胸腔内感染に対するt-PA+DNase胸腔内投与はドレナージを改善させる

呼吸器内科医ならだれしもが知っている
”膿胸へのストレプトキナーゼ胸腔内投与はEBM上は効果がない”
という格言のようなものがあるが、これは2005年NEJMの報告に基づく。
U.K. controlled trial of intrapleural streptokinase for pleural infection. N Engl J Med 2005;352:865-74.

この報告により、知識の一新が必要であろう。
ただ、効果があるとされた本論文は
ウロキナーゼではなく以下のメニューである。
t-PAは、ベーリンガーのActilyse 10 mg 1日2回3日間
DNaseは、ロシュ社のPulmozyme  5 mg  1日2回3日間。
このPulmozymeという薬、手に入るのか?

Intrapleural Use of Tissue Plasminogen Activator and DNase in Pleural Infection
N Engl J Med 2011;365:518-26.


背景:
 胸腔内感染症の患者の30%以上は、死亡するか外科手術を要する。
 治療が成功するかどうかは、胸水ドレナージによるが、
 以前の大規模ランダム化試験では
 胸腔内線維素溶解療法によるドレナージ改善は否定された。

方法:
 2-by-2 factorial の盲検試験において、胸腔内感染症患者210例を
 以下の4通り3日間の治療のいずれかにランダム割り付けをした。
 ・プラセボ+プラセボ投与
 ・組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)+DNase胸腔内投与
 ・t-PA+プラセボ投与
 ・DNase+プラセボ投与
 プライマリアウトカムは、胸膜の透過性低下エリアの変化とし
 胸部レントゲン上の片側の胸水で満たされたエリアの面積割合を
 1日目と7日目で比較した。セカンダリアウトカムは、外科手術コンサルテーション、
 入院期間、有害事象など。

結果:
 胸膜の透過性低下エリアの変化の平均値(±SD)は
 t-PA+DNase群がプラセボ群よりも大きかった
 (−29.5±23.3% vs. −17.2±19.6%;
 difference, −7.9%; 95%CI −13.4 to −2.4; P = 0.005)。
 t-PA単独とDNase単独群における変化(それぞれ-17.2±24.3%
 および-14.7±16.4%)は、プラセボ群における変化と有意差なし。
 3ヶ月時での外科手術コンサルテーション頻度は、
 t-PA+DNase 群のほうがプラセボ群よりも低かったが
 (2 of 48 patients [4%]vs. 8 of 51 patients [16%];
 OR 0.17; 95% CI, 0.03 to 0.87;P = 0.03)、
 DNase群(18 of 46 patients [39%])ではプラセボ群よりも高かった
 (odds ratio, 3.56; 95% CI, 1.30 to 9.75; P = 0.01)。
 t-PA+DNaseの併用は、プラセボと比較すると入院期間の短縮と関連
 (difference, −6.7 days; 95% CI, −12.0 to −1.9; P = 0.006)。
 t-PAおよびDNase を単独で投与した場合の入院期間は、
 プラセボと有意差はなし。有害事象も差はみられなかった。
e0156318_11533742.jpg
結論
 胸腔内感染に対する、t-PA+DNase胸腔内投与によって
 胸水ドレナージ効果が改善し、手術コンサルテーション頻度が低下し
 入院期間が短縮した。
 DNase単独投与、t-PA単独投与はいずれも無効であった。

by otowelt | 2011-08-12 11:54 | 感染症全般

<< 肥満はインフルエンザシーズンに... 高齢者NSCLCにおいてmon... >>