AIDS合併ニューモシスティス肺炎の治療効果判定に血清β-D-グルカンの追跡は妥当ではない

Internal Medicineからβ-D-グルカンについての論文。
β-D-グルカンは、だいたい30以下と30以上で陽性・陰性と
クリアカットに考えている医師は少なくないように思うが、
感度的/特異度的な意味合いの履き違えに
気をつけたい検査の1つである。

ニューモシスティス肺炎(PCP)に対してST合剤を投与したとき
一時的にβ-D-グルカンが上昇するのはしばしば経験するため、
経過を追う意味で測定すべきでないと個人的に思っている。

Discussionのところでも引用されているCIDの論文でも
同様の記載が書かれている。
Serum (1-->3) beta-Dglucan as a noninvasive adjunct marker for the diagnosis of Pneumocystis pneumonia in patients with AIDS.
Clin Infect Dis 49:1128-1131, 2009.



以下、今回の論文。東京大学から。

Kinetics of Serum β-D-Glucan after Pneumocystis Pneumonia Treatment in Patients with AIDS
Intern Med 50: 1397-1401, 2011


目的:
 血清β-D-グルカンはPCP診断において信頼性のある検査とされているが、
 PCP治療後によってどのように変化するかはよくわかっていない。
 血清β-D-グルカンと臨床的反応性の相関を評価するため、
 PCP治療後の血清β-D-グルカンの推移を追った。

方法:
 17人のAIDS合併PCP患者において解析をおこなった。

結果:
 すべての患者が、血清β-D-グルカンがカットオフレベル以上であり
 診断時の中央値は224 pg/mL [IQR: 78-597]であった。
 β-D-グルカンについて、CRP、LDH、AaDO2との相関はなかった。
 治療を開始すると、ほとんどの患者で臨床的な改善がみられるとともに
 この数値は減少傾向を示したが、有意数の患者において
 治療にもかかわらずβ-D-グルカンの上昇を認めた。

結論:
 血清β-D-グルカンレベルは、PCP感染の重症度や予後と相関しない。 
 治療反応性のモニタリングとして利用するのは妥当ではないだろう。

by otowelt | 2011-07-14 12:23 | 感染症全般

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