アクトス-膀胱癌問題

話題になっているネタ。

(日経メディカルオンラインより)
武田薬品工業が販売する2型糖尿病治療薬ピオグリタゾン(商品名:アクトス)およびその合剤について、海外で膀胱癌リスク上昇の可能性が指摘されている問題で、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は6月23日、膀胱癌のリスクに関連する情報を添付文書に追記することを決めた。対象となるのは、アクトス、ソニアス配合錠、メタクト配合錠および6月24日に薬価収載予定のアクトス後発品。フランスや米国で実施された疫学研究データなどに基づき判断した。
 今回の改訂では、「海外で実施した糖尿病患者を対象とした疫学研究において、本剤を投与された患者で膀胱癌の発生リスクが増加する恐れがあり、また、投与期間が長くなるとリスクが増える傾向が認められている」として、以下の点を「重要な基本的注意」欄に追記する予定。

(1)膀胱癌治療中の患者には投与を避けること。また、特に、膀胱癌の既往を有する患者には本剤の有効性および危険性を十分に勘案した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
(2)投与開始に先立ち、患者又はその家族に膀胱癌発症のリスクを十分に説明してから投与すること。また、投与中に血尿、頻尿、排尿痛などの症状を認めた場合は、直ちに受診するよう患者に指導すること。
(3)本剤投与中は、定期的に尿検査などを実施し、異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。また、投与終了後も継続して、十分な観察を行うこと。

 上記のうち(1)(2)は、米国食品医薬品局(FDA)による注意喚起と共通するが、FDAでは(3)の定期的な尿検査の実施は求めておらず(関連記事:2011.6.16「FDA、アクトスの1年以上の長期処方に懸念」)、その点ではより踏み込んだ内容になっているといえる。尿糖の検査を行う際に、血尿などの有無を確認することが現場での実際の対応となりそうだ。なお、フランスとドイツの当局は、ピオグリタゾンを新規の患者に処方しないように求めている。
 また、添付文書には海外の疫学研究のデータも「その他の注意」欄に記載する。
 1つ目は、米国で行われた疫学研究の中間解析で、全体解析では膀胱癌の発生リスクに有意差は認められなかったが(ハザード比 1.2、95%信頼区間[CI] 0.9-1.5)、層別解析において投与期間が2年以上の群で膀胱癌の発生リスクが有意に増加した(ハザード比 1.4、95%CI 1.03-2.0)。
 2つ目はフランスでのデータで、ピオグリタゾン投与患者で膀胱癌の発生リスクが有意に増加し(ハザード比 1.22[95%信頼区間 1.03-1.43])、投与期間が1年以上で膀胱癌の発生リスクが有意に増加した(ハザード比 1.34[95%信頼区間 1.02-1.75])。
 一方、膀胱癌のリスクを上げないとする疫学研究も複数報告されているが、今回の改訂案にはその情報は含まれていない。また、日本での大規模な疫学研究のデータはなく、今後何らかの調査を実施できないかを検討する必要性が、審議会でも議論された。
 厚労省は、「疫学研究における限界も踏まえて慎重にリスク評価をすべき」とし、今後リスクに関する説明用資材の提供を製造販売業者に求めていくとともに、情報収集を行いながら必要に応じて追加対策を検討するとしている。
 現在、日本人の膀胱癌の年齢調整罹患率は、10万人当たり12人(男性)、白人では10万人当たり20人程度とされている。ピオグリタゾンの国内における2009年度の年間推定使用患者数は約132万人。

by otowelt | 2011-06-25 09:01 | 内科一般

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