人工呼吸器関連気管炎(VAT)へ7日以上抗菌薬投与をおこなってもHAP・VAPを予防しない

この論文における人工呼吸器関連気管炎(VAT)の定義は以下の通りである。
(1) 発熱38℃を超えるものあるいは36℃未満の低体温、
 白血球数が>12000/mm3あるいは<4000/mm3、
 気管内分泌物が膿性である新しいオンセット
(2) Gram染色において中等度~重度の細菌発育を伴う
 中等度~重度の多核白血球がみられる
(3)レントゲンにおいて肺に陰影がみられない
・Ventilator-associated tracheobronchitis and pneumonia: thinking outside the box. Clin Infect Dis 2010; 51(Suppl. 1):S59–S66.
・Hospital-acquired pneumonia, health care-associated pneumonia, ventilator-associated pneumonia, and ventilator-associated tracheobronchitis: definitions and challenges in trial design. Clin Infect Dis 2010; 51(Suppl. 1):S12–S17.
・Ventilatorassociated tracheobronchitis (Vat) in a mixed surgical and medical ICU population. Chest 2010; 139:513–518.


小児におけるVATのスタディだが、成人でもおそらく同じような議論が
できることと思う。ただ個人的には、VATという存在が
どうもゴミ箱的な位置付けのような気がしてならない。

Ventilator-Associated Tracheitis in Children: Does Antibiotic Duration Matter?
Clinical Infectious Diseases 2011;52(11):1324–1331


背景:
 人工呼吸器関連気管炎(VAT)の適切な抗菌薬治療期間は定まっておらず
 不必要に長期の抗菌薬にさらされる結果となっているかもしれない。
 このスタディの主要目的は、VATへの長期(7日以上)の治療が
 短期(7日未満)に比べて院内肺炎(HAP)と人工呼吸器関連肺炎(VAP)を
 予防できるかどうかを検証したものである。副次的な目的として
 長期的抗菌薬投与がより耐性を獲得しやすいかどうかを検証。
 
方法:
 レトロスペクティブコホート試験を18歳以下で
 ICUに挿管48時間以上で滞在した小児を登録。
 2007年1月から2009年12月までVATに対して抗菌薬を用いたものとした。

結果:
 1616人の患者が少なくとも48時間挿管されており、150人がVATを
 疑って抗菌薬を投与されていたが、118人がVATの基準を満たしていなかった。
 長期的抗菌薬は引き続くHAPやVAPを予防しなかった
 (HR, 1.08; 95% CI, 0.40–2.91)。耐性菌コロナイゼーションや感染は
 長期的抗菌薬(HR, 5.15; 95% CI, 1.54–7.19)、抗菌薬併用
 (HR, 3.24; 95% CI, 1.54–6.82)、抗菌薬完遂する前に医療機関濃厚接触
 の日数が長いこと(HR, 1.08; 95% CI, 1.04–1.12)と関連していた。
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結論:
 長期的抗菌薬をVATに用いることは、短期的に抗菌薬を投与する場合と
 比較するとHAPやVAPを予防するものではない。さらに、長期的抗菌薬は
 耐性菌獲得と有意に関連する。

by otowelt | 2011-05-20 12:13 | 集中治療

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