特発性肺線維症に対するBIBF 1120 の有用性

呼吸器内科医の間では有名な話である。

L. Richeldi, et al. Efficacy of a Tyrosine Kinase Inhibitor in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
N Engl J Med 2011; 365 : 1079 - 87


背景:
 特発性肺線維症は死亡率の高い進行性肺疾患である。
 複数のチロシンキナーゼ受容体によって活性化される
 シグナル伝達経路と肺線維症の関連があり、この受容体の
 阻害によって特発性肺線維症の進行を遅らせることが
 できるかもしれない。

方法:
 12ヶ月におよぶの第2相試験において、特発性肺線維症患者
 にチロシンキナーゼ阻害薬であるBIBF1120の4通りの用量の
 経口投与をプラセボと比較し有効性と安全性を評価した。
 プライマリエンドポイントは、努力肺活量(FVC)の年間低下率。
 セカンダリエンドポイントは、急性増悪、QOL(SGRQ評価)、
 全肺気量など。

結果:
 合計432例を、BIBF1120の4通りの用量
 1.50 mg 1日1回
 2.50 mg 1日2回
 3.100 mg 1日2回
 4.150 mg 1日2回
 のいずれかを投与する群と、プラセボを投与する群に
 ランダムに割り付け。FVC低下率は、BIBF1120を
 150 mg 1日2回群で0.06 L/年であったのに対して
 プラセボ群では 0.19 L/年であり、BIBF 1120 により
 68.4%抑制された。急性増悪発生率も、150 mg 1日2回群で
 プラセボ群よりも低下した(P=0.02)。
 SGRQ スコアは、150 mg 1日2回群でわずかに低下したが
 プラセボ群では上昇(-0.66 vs 5.46,P=0.007)。
 150 mg 1日2回群では、消化器症状、
 肝アミノトランスフェラーゼ上昇の頻度が高かった。

結論:
 特発性肺線維症に対するBIBF 1120 150mg 1日2回投与は
 プラセボと比較して肺機能低下が抑制される傾向にあり、
 急性増悪は減少し、またQOLは保たれた。

by otowelt | 2011-09-23 20:23 | びまん性肺疾患

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