CRP4.8で、感度・特異度90%以上で肺炎と喘息・COPDの鑑別が可能

CRP4.8で区切ると、感度・特異度90%くらいで肺炎と喘息・COPDの
区別ができるんだよ!なんて研修医に教えるには
少々スタディの質が粗い気がするが・・・。

Procalcitonin and C-Reactive Protein in Hospitalized Adult Patients With Community-Acquired Pneumonia or Exacerbation of Asthma or COPD
CHEST 2011; 139(6):1410–1418


背景:
 呼吸器疾患における抗菌薬の過度の投与はよくみられ、
 これによって耐性菌が増え院内感染を助長している。
 細菌感染を同定するバイオマーカーがあれば、抗菌薬処方が
 減らせるかもしれない。われわれは、CRPを肺炎と喘息・COPDの急性増悪の
 鑑別にしようできないか検討した。

方法:
 市中肺炎と診断された患者、喘息あるいはCOPD急性増悪と
 診断された患者が登録された。臨床的データなどが採取された。
 プロカルシトニン、CRPが測定された。

結果:
 62人の肺炎、96人の喘息、161人のCOPD患者が登録された。
 血清プロカルシトニン、CRPは強く相関しており
 (Spearman rank correlation coeffi cient [rs] =0.56, P< .001)、
 肺炎患者においてプロカルシトニンとCRPが有意に増加していた
 (median [interquartile range] 1.27 ng/mL [2.36], 191 mg/L [159])
 喘息では(0.03 ng/mL [0.04], 9 mg/L [21])、
 COPDでは(0.05 ng/mL [0.06], 16 mg/L [34])であった。
 肺炎と喘息・COPDの急性増悪と区別するための
 ROC曲線下面積(95% CI)は、プロカルシトニン、CRPでそれぞれ
 0.93 (0.88-0.98) 、0.96 (0.93-1.00)であった。
 CRPが>48 mg/Lのとき、感度91%(95% CI, 80%-97%)、
 特異度93% (95% CI, 86%-98%)で肺炎と喘息・COPDを区別できる。
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結論:
 プロカルシトニンとCRPは肺炎と喘息・COPD増悪とを区別するために
 有用である。CRPレベルを参考にすることで、抗菌薬処方を減らすことが
 できるかもしれない。
by otowelt | 2011-07-05 23:44 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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