気管支喘息における気道リモデリングは、気管支収縮によって誘発される事象である

「気管支リモデリングがどーのこーの」というのは
研修医の先生に喘息の講義をするときに絶対登場するキーワードだが
実はその本態は、教えている指導医はわかっていなかったりするものだ。(笑)

気道収縮が上皮ストレスと組織反応を起こし、気道の構造変化を
もたらすというNEJMからの極めて重要な論文。
eosinophilの役割がさほど高くないことの証明と考えてよいだろうか。
サイトカインがどーのこーのと論じられてきた分野だが、
物理的な作用が大きく寄与しているという点に非常に驚かされた。

Effect of Bronchoconstriction on Airway Remodeling in Asthma
N Engl J Med 2011; 364:2006-2015


背景:
 気管支喘息の病理学的な特徴は、気道リモデリング、
 すなわち気道の構造変化である。こういった変化は
 より不良な長期臨床アウトカムに関連し、原因として好酸球性の
 気道炎症によると考えられている。しかしながらin vitro試験で、
 気管支が収縮する際に生じる機械的な圧縮力が、炎症とは関係なく
 リモデリングを誘発する可能性が示唆されている。
 この研究において、われわれは気管支喘息患者に
 実験的に誘発した反復的な気管支収縮が気道の構造変化に及ぼす影響を評価した。

方法:
 気管支喘息患者48人を、1種類の吸入物質による喘息誘発を
 48時間間隔で合計連続3回施行した。4パターンの
 吸入誘発試験プロトコルのどれかにランダムに割りつけた。
 誘発群としては
 ・チリダニアレルゲン群(気管支収縮と好酸球性気道炎症を引き起こす)
 ・メサコリン群(好酸球性気道炎症を伴わずに気管支収縮を引き起こす)の
 2パターンとした。コントロール非誘発群は、
 ・生食を用いる群、
 ・アルブテロール(サルブタモール)のあとにメサコリンを用いる群 の
 2パターンとした。誘発試験の実施前と終了4 日後に、気管支生検標本を採取。

結果:
 アレルゲンとメサコリンにより、同程度の気管支収縮が即時に誘発。
 好酸球性の気道炎症はアレルゲン群のみで増悪したが、
 有意な気道リモデリングはアレルゲン群とメサコリン群でみられた。
 コントロール群ではみられなかった。上皮下コラーゲン層の厚さは、
 アレルゲン群で中央値2.17 μm(IQR 0.70~3.67)、
 メサコリン群で中央値1.94 μm(IQR 0.37~3.24)増加
 (誘発群2群のコントロール群2群との比較でP<0.001)。
 PAS染色範囲も増加、その中央値はアレルゲン誘発群2.17%point
 (IQR 1.03~4.77)、メサコリン誘発群2.13%point
 (IQR 1.14~7.96)であっり、コントロール群との比較でP=0.003。
 アレルゲン誘発群とメサコリン誘発群との間に有意差はなかった。
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結論:
 気管支喘息患者では、新規の好酸球性炎症を生じない
 気管支収縮によって気道リモデリングが誘発されるものと推察される。

by otowelt | 2011-05-27 05:44 | 気管支喘息・COPD

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