防できるかどうかはエビデンスとしては不足している。
また、空気塞栓症の治療としては高圧酸素療法をおこなうべきとの報告がある。
Cerebral air embolism complicating percutaneous thin-needle biopsy of the lung: Complete neurological recovery after hyperbaric oxygen therapy.J Anesth 2001;15:233-6.
日本高気圧環境医学会の高気圧酸素治療の安全基準を参照にしたい。

by otowelt | 2011-04-12 17:16 | レクチャー

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