肺腺癌においてBRAF変異は3%、喫煙例に多く、G469A、D594Gは比較的特異性が高い

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肺腺癌においてALKが脚光を浴びたが、
JCOからBRAFに焦点を当てた論文が出ていた。
BRAFは肺腺癌の約3%に変異がみられるとされていた。
BRAFand RAS Mutations in human lung cancer and melanoma.Cancer Res 62:6997-7000, 2002

2002年、悪性黒色腫の約半数にBRAF遺伝子を活性化する
V600E変異が存在していることが発見された。
sorafenib(非特異的BRAF阻害薬)は、悪性黒色腫において試験されたが
期待された結果は得られなかった。皮膚科領域においては、
vemurafenibが有望なBRAF阻害薬として注目されている。
ちなみにV600E変異は肺癌と悪性黒色腫のいずれでも観察されるが
G469A(G→C transversion)とD594Gは肺癌に特異度が高い、という
記載が本論文に記載されていた。

Clinical Characteristics of Patients With Lung Adenocarcinomas Harboring BRAF Mutations
JCO May 20, 2011 vol. 29 no. 15 2046-2051


背景:
 BRAF遺伝子変異は非小細胞癌に起こる。治療的標的としての
 BRAF遺伝子変異は近年同定された。われわれは、BRAF遺伝子変異を
 もつ肺腺癌患者の臨床的特徴を同定するためこのスタディをおこなった。

患者および方法:
 われわれは、BRAF、EGFR、KRAS遺伝子変異およびALK再構成
 の同定をおこなった肺腺癌の連続症例のデータをレビューした。
 患者の臨床的性格として、年齢、性別、人種、PS、喫煙歴、
 病期、治療歴、全生存期間が抽出された。

結果:
 697人の肺腺癌患者において、BRAF変異は18人(3%;95%CI, 2%-4%)
 にみられた。同定されたBRAF変異はV600E (50%), G469A (39%),
 D594G(11%)であった。24%がEGFRに遺伝子変異がみられ、KRASは
 25%、ALKは6%にみられた。非喫煙者であることが多い
 EGFR変異およびALK再構成の患者と比較すると、BRAF変異がみられた患者は
 現ないし既喫煙者が多かった(P<.001)。
 進行期患者でBRAF変異がみられた患者のOS中央値は、他の変異と比較して
 有意な差がみられなかった。BRAFとその他の変異は相互排他的であった。
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結論:
 BRAF遺伝子変異は3%の肺腺癌患者にみられ、現ないしは既喫煙者に
 よくみられるものである。V600E以外のBRAF遺伝子変異は
 悪性黒色腫よりも肺癌に有意に多くみられる。

by otowelt | 2011-05-23 15:40 | 肺癌・その他腫瘍

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