Cryptococcus gattiiのアウトブレイク株における臨床的特徴

昨年カナダで話題になったCryptococcus gattii の論文。
日本での報告も記憶に新しい。
Okamoto K, et al.Cryptococcus gattii Genotype VGIIa Infection in Man, Japan, 2007. Emerg Infect Dis 16:1155-7, 2010.

医学生や研修医に対しては、クリプトコッカス=ハトの糞という
教育がなされることが多いが、このgattiiは主に温暖な樹木と考えられている。
オーストラリアなどではユーカリからコアラにgattiiが感染して
死亡することもあるとされている。

J. R. Harris, et al.
Cryptococcus gattii in the United States: Clinical Aspects of Infection With an Emerging Pathogen
Clin Infect Dis. (2011) 53 (12): 1188-1195.


背景:
 Cryptococcus gattii (Cg)は、アメリカ太平洋岸北西部で
 2004年から報告が増えている。われわれはアウトブレイクの
 レポートと、臨床的側面を比較した。

方法:
 2005年初頭からレトロスペクティブ・プロスペクティブに
 受動的Cg感染症サーベイランスを施行。臨床的同定株は
 CDCに報告した。われわれは症状頻度、基礎疾患を調査。

結果:
 2004年12月1日から2011年7月まで96のCg感染症がCDCに
 よって報告された。83人が太平洋海岸北西部に居住ないしは旅行に
 行ったものであり、78人がジェノタイプVGIIa, VGIIb、あるいは
 VGIIc (アウトブレイク株)であった。アウトブレイク株をもつ患者は
 より基礎疾患を持つ状態であり(86% vs 31%, P < .0001)、
 呼吸器症状をより有し(75% vs 36%, P = .03)、中枢神経症状は
 少なかった(37% vs 90%, P = .008)。基礎疾患は肺炎リスクを
 上昇させ、髄膜炎や中枢神経症状を減少させた。
 57人中19人(33%)が死亡した。過去の経口ステロイド使用は
 多変量解析において死亡のオッズ比を上昇させた(P = .05)。

結論;:
 Cryptococcus gattii感染における非アウトブレイク株と
 アウトブレイク株の間で臨床的な違いがあるかもしれない。
 臨床医は特に太平洋岸北西部へ旅行した患者に対する
 Cg検査の閾値を低くすべきである。

by otowelt | 2011-12-04 20:20 | 感染症全般

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