ペメトレキセドによる皮膚関連副作用として結膜炎や浮腫が多い

アリムタメンテナンスを20コースを超えて使用している患者さんがおられるが、
15コース目あたりで浮腫がひどくなってきたので、この論文は非常に納得がいく。

Skin Toxicities Compromise Prolonged Pemetrexed Treatment
Journal of Thoracic Oncology:
December 2011 - Volume 6 - Issue 12 - pp 2083-2089


背景:
 ペメトレキセドは、非小細胞肺癌治療に使用され、
 おしなべて良好な毒性プロファイルであるとされている。
 ペメトレキセドによる皮膚関連副作用:cutaneous adverse events (CAE)は
 たとえば、結膜炎を伴う浮腫や四肢浮腫、重度の液体貯留などが
 われわれのユニットで観察された。このスタディの目的はCAEのリスクファクターの
 頻度を評価するものである。
 
方法:
 ペメトレキセドによって治療された患者をプロスペクティブコホートにみた。
 質問票は患者と腫瘍内科医に回答された。
 
結果:
 107人の患者において4サイクルかそれ以上のペメトレキセドを使用された。
 CAEは37人(35%)において観察され、生存患者においては
 47人中21人(44%)に観察された。
 結膜炎は最も良く見られたCAEであり合計107人中27人(25%)、
 生存患者47人中21人(44%)にみられた。眼周囲浮腫は
 107人中16人(15%)でみられ、生存患者47人中14人(30%)でみられた。
 四肢浮腫は107人中14人(13%)でみられ、生存患者47人のうち12人
 (25%)でみられた。2症例のCAEがペメトレキセド治療に影響を与えた。
 年齢やBSA、、喫煙歴、PSによって差はみられなかった。
 CAEのある患者はより多くのペメトレキセドを使用していた
 (7 versus 5.5; p = 0.028)。単変量と多変量解析によって
 男女比は有意に差がみられた(p = 0.031): CAE群の48% (12/25)が女性、
 コントロール群の18% (4/18) が女性。

結論:
 ペメトレキセドによって結膜炎や眼周囲浮腫、四肢浮腫はよくみられる。
 女性はCAEの独立危険因子である。CAEはしばしば対処法が難しいが
 症状緩和的治療が妥当かもしれない。
by otowelt | 2011-11-17 06:20 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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