切除不能進行胸腺癌に対するADOCは有効かつ忍容性が高い

胸腺癌の治療に抗癌剤の併用を用いることはしばしばあるが、
まれな疾患であるため、大規模な臨床試験がないのが現状である。

たとえば、以下のような治療法がある。

•シスプラチン、ドキソルビシン、サイクロホスファマイドに
 プレドニゾロンを併用/非併用というレジメン
Loehrer PJ Sr, et al. Cisplatin plus doxorubicin plus cyclophosphamide in metastatic or recurrent thymoma: final results of an intergroup trial. The Eastern Cooperative Oncology Group, Southwest Oncology Group, and Southeastern Cancer Study Group. J Clin Oncol 1994; 12:1164.
•シスプラチン、ドキソルビシン、サイクロホスファマイド、ビンクリスチン併用(ADOC)
・Berruti A, et al. Primary chemotherapy with adriamycin, cisplatin, vincristine and cyclophosphamide in locally advanced thymomas: a single institution experience. Br J Cancer 1999; 81:841.
・Fornasiero A, et al. Chemotherapy for invasive thymoma. A 13-year experience. Cancer 1991; 68:30.

•シスプラチンとエトポシドの併用
・Giaccone G, et al. Cisplatin and etoposide combination chemotherapy for locally advanced or metastatic thymoma. A phase II study of the European Organization for Research and Treatment of Cancer Lung Cancer Cooperative Group. J Clin Oncol 1996; 14:814.
•シスプラチン、エトポシド、イフォスファミド併用(VIP)
Loehrer PJ Sr, et al. Combined etoposide, ifosfamide, and cisplatin in the treatment of patients with advanced thymoma and thymic carcinoma: an intergroup trial. Cancer 2001; 91:2010.

今回のJTOからADOCの論文。

Agatsuma, Toshihiko, et al.
Combination Chemotherapy with Doxorubicin, Vincristine, Cyclophosphamide, and Platinum Compounds for Advanced Thymic Carcinoma
Journal of Thoracic Oncology: December 2011 - Volume 6 - Issue 12 - pp 2130-2134


背景:
 胸腺癌はまれな上皮性悪性腫瘍であり、進行や転移をきたしやすい。
 まれな疾患であるため、切除不可能な進行胸腺癌に対して
 適切な化学療法はまだ確立されていない。
 このスタディの目的は、ドキソルビシン、ビンクリスチン、サイクロホスファマイド、
 白金製剤の併用における効果と忍容性を調べたものである。

方法:
 レトロスペクティブに34人の切除不能胸腺癌患者を登録し、
 上記併用レジメンをおこなった(1996年~2010年)。29人の患者が
 シスプラチン(50 mg/m2)、ドキソルビシン(40 mg/m2):day 1、
 ビンクリスチン(0.6 mg/m2):day 3、
 サイクロホスファマイド(700 mg/m2) :day 4 のレジメンをおこない、
 5人の患者はカルボプラチンをシスプラチンの代替に使用した
 (AUC 3.0 minutes · mg/ml)。

結果:
 34人の患者の奏効率が解析された。
 抗癌剤投与サイクルの中央値は4であった。
 ORRとDSRはそれぞれ50.0%、88.2%であった。
 生存中央期間は21.3 months (95% CI, 15.0–37.2 months)で、
 1年ないし3年生存率はそれぞれ72.7% (95% CI, 56.8–88.6%) 、
 34.4% (95% CI, 16.2–52.6%)であった。もっともよくみられた有害事象は
 白血球/好中球減少であり、非血液毒性は軽度であった。

結論:
 切除不能進行胸腺癌に対する治療として
 ドキソルビシン、ビンクリスチン、サイクロホスファマイド、白金製剤の併用は
 効果的で忍容性もある。

by otowelt | 2011-11-18 06:58 | 肺癌・その他腫瘍

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